肩関節の肢位別制限因子
本日は肩関節の可動域制限や痛みについて深掘りしていきます。
この辺りは肩疾患を診る上でしっかり覚えていきたいですね。
1st外旋での疼痛、制限
肩関節【前方】に制限感や疼痛を有する場合
棘上筋前部線維、肩甲下筋上部線維
腱板疎部(CHL)、前上方関節包、SGHL、MGHL
肩関節【後方】につまり感や疼痛を有する場合
後方組織(関節包、関節唇)のインピンジメント
1st内旋での疼痛、制限
肩関節【後方】に制限感や疼痛を有する場合
棘上筋後部線維、棘下筋上部線維
後上方関節包の拘縮、炎症
肩関節【前方】につまり感や疼痛を有する場合
前方組織(関節包、関節唇)のインピンジメント
2nd外旋での疼痛、制限
肩関節【前方】に制限感や疼痛を有する場合
肩甲下筋下部線維
前下方関節包、MGHL、AIGHL、CHL(前部<後部)の拘縮、炎症
肩関節【前方】に疼痛やつまり感を有する場合
後方および上方組織(関節包、関節唇)のインピンジメント
肩関節【上方】に疼痛を有する場合
肩関節前上方組織(腱板疎部、上腕二頭筋長頭腱)、肩峰下滑液包、腱板などが烏口肩峰アーチで衝突、滑走障害を起こしている。
2nd内旋での疼痛、制限
肩関節【後方】に制限感や疼痛を有する場合
棘下筋下部線維
PIGHL、CHL(前部>後部)、後下方関節包の炎症、拘縮
肩関節【前方】に疼痛やつまり感を有する場合
前方組織(関節唇、関節包)のインピンジメント
肩関節【上方】に疼痛を有する場合
肩関節前上方組織(腱板疎部、上腕二頭筋長頭腱)、肩峰下滑液包、腱板などが烏口肩峰アーチで衝突、滑走障害を起こしている。
3rd外旋での疼痛、制限
肩関節【前方】に制限感や疼痛を有する場合
大円筋
前下方関節包、CHL前方線維の炎症、拘縮
肩関節【後方】に疼痛やつまり感を有する場合
棘下筋、上腕三頭筋長頭、三角筋後部線維の過緊張
後方および上方の組織(関節包、関節唇)のインピンジメント
肩関節【上方】に疼痛を有する場合
肩関節前上方組織(腱板疎部、上腕二頭筋長頭腱)、肩峰下滑液包、腱板などが烏口肩峰アーチで衝突、滑走障害を起こしている。
3rd内旋での疼痛、制限
肩関節【後方】に制限感や疼痛を有する場合
小円筋
PIGHL、後下方関節包の炎症、拘縮
肩関節【前方】に疼痛やつまり感を有する場合
前方組織(関節唇、関節包)のインピンジメント
肩関節【上方】に疼痛を有する場合
肩関節前上方組織(腱板疎部、上腕二頭筋長頭腱)、肩峰下滑液包、腱板などが烏口肩峰アーチで衝突、滑走障害を起こしている。
これらの評価のうち2nd外旋の改善は肩関節前方、前下方の組織の伸張性を、3rd内旋の改善は後方、後下方の組織の伸張性を確保したことになるため臨床上重要な指標となる。
関節上腕靭帯の緊張と弛緩肢位
SGHL →緊張:1st外旋位 弛緩:3rd内旋位
MGHL →緊張:45度外転外旋位 弛緩:内旋位
AIGHL →緊張:2nd外旋位 弛緩:3rd内旋位
PIGHL →緊張:3rd内旋位 弛緩:1st外旋位
腋窩陥凹→緊張:2nd外旋、3rd内旋 弛緩:下垂位
腱板疎部
棘上筋腱前部線維と肩甲下筋腱上部線維の間の隙間で、CHL、SGHL、LHBTで補強されており、腱癒合していない部位を指す。
肩関節下垂位外旋、外転外旋、伸展により緊張し肩関節を安定させる。
上腕二頭筋長頭腱
関節内から結節間溝までの間は走行が急激に変わるため摩擦が起きやすく障害されやすい。
骨頭レベルではCHL、SGHL、棘上筋前部線維、肩甲下筋上部線維の4つに周囲されており、これらによってLHBは支持されている。
これをプーリーシステムという。