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9.【小説】 「走れエイト!」


  ◉ 「走れエイト!」9

ビックリしたのは雅人だけではない。

岳野原道場の師範
岳野原海斗もビックリした。

「分かった 分かった
 今日の稽古はもういい!」

岳野原はもう終了にしたかったが
衛登はあまり顔には出さないが
気が収まらなかった。

「あの〜 もう一試合いいですか?」

衛登はもう一試合頼んだ。

「師範代に稽古
 頼みたいんですけどいいですか?」

衛登は汗をかきたりない感じだった。
 
「師範代 出てきなさい。」

岳野原は渋々 言った。

「私にまかせてください。」

出て来た師範代は権田権之助という
いかにもな名前だった。

あとから聞いたが権田権之助というのは
偽名で強そうな名前を
つけたみたいだった。

名前負けしそうな
優しい顔立ちだったが
少し出来るなと衛登は感じていた。

二人は中央に立って礼をした。
 
「はじめ!」

最初に権田権之助が正面に突きをした。

衛登はなんなく受けて前蹴りを出した。

権田権之助もこれを受けた。

やはり権田権之助は少し出来たが
衛登が何発目かに
左中段回し蹴りを出した。

それを権田権之助が受けようとしたが
衛登は左中段回し蹴りと見せかけて
左上段回し蹴りを放った。

これが見事に決まり
権田権之助は崩れ落ちた。

空手の試合としては完敗だった。

〜つづく〜

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