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青天の霹靂45(体育祭1)

待ちに待った体育祭が幕を開けた。
だから、廉夏は朝から子どものようにおおはしゃぎだ。
体育祭を見に来ていた日向と冬眞にいいところを見せたいのだ。
だけど、冬眞はアイドル並みに未だに人気があり、11年経っても、保護者の人が何を見に来ていたのか、分からなくなり日向は笑う。
彼は、たまたま休みにかち合い、休みじゃない廉の変わりにビデオを持って来ていた。
何て、友達思いな奴だろう。
と、廉夏は笑って思う。
「なに、笑ってるんだよ」
日向は不機嫌そうに聞く。
「いや、友達思いだねと思ってさ」
廉夏はクスクス笑う。
「ウルセェよ」
「それより、板垣は何、笑ってたのよ」
「悪い悪い。いや~、学生さんは可愛いなと思ってね」
「おじさんを喜ばせるために、学生やっているわけじゃないんだけど」
不貞腐れたように、廉夏は言う。
「おじさんって酷いな。でも、それは知らなかったな。てっきり、お前らは俺を喜ばせるために、やってるのかって思ったよ。でも、お前さんの旦那、相変わらずモテるな」
「仕方ないよ。だって、冬眞は卒業してもさわがれたもん。並のアイドルよりも、カッコいいって。冬眞の乗ってるアルバムは、図書室から何度置いても無くなったしね」
「ハハハハハ。結局、お前はノロケているのかよ?」
「ノロケてないよ。ただ、本当のことを言っただけだよ。それに、冬眞が私を裏切ることはない。だから、心配するだけ無駄何です」
「そう言うものか?」
「そう言うものです」
「でも、学校側には、なんて言ったんだ。普通、結婚なんて許さないだろう?」
そう言われ、廉夏は笑う。
「許さないだろうね、普通は。だから、校長にしか言ってない。そこは、お祖父様の占いが役に起ったわ。今、結婚しないと廉夏が死ぬと涙ながらに語ってもらって。それが富豪の豪造氏とくれば疑いもせず、納得したわ。しかも、相手は冬眞。学校も反対する謂れはないと。未だに、冬眞の威光は残っているんだよね。だから、校長と約束した。生徒である間は、子供は作らないこと。それから、みんなには内緒にすること」
「って、もうばれてんじゃん」
「一部の冬眞の熱狂的なファンにはね。でも、彼女達は冬眞を困らせるようなことは、絶対に言わない。いや~、冬眞の威光って凄いわ」
そう言って廉夏は、笑う。
「そうかもな」
「それに、冬眞は私を絶対裏切らないと私は信頼しているわ」
それに、日向は面白くなさそうに、ケッと、だけ言った。
「あら、つまんなそうね」
「つまんねぇよ」
「それは、残念ね。でも、どういう答えが私から聞けたら、日向は気に入るのかしら」
それに、日向は笑って言う。
「そうだな。『もう、ムカつく、写真撮らないでよ。その人は私のものよ』とか」
それに、廉夏は爆笑する。
「思ってないわけね」
それを見て、日向は呆れる。
「思うわけないじゃん。だって、これから楽しい催しがあるんだもん」
と、言って廉夏は冬眞に意味深な視線をやる。
「何だよ。その催しものって」
「後のお楽しみ」
廉夏は、そう言って笑う。
日向は呆れを通り超し、尊敬すらする。
「お前のご主人様は対したものだわ」
「妬いているの?」
「ワリイか。そう言えば、廉夏は何出るんだ?」
「えっとね。午前中が100メートル走と組体操で、そして午後から、二人三脚と最後のメインイベント仮装大会だよ。応援してね」
運動会は、始まった。だから、廉夏はクラスのところに戻った。
競技はどんどん進み、冬眞もようやく女の子達から逃げられて、日向の元に来た。
「どうしたんですか?」
日向の何かを悩んでいる顔に、冬眞は聞く。
「いや、別に」
「別にって顔じゃないですよ」
「いや、なに、あいつの周りの期待は大きいなって思ってよ」
「廉さんに対するものですね」
冬眞にそう言われて、日向も頷く。
「僕もそれが心配何です。周囲の期待に押し潰されないかなって」
「お前も、そう思うか?」
「ええ。廉さんは過剰に必要とされ過ぎてて、その重さに押し潰されてしまいかねないですからね。だから、僕が支えてあげたいんです」
「そうなんだよな。でも、あいつの周りにお前のような奴がいてくれて良かったよ」
「滅相もありません」
冬眞は頭を下げる
「これからも、あいつを支えてやってくれ。あいつは自分で背負い込もうとするふしがある」
日向が言うと、冬眞はそれを聞き言う。
「つまるところ、マゾって奴ですね」
「うまいな、お前。でも、あいつにそんなこと言えるの、お前だけだぞ、たぶん」と、日向が言うと、冬眞は笑って言う。
「僕は廉さんの大切な妹さんを託された人間ですから、これくらいは許されますよ」
「甘いな。あいつの器は極端に狭いんだ。覚えておけ」
日向がそう言った時、後ろから聞こえるはずのない声が聞こえた。
「誰の器が小さいって?」
「いえ、廉さんは器が大きいです。はい」
日向は慌てて否定する。
「廉さん、仕事は?」
「終わらせたよ。終わって来てみれば、ずいぶん面白そうな、話をしているじゃないか? なぁ、日向。それより、お前ら何か忘れてないか? 家に帰ったら、観月がじい様と縁側で茶をしてたぞ」
「ああ。わりい」
日向は完全に忘れていた。
抱き付こうとしたら、観月は廉に抱き付く。
不敵に笑う廉に、焦って言い訳を日向はする。
「観月忘れてた訳じゃないって」
「大丈夫、観月大人だから怒ったりしないもん」
「って、めちゃめちゃ怒ってるのね。すいませんでした」
それを聞き、廉は笑う。
「お前、大変だな」
「廉さんは実に社交的でお優しいです。はい、けして、私が廉さんのことを器が小さいなんて言える分けないです。今の私(ワタクシ)があるのは、ひとえに廉さんのお陰です。はい」
「嘘くせぇよ」
日向がそう言って、謝ると廉は笑う。
「ごめんなさい」
「もう、お前の本音が分かったから、どうぞ、続きを」
それに、冬眞は笑う。
「お前、俺が言い返せないことを分かって言ってるよな。性根が腐ってるぞ」  
「腐ればそれを養分として、また根がでるさ」
廉は、面白そうに言った。

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