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よみがえる過去

今年の元旦noteを始めたとき、自己紹介を兼ねて定年前に退しりぞいた会社の話に触れた。

僕がいた業界は、一人の人間が同業他社を渡り歩く例が珍しくなく、「アイツ今度は○○に入ったらしいよ」の噂話が、絶えることなくあった。
辞めたくて会社を去るわけじゃなかったから、退職日が近づきながらも気分的にすっきりしないままでいる。
せっかく築いた人脈もあるし、自分も同業者のところに出向いて就職活動するかと、考えなくもなかった。60近いオヤジを拾ってくれる異業種があるとは、とても思えなかったし。

在籍した組織の内部情報やノウハウを持ち込めば、歓迎してくれるライバル会社はあったろう。新開発の商品を扱っているわけじゃないから、倫理面をのぞけば法に触れる類いのものはない。

結局、業界とはすっぱり縁を切った。そのまま留まっても、残りの人生が楽しくはならないだろうと思ったからだ。
さんざん世話になったし、後足あとあしで砂をかけることは言いたくないのだが、生活の安定だけのため今後も携わろうという気持ちに、どうしてもなれなかった。
子供二人はとうに巣立ってそんなに金もかからなくなっていたし、この世界は「もういいか」となった。

26年在籍した中で、営業や人事のノウハウなら多少は持っているつもりだ。
しょってるわけじゃないが、取引先での人の配置や動かし方は、たいがい僕一人がコントロールしていた。
そうした過去をすべて捨てようと決め、会社と業界を後にしたのである。

辞めると同時に仕事上の関係をいっさい絶って、今度の秋で丸4年になる。
過去とまったく関連のない個人事業を始め、新しい出会いを繰り返し、昨年まで過ごしてきた。
おかげさまで横のつながりだけは、やたらと広がっている。同時に「オレ、商売に向いてないよな」と、今さらながら思ったりもするが。

過去の経験が生かされる機会など、二度と訪れないはずだった。
それがあるご縁から、「道の駅」誘致活動の団体に参加するようになる。

「道の駅」が実現したって、それで地元になんの恩恵がもたらされるの? そう思っていた。
賑やかしになる?
その分マナーの悪い観光客が増えて、地元にとって迷惑になるだけなんじゃないか。
雇用が生まれる?
若い連中の多くは外に出ているし、これから育つ子供たちのどれほどがその施設で働こうと思うだろう。
お金が落ちる?
施設の管理はそれなりの組織が担うわけで、地元の農家が潤うほどの目こぼしなんて、ないんじゃないの。

ネガティブな思考が続く中、「それなりの組織」というところで引っかかるものがあった。
「道の駅」を運営しているのは行政じゃなく、民間がほとんどだよな。
市から委託を受けた組織が然るべき額で契約して運営するなら、それって指定管理者制度になるんじゃないのか?

指定管理者制度は、公の施設を管理運営する方法として定められた制度です。
平成15(2003)年9月2日の地方自治法の改正により、それまでの管理委託制度に代わって導入されました。
公の施設のうち、市が直接管理を行わず外部に管理を任せる施設については、指定管理者を指定して市の業務を代行させることになります。

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調べてみると「道の駅」の大半は、一般にはなじみの薄い指定管理者制度による委託業務であることがわかった。
それって僕が現役時代、幾つもの現場を管理してきた手法じゃないか。だったら、その経験が生かせるかもしれないぞ。

捨てたはずの過去が、現在と繋がり始めた。(明日に続く)

イラスト hanami🛸|ω・)و

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