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神さまはご機嫌ななめ

2024年(令和6年)1月1日16時10分、能登半島地震のとはんとうじしんが発生した。
地震の規模はМ7.6で、内陸部で発生する地震としては日本でも稀な大きさになる。能登半島西方沖から佐渡島西方沖にかけて伸びる活断層が、震源とされている。

各地で土砂災害、火災、液状化現象、家屋の倒壊が相次ぎ、交通網も寸断されるなど、奥能登地域を中心に北陸地方の各地で甚大じんだいな被害をもたらした。交通網の寸断や被災地の地形により、自衛隊による救助活動も難航する。
元日に発生した大地震であるため、帰省者の増加で人的被害が拡大するなど、社会的にも大きな影響があった。

元来、正月を祝うのは日本の神事しんじだ。
各家に「歳神様としがみさま」をお迎えし、その年一年分の霊力をいただく。元旦になると家々に新年の幸せをもたらすため高い山から降りてくる神様が「歳神様としがみさま」で、「正月様」「歳徳神としとくじん」とも呼ばれている。

我々の先人は、祖先の霊が田の神や山の神になり、正月には「歳神様としがみさま」となって子孫の繁栄を見守ってくれるのだと考えた。そこでたくさんの幸せを授かるため、「歳神様としがみさま」をお迎えしてお祝いする様々な風習や行事が生まれたのだ。

門松は歳神様としがみさまをお迎えする目印であり、鏡餅は歳神様としがみさまのご神体となる。
「お年玉」は「歳神様としがみさまからいただくたましい」のことだ。子供に一年間過ごせるだけの霊力を、お金に変えて与えるというのが本来の意味になる。

よりによってその大切な日に、巨大な災害が日本を襲う。神さまは本気でお怒りだと思った。
被災された能登の皆様にではなく、我々すべての日本人に対してである。

神さまのご意思を忖度そんたくするなど不遜ふそんかもしれないが、度を越した自然災害が近年ことに増えているのには、やはり理由があるだろう。いましめであり、警告と捉えるのが妥当じゃなかろうか。

奥能登の農家には、「あえのこと」という古くから伝わる農耕儀礼がある。「あえ」はもてなし、「こと」は祭りを意味する。
一年の収穫の感謝と次の年の五穀豊穣ごこくほうじょうを祈願し、姿の見えない田の神さまを食事と入浴でもてなす。

あたかも田の神さまがその場にいるかのように、神さまを家に案内するときは足元を気にかけ、「まずは一服」とお茶を振る舞い、風呂を沸かしては「湯加減はいかがですか?」と声をかける。
厳しい自然と向き合いながら農を生業なりわいとしてきた、ご先祖の教えだ。神さまへのもてなしは、自分たちの命をつなぐ行為でもあった。

日本の神さまは、人間と持ちつ持たれつの関係にある。
他国のような絶対神でなく、もともとそういうお立場だった神さまがいれば、死してまつられ神さまになるご先祖もいる。「神」と「人」のように完全な上下関係になく、一方的な罰を与えられたりはしない。

日ごろ気にかけ大事にしてくれれば、それじゃあこっちも応えてやるかと、お互い様の関係が基本だ。
伊勢神宮いせじんぐうの立派なやしろ鎮座ちんざましましてもいれば、河原に転がる苔むした石にも宿っている。
その神さまが「キミたち、大概にせぇよ」とお怒りになったのが、令和6年元旦だったと思えてならない。

神さまの出した「宿題」は、古来からの伝統文化(珠洲焼・輪島塗・輪島の紙漉き・七尾和ろうそく・真麻の能登上布・山中漆器等々)に満ちたこの地を、自らの手でみごと再興して見せよ、ではなかったか。
過疎化は、たとえばこれを機に中央集約型の今の行政システムの一部を移転すれば、解消される可能性大だ。これだけネットの成熟した時代、霞が関に官僚が留まる理由などない。

これに対し悪代官(べら棒に徴税ちょうぜいしながら下記の理由から能登を見捨てようとしている国を、こう呼んでも間違いではないだろう)の行うとする仕打ちはこうだ。

財務省は9日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会を開き、能登半島地震の被災地の復旧・復興は「将来の需要減少や維持管理コストも念頭に置き、住民の意向を踏まえ、十分な検討が必要だ」と訴えた。「被災地の多くが人口減少局面にある」ことを理由に挙げ「過去の災害の事例も教訓に集約的なまちづくり」を提言した。
復興が本格化する中、無駄な財政支出は避けたいとの立場を明確にした。分科会終了後に増田寛也会長代理(日本郵政社長)が記者会見し「家の片付けが進んでない地域に、将来の議論をしようと言っても難しい」と指摘。被災状況の地域差や住民の考えを理解した上での復興が重要だとした。

2024年04月09日 13時08分共同通信

どうせ過疎地だったんだし、今さら復興したって意味なくね?
それだったら地域内活動の利便性が向上し、それに伴い経済の活性化が実現されるコンパクトシティに作り替えればいいんじゃん、ってわけである。
実質、地方の切り捨てである。

あくまで個人の意見だが、それじゃあ日本の神さまは益々ますますむかつき、「てめぇ、ここまでしてもまだ解んねぇのか!」と、さらに強烈なのぶちかましそうでビビっている。
今のところ台風10号が、本州直撃の予報も出ていることだし。

神さま~、お怒りごもっともなんで、悪代官のあいつとかあいつとか、やっちゃってください~。たみ「を救い、お怒りをおしずめ下さい~。

そのためには我々も、もっと神さまをうやまわなきゃな。

イラスト Atelier hanami@はなのす

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