名残の歌
2021年7月27日 8:41 AMのブログ
青田ケンイチの通夜が、明日7月27日に行われるそうだ。
心筋梗塞か。
この逝き方なら、苦しみも長引かず済んだかもしれないし、個人的には悪くない。周りはそんなこと言ってられないけれど。
彼は一人住まいだったが、もうじき賑やかな家族の一員になるはずだった。
その未来を心待ちに、一方では若干のプレッシャーも感じながら、金に無欲な彼は僕に語りかけた。
コロナ禍で途絶えがちな、スタジオの利用。明るい展望がどうしても描けない。
じゃあ、一緒に新しいこと試してみようか。
全くの思いつきから、先行投資の必要ないYouTubeチャンネルを開設しようとなった。
最初は彼の歌を主体に、いずれは同じく表現の場を奪われた地元ミュージシャンにも貢献できるような形を目指して。
歌自慢のカラオケ大好きさんに働きかけ、彼が歌を録り僕が動画を撮って、カラオケ版ミュージックビデオで売り出すか。
潜在的な需要、結構あるんじゃない? 熱唱するご自身の晴れ姿、背景はワイキキだって武道館だって、いか様にも変えられるし。
1本、いくらでやるか。本気で(少なくとも僕の方は)取り組む気でいたんだ。
音楽一本で食っていけるビジネスモデルを作ろう、だって現に、スタジオはあるんだから。
これまでありそうでなかった商品。関わるみんなが、ハッピーになれる事業。試してみたかった。
青ケンの思いが詰まったECHO Studio。
形は変わっても、一人じゃなくて有志でも、存続できないもんかなぁ。
2021年10月24日 10:40 PMブログ
気づけば青田ケンイチ(青ケン)が突然この世を去ってから、もう3ヶ月以上経っている。
元気だったら今頃、スタートして数ヶ月の共同事業がだいぶ進展していたんじゃないか。
週に1回、原則として金曜日の夜、彼のスタジオを訪れる計画だった。
その場でレコーディングと録画を行い、YouTubeに専用チャンネルを作ってはアップしていく。もし順調に行けば20〜30本程度が、すでに形になっていたはず。
彼の歌を皮切りに、地元ミュージシャンや歌自慢しろうとさんの表現の場にしようと、僕らは目論んでいた。
あれからカメラや小道具も増えたし、基本的な技術も多少は向上してきた。今ならもっと、完成度高いものにする自信があるんだが。
なんて、悔やんでも致し方ない事だ。
逝去してまもなく、この世で認知されたと言い難がたい彼の歌が、人材会社のCMソングとして、関東の地上波で流れることになった。
彼と親しかった人から僕のTwitterにお知らせが来て、「よかったな、青ケン」って、その時つぶやいたっけ。
どういう経緯からかは知らないけれど、無数にある楽曲から彼を選んだ第三者のいてくれたことが、とても嬉しかった。
「BACK HOME」。彼が発表した最後のCDのタイトル曲で、この作品集のオープニングナンバーでもある。
今はUSBに落として、移動中の車の中でときおり聴いている。
どれも質の高いポップで、BGMのように素通りしていくわけじゃないけど、耳にとても馴染む。
去年の暮れから、彼を介して地元ミュージシャンの作品に触れる機会が増えた。でも、一定の水準に達していると思われる存在は、意外に少ない。
好き嫌い以前に、技術的だったり表現力の未熟さのところで躓いてしまう人が、残念ながらほとんどだ。
表現の稚拙が邪魔をしてその人の世界に浸れないポイントこそ、プロとセミプロを分ける境界線なのかもしれない。
ともかく青ケンは、持って生まれた声のパワーにとても恵まれていた。
彼は、プロだった。だからもっと広く、みんなに知られて欲しかった。
いつか彼の残した音楽をテーマに、映像作品を作ってみたいと思っている。
イラスト hanami🛸|ω・)و