貧しい国は 災害である
昨日、ネットでこんな記事を見た。
移住婚とは、一般社団法人日本婚活支援協会と地方自治体が連携し、都市部から地方への移住を希望する独身者に、結婚相手と移住先を同時にサポートする取り組みだそうだ。
日本女子も、ずいぶん安く見積もられたもんである。「60万円やるから地方の男と結婚しろ」というわけだ。
そうはいっても、その日暮らしの金に困った都市生活者であれば、60万円の一時金も魅力に見えないことはない。
婚活イベントの交通費は出るというし、出かけた先の純朴な田舎のにいちゃんに取り入って、そのまま「移住婚」の体裁を整えてしまうことだって可能だろう。
入籍して60万円の入金を確認した後なら、相手が気に入らなければ即別れ、東京圏に戻ればいい。記事を読む限り回数制限はないから、結婚相手を道具と割り切れば、いろいろな地方での生活をエンジョイしながら、そのつど支援金をゲットできる理屈だ。
「過度な一極集中に歯止めをかける」とは、また噴飯ものである。過度な一極集中を生んでいる張本人こそ、官庁そのものじゃないか。
東京一極集中の是正は、政府を挙げて取り組んだはずが見るべき成果を上げていない。中央省庁の地方移転など、まさにかけ声倒れになったままである。
たとえば「2022年貧乏自治体ランキング」において、断トツ1位の北海道夕張市に厚生労働省が移転すればどうなるか。
医療関連の業界はこぞって、本社や支店を夕張市に置くようになるだろう。(かつてレジャー産業の失敗から)財政再建を強いられる同市において、この医療産業の分野に限っただけでも、「貧乏自治体ランキング」1位から、「金持ち自治体ランキング」ベスト3にいきなりランクインするのも夢じゃない。
北海道が厚生労働省なら、防衛省を沖縄に置くのもいい。それぞれ日本の端に位置する場所に、インバウンド頼みのレジャー産業は危険だ。経済的に安定しないし、隣国からの様々な浸透工作も容易になるからだ。
農林水産省は東北に、財務省は国税庁と歳入庁を創設のうえ速やかに分離し、北関東と九州辺りにそれぞれ設置してはどうか。
文部科学省のうち「文部省」は存在自体が不要だが、どうしてもと言うなら文化庁が移転済みの京都に移転し、分離した(国にとって大切な)科学省を中部地方に設置するとか。
ちなみに我が静岡には、国土交通省をお願いしたい。実現すれば僕が「道の駅」を陳情するとき何かとラクである。そんな動機じゃ、アカンか。
妄想と言われればそれまでだが、中央省庁の地方移転の構想は、常に問われ続けている。
当事者の官僚が、なぜか霞が関にしがみついているため実現しないだけだ。
甲子園にこだわる高校球児ならまだしも、大の大人が受験勉強に勝ち抜いた象徴として「霞が関」を引きずり続けたままでは、国益を大いに損なう。
地方移転が実現すれば、予想される首都直下型地震時のリスク分散となり、衰退著しい地方での目覚ましい経済波及効果が見込まれる。
英断できる政治家(政党)、出てこないもんだろうか。
移住婚とやらに話しを戻せば、人は住みたいところに住むし、惚れた腫れたで結婚するのが常だろう。
金で釣るなら最低でもう二桁くらいゼロを足さなきゃなるまいし、それで一緒になったカップルが未来の子孫繁栄に寄与するとは、とても思えない。
同様のことは、「こども家庭庁」の概算要求にも当てはまる。この記事のどこに、6兆円の血税を投入する必然性があるのか、皆目理解できない。
おかしな省庁におかしな担当大臣が就き、おかしな予算要求によって、子供にとって成果どころか、害悪にもなりかねない。
ちなみに「子供」じゃなくて「こども」と表記する理由は、以下の通りだ。
読んでいて、頭がくらくらする。理念からして、意味不明だ。
「こども」とは年齢で区切らない存在だそうで、自称「こども」であれば、僕もあなたも支援の対象になるらしい。
なんだか、LGBT理解増進法に被ってるぞ。あれも自称「おんな」であれば、僕でもすぐに女として認められるって、確か最高裁判決が下ってたよな。
ウフッ。これからはサクラちゃんって呼んでね~、ってか。
日本の貧困化とは、単なる物理的事象を指すのではなく、極めて貧困な発想しかできなくなった国の中枢機関にこそ、当てはまるようだ。
イラスト Atelier hanami@はなのす