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田舎にやさしい「いはラボ」

以下、今後のためのちょっとした覚書。

来年2月オープンする「いはラボ」が目的にすべきことの一つは、地域密着型ビジネスのターミナルになることだ。
地域密着型ビジネスとは、地域の特性や資源を活かし、地域のニーズに応える商売だ。地域の経済を活性化し、持続可能な発展を目指し、地域社会と共に成長していくビジネスモデルになる。

具体的には、以下のような出店希望者を募るところから始める。
〇 カフェの経営に興味ある方。将来的には自分の店を持ちたいが、現段階ではハードルが高いため、日単位・週単位でのお店を試してみたい人。
〇 各種ワークショップを開きたい方。お客様体験型の商品販売の場として活用したい人。
〇 少人数の教室を開きたい方。営利目的が可能な施設のため、セミナー代を取って集客することが可能。
〇 委託販売を望まれる方。地元の人の手作りであることを原則に、アクセサリーや小物を陳列することが可能。
〇 店先でのキッチンカー(軽トラ可)の販売や、お弁当の販売を希望される方。
〇 企業情報、求人情報など、協賛を得ながらの活用。

政治・宗教・反社組織に関係するもの以外、地域活性化に貢献すると判断される法人・個人であれば、内容の如何いかんを問わないつもりだ。

そのため、地域コミュニティとの連携れんけいこそが、「いはラボ」の基盤となる。
我々プロジェクトがすでに実施している事例として、年に1度の「清水いはらフェス」、月に1度の「清水いはらマルシェ」という定期的開催がある。
フェスもマルシェも地元の農産物や手作り品が販売され、地元に根差すプロスポーツチームも参加しながら、地域の人々が集まる場となっている。

便宜べんぎ上「いはラボ」とプロジェクトは別組織のていをとっているが、実際に動く人間が変わるわけでもない。年1・月1のイベントに、毎日のメニューが加わるまでのことだ(エラいこっちゃな量ではあるが)。
今後は地元の小中学校やNPOとも連携し、子供たちのワークショップや環境保護活動など企画しながら、地域全体の絆を深めていきたい。

地域の問題解決に取り組むことも、重要なテーマになる。
現在の日本がそうであるように、我が庵原いはら地区においても少子高齢化は加速しており、高齢者の孤立が問題となり始めている。とくに仕事から退いた高齢男性は地域との繋がりも薄く、コミュニケーションが苦手で家にこもりやすい。
地元の企業に呼び掛けるなどして、高齢者向けの交流イベントやサポートサービスを提供するなど、地域全体の福祉向上に貢献していくべきだろう。

地元資源を活用した商品の発掘も、大きなテーマの一つになる。
たとえばインテリアやかんざしを現代風にアレンジした地元の板金工場は、若い世代にも受け入れられる商品開発に積極的だ。
”デキる”女性社長は地域の伝統文化を守りながら、新たな市場の開拓を目指している。手作りによるステンレスかんざしは、贈答用にも最適な一品だ。
こういう企業の存在が、灯台下暗しとうだいもとくらしなのかあまり知られていない。地元が誇れるこうした企業情報発信の、一翼を担っていきたい。

地元の食材を活用したレストランやカフェが増えている。
地産地消を積極的に進めようと、地元の農産物を使った料理を提供する庵原いはら出身のイタリアン料理店が人気を集める。このレストランでは地元の農家と直接契約し、新鮮な食材を仕入れることで、高品質な料理を提供している。
自家製ハムやサラミ、自家栽培のハーブなど、イタリア仕込みのシェフが一切の妥協なく作り上げたコース料理は、通の舌もうならせる逸品だ。

こうした地元グルメ情報も、「いはラボ」に行けばすべて確認できると言われる場にしていきたい。

地域特有のニーズを把握することは、他の場所との差別化を図るためにも重要だ。前回掲載したスマホの出張サービスなど、地域のニーズに応えながら課題解決に貢献する事業者を応援していく。

すでに「清水いはらフェス」などで一部実施しているが、地元の歴史や文化を紹介するツアー、地元の特産品を使った料理教室などを開催し、いずれは他所よそからの観光客も視野に入れていく。
背伸びする必要は全くないが、庵原いはらという土地が何やら楽しげで、いっちょ自分もそこで店を出しみるかと、人をその気にさせるような極小シリコンバレーを目指すのも一興である。

地域密着型ビジネスを行う以上、対象となる顧客の特徴を深く理解することだ。地域ごとに異なる文化や習慣、ニーズに対応するためには、まずそれらを的確に捉える必要がある。
顧客と直接対話する機会を設け、フィードバックを集めることで、より細かなサービス改善や商品開発を行うことができる。
せっかくフェスやマルシェを開催しているのであれば、来場者のライフスタイルを観察し、新たなビジネスチャンスにつなげる努力も必要だ。
顧客の特性を踏まえた展開はプラスの循環を生み出し、地域に根差したビジネスを成長させる鍵になるはずだ。

ビジネスにおける最初のステップは、潜在顧客が何を求めているかを理解することから始まる。
顧客が持つニーズをきちんと把握し、その期待に応える商品やサービスを提供するべく、地元の声を集め、データを収集していく。
地元民の行動パターン・好み・購買動機をつかんだら、それを地元企業に還流していく。そのための情報基地としての機能を、充実させていかなければならない。

口コミは購買行動に大きな影響を与える、強力なツールになる。
「いはラボ」来店者からの耳よりローカル情報を拡げ、小ぶりでも地域参加型の情報発信施設、田舎にやさしい拠点づくりを目指していくつもりだ。

イラスト Atelier hanami@はなのす

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