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口コミ上手

12月1日に、月1回定例の「清水いはらマルシェ」を開催する。出店者の受付をしていたら、なぜか今回は7店も新規申込があった。
そのほとんどが他の場所で出店した際、来店客の情報からこちらの存在を知ったというものだった。

地元には定期的に案内を配布したり、場所を限定した新聞折込を実施している。プレスリリースも毎回行っているが、話題性に乏しいから取材は最近来なくなった。

その程度では、広く周知することには繋がらない。SNSやホームページでも案内はしているが、実際に来店した人でないと、情報まで辿り着かない事の方が多かろう。やはり大事なのは、口コミということになる。

今月3日、タロット占いの店に行列ができたのはInstagramインスタグラムでの高評価だったし、今回の新規さんは口コミで「あそこいいわよ」「一度連絡してみたら」の声が多かったからで、お客さんを通じて初めて我がマルシェの存在を知った出店希望者と、繋がることができた。
ありがたい限りである。

口コミが与える影響の大きさを、改めて思い知った。
そうした第三者からの情報によって気持ちが左右される心理現象を、ウィンザー効果(Winzer effect)と呼ぶ。

ウィンザー効果は情報やメッセージを直接ではなく、第三者を通じて伝わることで、その信頼性や影響力が増す現象だ。
個人が直接発信する情報よりも、信頼できる第三者から伝えられる情報の方をより信じやすいという、心理的なメカニズムに基づいている。
この効果はマーケティングや広報活動、個人的なコミュニケーションなど、さまざまな場面で利用されている。

ビジネスの世界では、特にマーケティングやブランド構築においてウィンザー効果が重要な役割を果たしている。
たとえば製品やサービスの宣伝において、企業自らが行う広告よりも、顧客やSNSのインフルエンサーによる推薦やレビューの方が、消費者に対して強い影響力を持っている。

SNSにおけるインフルエンサーとは、「SNS上で多くのフォロワーを抱える人」のことだ。
インフルエンサーによって、強みにしているメディアや専門領域は異なる。
たとえば、Instagramインスタグラムにおいて、コスメ領域で影響力を持つ人。
YouTubeにおいて、ゲームやガジェット領域で影響力を持つ人。
X(旧Twitter)において、料理やレシピ領域で影響力を持つ人など、様々なインフルエンサーが存在している。

インフルエンサーは長期にわたり、自分の分野で信頼性と権威性、フォロワーとの関係性を築き上げてきたユーザーになる。
そのためフォロワーは、インフルエンサーが推奨する製品やサービスを、ブランドや広告主から直接聞くよりも信頼しやすい傾向にある。

他の顧客によるレビューや評価が、非常に重要な世の中だ。
オンラインショッピングがその典型だが、見知らぬ他人のレビューであってもポジティブなものが多ければ、消費者はその製品を信頼しやすくなり、購入に踏み切ることが多い。

ウィンザー効果は、個人的な人間関係においても顕著に現れる。
人々は直接的な自己評価よりも他者からの評価や意見を、より信頼する傾向がある。

たとえば、職場での推薦や紹介において、同僚や上司からの評価や推薦状は非常に重要だ。
自らの能力をアピールするよりも、信頼される第三者からの推薦の方が、採用担当者や人事担当者に対して強い影響力を持っている。

友人同士の関係においては、直接的なアドバイスよりも共通の友人や信頼できる第三者を通じたアドバイスの方が、受け入れられやすい。
人は第三者による客観的な視点や信頼性を、高く評価するからだ。

ウィンザー効果は、恋愛関係においても利用されている。
恋愛においては直接的なアプローチや告白よりも、第三者を介した情報伝達が効果的だ。

その活かし方としては、相手の外堀から埋める。
たとえば相手の友達などに「〇〇さんがあなたのこと気になってるみたい」などと伝えてもらうと、相手も自分のことを気にしてくれる可能性がある。
友人から相手に自分の気持ちを伝えてもらうことで信頼感や安心感が生まれ、関係性が進展しやすくなるのだ。

デートの計画においても、第三者の意見やアドバイスを参考にすることで、より信頼できる情報を得ることができる。
たとえば、友人からの推薦によって訪れる場所やレストランを選ぶことで、相手とのデートがより成功する可能性は高まるはずだ。

ウィンザー効果は、情報やメッセージの信頼性を高めるために重要な役割を果たしておる。
ビジネス、人間関係、恋愛といったさまざまな分野で、第三者を介した情報伝達が効果的に(無意識も含め)利用されている。
ウィンザー効果を適切に活用することで、より良いコミュニケーションや関係構築が可能となる。

では、マルシェを続けてきてウィンザー効果を一度でも意識したかというと、そんな事はない。いくら戦略を立てようと実行できる元手もとでがないし、ただ知っている伝手つてを頼りにやってきたに過ぎない。

結果としてそれがウィンザー効果に繋がったとするなら、まずは続けることが商いの基本ってことを、改めて学べたという事だろうか。

イラスト Atelier hanami@はなのす

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