夢のもつれ
このところ、話のまるで通じない相手とやり取りしている。
役人なんてそんなもんだとの認識はあるものの、理解できない度合いが桁違いだと、さすがに消耗もする。
たとえば、地域おこしのため活動しようという集団に対して、「地域の中の事は一切関係ないから、外から来たお客さんに向けて情報発信せよ。それが予算を取った意味だ」などと言われたら、怒りを通り越して脱力するしかない。
少しは相手のこともわきまえたら?と思うが、彼らからすればケンカを売っているつもりなどないはずだ。
上役に上げた主旨通りに運営されないと、自分たちが困る。みえているのは、そこだけなんだろう。
相手がどう作文し予算をつけようと、当事者の根幹の思いが反映されていないのであれば、協定を結ぶことなど不可能である。
関わっても疲弊するだけで、何も得るものがないからだ。もっと言えば、彼らの主張通り始めたなら実態としてどうなるか、そうしたリアリズム、想像力がまるで働いていない。
「だったら、やんないもんねー」を匂わせたら、少し焦ってきたようだ。獲得した予算が宙に浮いたりでもしたら、担当者の面子は丸つぶれだろう。いかに想像力に乏しい人物であろうと、自分の不利になることであれば敏感になるはずだ。
こっちはまだ契約以前の段階だし、駆け引きなしに出来ないものは出来ないと言うに過ぎない。
こんな風に後ろ向きに考えなければならないこと自体が、とても疲れる話なのだが。
朝から電話で、しょーもない消耗戦を繰り広げた。結論として数日中には協定案とやらが提示されるらしく、こっちはそれ見て、あとの態度を決めるだけにしよう。それしか出来る事がない。
今朝みた夢もどうやらこの件が頭にあるらしく、場所の設定は違えど同じ傾向の展開だった。
ところが夢の方では、物事が順調に進んでいくんである。ちょうど今朝のやり取りくらいのところで目が覚めたが、夢と現実を交換したくらいの気分になった。
世の中は夢かうつつかうつつとも夢とも知らずありてなければ
(古今和歌集・巻第十八・雑歌下・題しらず・よみ人しらず)
(この世は夢なのか、現なのか。はたして現実なのか、夢なのか、そんなことは誰にも分からない。なんとなればこの世は存在しているのに、存在していないのだから)
1,100年前の「よみ人しらず」さんによって、僕たちが「在る」と認識している現実がいかに儚く曖昧なものであるか、すでに看破されてしまっている。
すごいもんだ。何だかいま自分が相手にしているチンプンカンプンさん達が、実は夢に現れる存在に過ぎない可能性があるってことだ。ってな風に考えれば、あんまりガチに悩むこともないんだろうがなぁ。
夢と現がもつれて、けっきょく心はもたれたままなのよね。
イラスト Atelier hanami@はなのす