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正体なき不安
不安遺伝子というのがあるらしい。
日本人の不安遺伝子保有率は約80%と欧米諸国に比べて高く、10人中8人がこの遺伝子を持っていることになる。
そういえば今年も、国連が世界の幸福度のランキング「世界幸福度報告書」を発表している。
結果は1位が7年連続でフィンランド。2位デンマーク、3位アイスランド、4位スウェーデン。
5位イスラエル、6位オランダ、7位ノルウェー、8位ルクセンブルク、9位スイス、10位はオーストラリアとなり、日本は51位と相当低い。
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もちろん、国連自体が実にいかがわしい組織で、こんなランキングなど指標の立て方ひとつでどうとでも変わってしまう。真剣に受け止める必要などないのかもしれないが、不安遺伝子とやらが存在するのであれば、あり得る順位と言えなくもない。
たしかに僕の周りに、「なんでそんな事まで気にしてんねん」的な人たちが少なからずおられる。
たとえば集会場に、Wi-Fiを導入しようと提案する。
月の初めに広報の編集会議を行うが、原案を編集者が人数分プリントアウトして配り、そこから「アーじゃねえ、コーじゃねえ」が始まるので、やたら時間がかかる。
さらにその場で校正して決まったはずの原稿に対し、帰った後に「コーしたら、アーしたら」と追加の電話が入るらしく、それじゃ何のための編集会議なんだと思ってしまう。
それがWi-Fiとノートパソコン、ちょっと大きめのディスプレイがあれば、皆さんが集まった際、視覚化された環境で構成が出来るじゃない。
内容を確定し、その場でラクスルなりに発注してしまえば、後追い注文に応じる必要もなくなる。皆で決めたことを後から個人の意見で修正するのはよろしくないし、これを機会に導入を自治会に打診してはどうか(以前からしていて、現自治会長になってからは「もうちょっと待ってて」の状態)。
反応は「それだけのために、月数千円支払うのはもったいない」
もちろんそうで、Wi-Fiというのは人を集めるツールになるということだ。
たとえばYouTubeを開けば、そこには高齢者が興味ある健康法や趣味の世界など、無数にノウハウが開示されている。視聴した参加者で情報を共有し、工夫改良を重ねれば、地元独自の流儀が生まれるかもしれない。
パブリックドメイン(著作権切れ)になった歌や映画が観れるとなれば、喜んで集まるお年寄りも増えるだろう。
「導入して効果がなければ、それを決めた自治会長が、後々まで(陰口を)言われる」
成功すれば、後々まで評価されるんじゃないの?
「そのつど会館のカギの開け閉めをするのが大変だ」
主催者がカギを預かりに来ればいいんじゃない?どうせ最初のうちは、カギを持っているこっちの方で企画するんだし。
「Wi-Fiの電波は建物の外まで届くし、若い連中が駐車場でたむろするようになったら困る」
若い連中が集まるなら、導入は大成功じゃないの。だいたいパスワードがないと開けないから、やみくもに集まったりはしないけれどね。
「自分の家でやればいい」
アータ、それ言っちゃおしまいよ。
出来ない理由は、次々思いつくらしい。こちとら「効果なきゃ、止めればいいじゃん」くらいの発想だから、ともかくかみ合わない。それで最後には、
「(Wi-Fiを)入れてくれりゃ、そりゃありがたいけどさ」とくる。
どっちなんだい。
これも、日本に10人中8人いる不安遺伝子の保有者と捉えれば、合点がいく。僕は、残り2人の側という事だろう。
客観的に見て今の老後に夢も希望もないはずが、なんくるないさー(沖縄ことばで「挫けずに正しい道を歩むべく努力すれば、いつか良い日が来る」の意味)くらいのお気楽さである。
あまりにも不安がないので、「おれは大丈夫なのか」と不安になってしまうほどである。
「先行きが見えない」状況はリスクでもあり得るが、同じくらいにチャンスでもある。むしろ、自分が決めたその選択を、正解にしていくくらいの肚積もりでいたい。
明日に続く
イラスト hanami🛸|ω・)و