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リョナラーものがたり

※ほんとうにしょうもない創作小説。

おわらない歌がおわったから暗闇の現代、とある駅付近にごく普通のリョナラーがいました。(リョナラーを知らないお友達は検索しないでください、関連→くっころ)

リョナラーは類い稀なる美貌に恵まれたうえに知識が豊富な才媛でした。リョナラーは品行方正かつ知的な女子大生の皮をかぶりエリート街道のすみっこを内心ドキドキしつつ歩いていました。

リョナラーは絵がそこそこ描けるタイプのリョナラーだったため、見たいと思った絵は自給自足で補っています。ある日、リョナラーは某パズルゲームとのコラボ企画をきっかけに某コンテンツへの愛が再燃し、獲物を探しにネットフリックスという大海へ出航しました。これがのちの大航海ってわけよ。

そんなリョナラーに目どころか火までつけられてしまったコンテンツ(獲物)は「ジョジョの奇妙な冒険第3部」でした。クールなナイスガイ、空条承太郎率いるスターダストクルセイダースたちとDIOの間で繰り広げられるバトルのアツさにリョナラーまで燃やされるところでした。リョナラーの息の根を止めるチャンスでもありましたが失敗しました。しぶとく生き残り、推しキャラである空条承太郎が少しボロボロで戦った後感がある絵を描いて自給自足に励もうとしたその時、リョナラーに事件が起こりました。


「か、描けない」


ネットの海へ飛び込み、アニメのワンシーン、pixiv、Twitter、公式サイトなどから推しという名の獲物、空条承太郎を探しましたがうまく行きません。空条承太郎のイラストを黄金伝説のよゐこ濱口よろしく「獲ったどー!」することはできたリョナラーですが、一番大切なことができなかったのです。


「承太郎がカッコ良過ぎて描けない」


そう、妄想を絵に描き起こすこと。空条承太郎の言葉では語り尽くせないほどの美貌と常軌を逸した肉体美を、リョナラーには描くことができませんでした。
しかし、リョナラーには策がありました。


「両脚無くすか顔の半分グチャグチャにしてしまえば良いんだ」


自分のみで需要と供給が成立している状態なのを良いことに、人として大概な発想に至ったのです。リョナラーはうきうきと脚が無くなったバージョンと、顔の半分がグチャグチャになったバージョンを想像しはじめました。

しかし、ここで第二の壁にぶち当たるのです。そのまま潰れてしまえ、なんて思ったあなたを私は責めません。


「承太郎の魅力は堂々とした立ち姿だから脚なくなると違う」
「顔が半分もグチャグチャだったらそれはそれで承太郎じゃない」  


自分で名案思いついたというツラをしておいてこの始末。これには空条承太郎も「やれやれだぜ」と言いたくなるでしょう。


「わかんない、承太郎がわかんないよ…」


お前が始めた物語であるにも関わらず、リョナラーはエリート女子大生の皮を被って被害者ヅラを始めました。そしてついに、狂人の沙汰とも言える発想に至りました。


「そうだ、最初から承太郎がいなければ良いんだ」

マッドサイエンティストばりの発想です。推しキャラをここまで否定するのはオタクとしてどうなのでしょうか。

「承太郎〜顔が整いすぎててスタイルも抜群でよ〜…それでこっちは困ってるんだクソクソクソ」

褒め言葉なのか恨み言なのかよく分からない言葉をぶつぶつと呪詛のようにつぶやき、リョナラーは元々いた闇から更なる闇へと堕ちそうになりました。空条承太郎への歪んだ愛と、推しキャラを理想通りに描くことができなかった悔しさを断ち切るべく、割と最近入手したiPhoneSEから空条承太郎の画像を消そうとしました。

そして、奇跡は起きました。


「あ、超かっこいい好き」


空条承太郎の圧倒的美貌がリョナラーの心を浄化したのです。さすがジョースター家の子孫であり世界最強のスタンド使い。一人のリョナラーを深い闇からちょっとマシな闇へ救い出してしまいました。

この一件によりリョナラーは心を改めることはしませんでしたが、推しキャラに文句を言うのではなく自身の画力を高めることに専念するようになりました。ハッピーエンド

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