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作品紹介「サイバーバンク桃太郎」

 寝ぼけ眼でたまたま開いたTwitterで見かけた作品。最近ネット上で噂の〝Midjourney〟というAIに作画させるサービスを使っての実験作品のようだ。なかなか面白い試みで興味深いので、紹介してみようと思う。詳しくはリンク先を参照のこと。作品への感想などは元スレ主に伝えていただけるとありがたい。

https://twitter.com/rootport/status/1557233170348617728?t=TH9r2RJx0lClvdATmyYf4Q&s=19

 ストーリーとしては「桃太郎」を下敷きとして、サイバーパンクの世界観に上手く落とし込んでいると思う。プロフィールによると元スレ主は作家でありマンガ原作者としても活動しているらしいので、然もありなんというところだろう。
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 人々の90%がナノマシンにより電脳化した社会。ある日、スラム街で暮らしているお爺さんとお婆さんの元に衛生企業“ピーチ”から遺体搬送カプセルが届く。身元不明の脳死遺体に人工知能を埋め込んでストリッパーとして利用することを生業としているお婆さんだが、その日は遺体が届く予定ではなかった。カプセルを開けてみると、そこには遺体ではなく、意識を失った少年が横たわっていた。しかも少年の腰にインプラントされた拡張電脳には暗号化された“KBY(キビィ)”のデータが保存されていた。“KBY(キビィ)”を探しに行ったまま戻ってこなかった「姫」の行方を追っていたお爺さんは、手がかりを求めて少年をしばらく手元に置くことにする。
 少年はすっかり記憶を失っていて、自分が何者かわからない。やがて「姫」が巨大電脳企業「ナカタInc.」の人工島に囚われていることが判明し、少年は「姫」を救い出すために、また自分が何者かを知るために、警察官で協力者の「ワンコ」、電脳ジャンキーで武器ブローカーの「エイプ」、電脳にアクセスして相手に幻覚を見せる技術を持った「フェザント」とともに向かうのだった。果たして「姫」を助け出すことは出来るのか?少年はいったい何者なのか?世界を支配することができるという“KBY(キビィ)”とはいったい何なのか?
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 ストーリーのアウトラインは、ざっくりと言えばこんな感じ。
 「桃太郎」のあらすじをベースに、よくこれだけサイバーパンクっぽい怪しげな設定に落とし込んだものだと感心する。
 AIに指示を与えて描かせているため、多少の見づらさや人物作画の揺れなどはあるが、十分に読み応えのある作品に仕上がっていると思う。さすがプロのマンガ原作者の仕事。これを読んで感じることは、ストーリーがしっかりしていて、イメージに合った作画が伴えば、多少のアラがあっても作品としては成立するのではないかということだ。人間の作画であってもデッサンの崩れや作画の揺れは起こり得るし、それが持ち味となっている場合も多々ある。この実験はストーリー構成はできるが作画の苦手なクリエーターにとっての福音となるのではないかと思う。

 ただ、この〝Midjourney〟というサービス、描きたいものを英文のワードで指示しなければならず、なかなか狙い通りの作画にはならないらしい。それも時間の経過とともに、狙い通りに作画させるワード生成のノウハウのようなものは確立してくるのだろう。また、膨大なネットの海からワードによって拾ってきた画像を合成して作画しているため、元画像に対しての著作権問題なども取り沙汰されているようだ。いわゆる「パクリ」なのか「オマージュ」なのか「コラージュによる作品」なのか「オリジナル」なのか、そこらへんは難しい。新たな知的資材の活用方法についてのガイドラインを示す必要があるだろうが、なかなか現実はそこまでは追いついていないような気がする。

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