脳腫瘍の愛猫との1年間のお話 15
仕事から帰宅した主人とMRIの検査結果を聞きに行くために車で高度医療センターへと向かった。車内で主人が
「ここまで段取りしてくれてありがとう。」
と言ってくれた。すでにこの日までにかなり疲弊していた私はかかりつけ医とのやり取り、紹介状の手配、当日のMRI検査に持ち込むまでの獣医師への説明など、元気であれば普通にできることも、ひどく労力を伴うことに感じていたためこの一言は有難かった。
現地に着くと担当医は急患の猫ちゃんの対応のため、また20分後ぐらいに戻ります。と言い残しいったん部屋を離れた。私達はしばし面談室で待機していた。獣医師も非常に忙しそうだ。並行していくつもの業務を行っているのだろう。大変だ。。なんて思っているうちに部屋に担当医が戻ってきた。
扉を開けるなり、担当医は開口一番に、
「べべちゃん、脳腫瘍でした。」
とあえてサラッと言った。
ああ、やはり脳疾患であったか、とどこか納得にも似た気持ちもあった。と同時に愛猫べべに「脳腫瘍」という病名がついたことに、月並みな言い方だが、頭をハンマーで後ろから殴られたようなショックを覚えていた。
納得と、ショック。相反しているようだがこのような複雑な気持ちを抱いたことを覚えている。
しかし、これから担当医の説明をべべのためにしっかりと理解しなければいけないという想いから気を取り直し、しっかりと担当医の方を向くことができた。