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脳腫瘍の愛猫との1年間のお話 16

担当医はMRI検査の画像を見せながら、説明を始めた。モニターにはべべの頭部の断面図。直視するために気合を入れた。
右頭部の前頭葉に非常に大きな腫瘍が一つ。2~3年かけて肥大化したものであると。おそらく髄膜腫の可能性が高い。髄膜腫が何かわからない私は後で調べようとノートに「ずいまくしゅ」と書いた。

それから、担当医は画像を切り替えた。
「その他にあと2つ頭部に腫瘍があります。」
頭がクラクラしてきた。当時はコロナ対策でマスク着用義務だったためマスクをしていたのだが息が苦しくなってきた。うまく酸素が取り込めない。

全部で3つの脳腫瘍。。。想定していなかった。想像していたよりもはるかに事態が深刻であることと、自分の分身のように思っていたべべがそのような病に冒されている事実を突き付けられたことで、自分の身体が痛く、呼吸がしにくくなっていた。

残りの2つの腫瘍は脳幹部、脳底部にそれぞれ1つずつ。その深刻さは後に調べて良く分かったのだが、担当医はこの高度医療センターに異動してからは初めて見たケースだと言った。とりあえずレアなケースである事は飲み込んだ。

脳に3つも腫瘍があるのだ。普通の生活が送れるわけがない。しかし、驚くべきことにこれが発覚する1ヵ月半ほど前まではべべはいわゆる普通の猫の生活を送っていたのだ。改めて猫の病気の進行の早さと、その症状の出現の遅さに驚くとともに、それを隠して生活していたべべの辛さにも想いがいき辛かった。


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