脳腫瘍の愛猫との1年間のお話 7
べべはメインクーンらしく、穏やかでめったに鳴かない猫だ。大型猫らしくややどんくさいところもあり、それもまた可愛かった。犬みたいに飼い主の後をついて回り、スポンジを投げると咥えて持ってくるという半分犬みたいな猫だ。
我が家は子供がいないこともありべべを溺愛している。べべ中心に家が回っている。これは猫を飼っていない人には分からないかもしれないが、自然とそうなるものだ。それゆえ、ちょっとした異変、調子の悪さを目にするとひどく心配になる。自分でももう少しこの状況を俯瞰的に見ればよかったのに。。と思うがそれはまるで我が子を心配する親の気持ちと一緒である。
こうして、本調子ではないべべを前に、対処療法的な対策を試みる毎日が始まった。夜鳴きには安定剤、食欲不振には食欲増進剤、食事皿を変える、カリカリの種類を増やす、不安定な行動にはジルケーン、フェリウェイ。猫を初めて飼った夫婦には試行錯誤の毎日で不慣れさと不安から私がイライラすることが多かった。
また、こんな不慣れな夫婦が飼い主で無かったら、べべを何とかしてやれるかもしれないのに。というべべに対する申し訳なさもあった。
それでもやるしかないんだ。とにかくべべの変化に毎日一喜一憂していた。