62日後にミュンヘンでインターンする愛知県民がビザ申請する話
この記事の情報が必要になる人なんてほとんどいないだろう。特殊なケースの手続きだろうと思う。この記事からぼくが伝えたいことは、「苦労したぜ」、「でも、回避策はあるぜ。ドイツってそういう国や」っていうメッセージ。
何が必要やねん?
ぼくはミュンヘンで仕事して暮らすために必要なものを挙げるぞ。生活面のことをあげればキリはない。けど、最低限の必要なものを書き出した。
滞在許可書 兼 労働許可書
この記事のメイントピック
アパート
この記事では書かない。
ヨーロッパで使える銀行口座
この記事では書かない。
保険
この記事では書かない。
そもそもお前は誰やねん
フランスで博士課程をやってる。企業と共同研究してた。共同研究してた企業から「きみの研究を実用的なソフトウェア実装してや」とリクエストもらった。そんでインターンすることにした。
滞在許可?
日本パスポートを持ってる人は、観光ビザが3ヶ月まで自動的に発行される [1]。
ただし、滞在許可と労働許可は別物。なので、ドイツで働くには労働許可を取らないといけない。
労働許可ってどうやって取るん?
そもそもドイツにおいては、労働許可ビザ[1]についても複数種類が存在している。ぼくが取得する労働許可は「ブルーカード」。カードと名乗ってるけど、要するにビザと解釈すればいい。
ブルーカードの取得にはいくつかの条件がある。仕事分野がドイツ政府にとって必要だったり、学歴が十分だったり、給与が最低額面あったり・・・etc.。 ちな、ブルーカード or 他ビザは「自分で選ぶ」もの。なので、あえて他タイプの労働ビザも選択できるぞ。でも、ブルーカードはかなーり優遇されてるビザタイプなので、可能なら選ばない理由はない。
注意: インターンの法的定義
ドイツには「インターンビザ」が存在する。ここを見てくれ!
今回の記事はインターンビザではない。契約書上は "Praktikum" と書いてあったとしても、ビザの扱いはインターンビザとは限らない。
フランスのドイツ大使館はマジヤバイぞ!
2023年現在、フランスのドイツ大使館は最悪である。最悪な理由は3つある。
「予約」待ちが少なくとも4ヶ月以上。
「予約」がいつになるのか、まったく予想できない。予約の2週間前にいきなり通知メールが来る。
「予約はいつか?」という質問に、大使館はいっさい回答しない。
ぼくがアホなだけじゃないんだぞー、という主張のため、他にも同じ憂き目に遭った人のTweetを紹介するぞ。
じゃあ、どうしてそんな最悪大使館で申請するのか?お前はドMなのか?と聞きたくなるかもしれない。いやいや、そうじゃないんですよ。ドイツ政府は「すべてのビザ申請は例外なく居住国の大使館」というルールがある。ドイツはフランス国内でパリにしかビザ窓口を置いてない。つまり、ぼくはパリ・ドイツ大使館で申請するしかない。
ちな、ぼくは他国のドイツ大使館にもメールで問い合わせした。「あなたのとこでビザ申請できる?」って。スイス ベルン・ドイツ大使館、イタリア ミラノ・ドイツ大使館、日本 東京・ドイツ大使館にメールした。 返事はいつも同じ:「居住国で申請してください」だった。返事してくれただけでもありがとう [3]。
ちな、結論、パリのドイツ大使館は6ヶ月経過したあとに予約メールを送ってきた:「2週間後に予約やからな。」って。いやいや、もうすでに旅行の予定とかありますがな。この時点ですでに予約は必要なくなっていた。なので、予約取り消ししようとしたら、予約システムが言うには「あなたの予約は存在しません」だって。マジウケるんですけど。
ドイツでブルーカード申請する
パリの大使館がヤバイならば、仕方がない。他の手を探すしか無い。
幸いにも、「ドイツの外人局で直接の申請する」という手段が残されている。日本パスポート所有者は3ヶ月滞在許可が自動的に存在する。この3ヶ月の間にビザ申請する。
ただし、注意したいことがある。ドイツの外人局も予約待ちがマジヤバイ。例えばぼくはミュンヘン外人局とフランクフルト外人局で予約待ち期間を調べた。3ヶ月待ちだった。いやいや、そんなに待てませんがな。
後述するが、外人局で申請するためには、まずその街に住まないといけない。つまりアパートの賃料を払わないといけない。外人局の予約を待つためだけに3ヶ月もアパートの賃料払うの?いやいや、それはないでしょう。
では、どうするのか?予約が早い外人局に行けば良いのだ。では、どの街の外人局が早いのか?それは口コミしかない[4]。
ぼくは運がいいことに友人からバードホンブルグの外人局は早い。という情報を得た。素晴らしい友人だ。
結論をいうと、バードホンブルグの外人局は最初の予約コンタクトから労働許可書をもらうまで、3週間ですべてが終わった [5]。ドイツ国内ではビックリレベルのスピードである。
先にも書いたが、外人局での申請のためには街での居住が必須。ドイツでは住民登録制度がある。なので、まずは市役所で住民登録し、そして外人局で申請することになる。
外人局とコミュニケーション:メールの書き方に意識を!
バードホンブルグの外人局はメールコミュニケーションだった。
ぼくはこれまでフランクフルト外人局でも申請したことがある。その時もメールコミュニケーションだった。きっと他の街もメールコミュニケーションが主流だろう。
ぼくたちは少しでも書類を早くもらいたい。では、誰が書類の処理をしてくれるのだろうか?外人局の担当者である。つまり、外人局の担当者が楽に仕事できるメールを書かなければいけないのだ [6]。
ぼくがメールコミュニケーションしてたときのプロセスを書き残しておく。
メッセージを自分で書く。
メッセージをChatGPTに直してもらう。
添付ファイル名を変える。ファイルを添付する。
メールを送信する。
メッセージの書き方にもコツがある。ChatGPTに直してもらうにしても「何を書くべきか?」「何を書かないべきか?」の吟味は必要。コツと意識したいことを書き残しておく。
そもそもドイツ語で書く。ドイツ語がわからなくてもChatGPTとGoogle翻訳で頑張れ。
段落ライティングを意識する。1段落は1メッセージ。段落の1文目は段落の要約。残りの段落テキストでは詳細な説明。
脚注を使う。本題からそれること、URLは脚注に書く。
法律的な根拠を示せるならば、条文の番号を示す。ドイツのお役所仕事マンは条文に弱い。
「あ、これ不安かも。。。。グレーゾーンかも」と思うことは書かない。担当者が言及しないことは「不要」と判断して良い。
添付ファイルが複数あるときは、添付ファイル目録を作る。何のためのファイルなのか?ちゃんと明記すること。
添付ファイルの情報が多い場合、かつ、必要な情報がファイルの一部分の場合にPDFアノテーションをつける。たとえば収入を示すために契約書を添付するとする。契約書はだいたい長い。そんなときに収入の項目にこれでもか!レベルの矢印マークを付けておく。PDFアノテーションつけたファイルとは別にオリジナルの無加工ファイルも添付すること。
結果的に、ぼくは今回のメールコミュニケーションは何の誤解もなく、もっともスムーズな申請だったと思う。ま、担当者ガチャでSSSを引いたのもあると思うけどね。
申請アポ当日
当たり前だけど、必要な書類はぜんぶ用意しよう。
だいたいの場合、書類の量はすごいことになる。なので、書類の整理は必須。そして書類はだいたいの場合カテゴリ分けできる。
カテゴリごとに分けて、クリップで止めておこう。さらにクリップ分けした書類束の上にはポストイットに目録を書いておこう。
担当者に書類束をまとめて渡すこともあるからだ。経験上、その方が早い。
申請アポの最後には「労働許可書面」を担当書がくれた。この書面はブルーカードと同じ効力を持つ。
振り返ってみると、前回のビザ申請よりもとても簡単な申請フローであった。ものすごい拍子抜けしてしまった感がある。
ぼくが労働許可の申請するまでの過程を記事にしてみた。ちょっと特殊なルートの申請フローしたので記事にしてみた。「こんなこともあるんやなぁ」と思いながら記事を読んでもらえたらぼくはうれしい 🙂
[1] 滞在許可を、ぼくはフランス政府から許可をもらっている。なので、シェンゲン協定内のドイツでも自動的に滞在できる。
[2] ちな労働許可は Arbeitsgenehmigung というぞ!アホみたいな長い単語がドイツ語の特徴だぞ!
[3] 東京・ドイツ大使館ではワンチャン申請できる可能性がある。だって、ぼくは日本国民だからね。でも、「ワンチャン確率」のレベル。いちばんの問題は、契約書に記載されてる居住地の住所。この住所をみると「え、きみフランスの居住者だよね。ダメダメ。パリの大使館に行ってね」と言われる可能性大。
[4] 外人局ごとによって予約方法がまったく違う。予約システムつかう外人局があれば、直メールの外人局もある。あらゆる分野に言えることだが、ドイツは国家レベルでシステムが統一されていない。
[5] 厳密にはブルーカードの現物をもらうまでは1ヶ月半かかっている。しかし、3週間で「労働許可書の書類」をもらった。この書類はブルーカード現物と同じ効力を持つ。
[6] それでも意地悪な担当者、勘違いが激しい担当者 etc. いろいろいる。外人局の担当者への期待レベルはゼロだと思っておけばいい。日本の市役所レベルを想定していくと地獄を見るぞ。