~当り前に思っていることの喜びを1歳児の保育で知る~
(写真のキャプション・・・❝天のがわのうみ❞ 息子2022年作)
私が保育士として1歳児クラスの担任をしていた時に
クラスに年度始めにまだ歩行が安定しなかった早生まれのMちゃんがいました。
その年のクラスの他のお子さんには歩行が安定している子が多く、
少し走れるようになったり、
自分で歩き回れるようになったりと色んな所に行ったりきたりと
気持ちのおもむくままに歩いて楽しんでいました。
そんな中、移動の際には保育者が抱っこして、園庭で遊んでいる時も
座って遊ぶことが多かったMちゃんは
歩き回るお友だちの姿を眉毛をハの字にして何だか悲しそうな表情でよく眺めていました。
私や保育者「Mちゃんも歩きたいよね」「自分で色んな所行きたいよね」
Mちゃん「うんうん」「うんうん」(Mちゃんうなずき)
そして私たちは一緒にずりバイしたり、立ち上がる動きを園での生活の中で増やしてみたりMちゃんの歩行が安定するような働きかけを。
数カ月後に歩けるようになったMちゃんが初めて買ってもらったシューズは
人気のキャラクターが付いたの白のスニーカー。
Mちゃんは靴箱の近くにいくと
そのスニーカーを 誰にも渡さないよ!といった感じで胸にギュっといつも抱きしめていました。
まだ言葉での会話ができる月齢ではなかったけど
Mちゃんのハの字の眉は「私も色んな所に行きたいな」「自由に行ってみたいな」「お友だちは歩けていいな」という思いからきていたのかもしれません。
そして 靴を抱きしめる彼女の姿からは
「歩けるようになったよ!」「ママとパパに初めて自分の靴をもらったよ!」「自分で行きたいところに行けるよ!」という喜びを感じました。
歩くことがこんなにも愛おしい行為だったなんて。
当り前に感じている、また今は出来ている日々の行為は
本当は喜びに満ちている素晴らしい行為なのかもしれない。
と、強く感動したことを何年経っても忘れられません。
保育をしていると 笑ったり、喜んだり、一緒に心を痛めたり、感動したり…
こどもの姿から気づかされることで溢れているこの仕事が
私はやっぱり好きで
もっと業界のそんな面を色々な人に知って欲しいと思っています。
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