私の会社は老人クラブ🥸
日本のGDPが下がり続けているのは、高齢化社会に歯止めがきかないからというのは、ご存じの通りだと思います。
単純に考えて、20代~40代と50代~70代では、前者の方が明らかに生産力、労働力は高いと思います。
GDPランキングを見てみても、日本の労働力人口6925万人に対して、インドの労働力人口は9億6000万人です。
現在は日本が4位でインドが5位にはなっていますが、ぬかれるのは明らかです。
IT関連や事務系の仕事なら、若い世代が少なくても、大幅な収入ダウンにはならないかもしれませんが、製造業、小売り業、運送業、建設業などの仕事は体力が資本になるため、高齢者が多い職場だと生産率はかなり下がっていると思います。
私が勤めている会社も、若い新入社員はほとんど入らなくなりました。中途採用でも、入ってくるのは40代の経験者ばかりです。
特に、最近は若者の車離れで、トラック、バス、タクシーの運転手が減り続けています。
その中でも、タクシーは完全歩合給の会社が多く、都心で走っている運転手は年収800万以上もチラホラいるようです。
しかし、トラックやバスは、運賃が安い上に、燃料代の高騰で給料がいっこうに上がりません。
『失われた30年』をもろにうけて、30年前と給与ベースがほとんど変わりません。
15年前は、私も35歳ということもあり、年収が700万を超えていましたが、50歳になって500万を切りだしました。
この差は何なのかを考えて、真っ先に思いつくのは、体力の低下と、労働時間の短縮です。
15年前までは、労働の制限時間は無制限でした。繁忙期では20時間~30時間連続労働もよくありました。
2時間~3時間トラックのベッドで寝て、また次の日も20時間働いていました。
3時間の睡眠が5日続くと、常に偏頭痛がして、1日中倦怠感がとれません。
日曜日だけが唯一の休みで、1週間の睡眠不足を補うように15時間くらい1回も起きることもなく爆睡していました。
2024年問題がささやかれはじめた3年前ほどから、時短要請されて勤務時間が大幅に短くなりました。
働く時間が短くなるということは、製造業なら作る商品も少なくなるのは自明の理です。
商品が減ったということは、トラックで運ぶ量も当然ながら少なくなります。
運ぶ荷物が減ると給料も少なくなります。サラリーマンのように固定給ではないため、物量が給料に直結します。
このような労働環境から、以前から運送業は人気がなかったのですが、さらに不人気が加速しているようです。
若者が入社しない上に、今いる人が年をとっていけば、会社は『老人クラブ』になってしまいます。
私の会社では、運転手が毎年数名65歳を超えて、ターミナル内でのピッチング作業をしています。運転手の数が減って、作業員の数が増えています。当然、会社の収入が減って、支出が増えることになるから、会社は儲かりません。
自然の摂理だから仕方がないのかもしれませんが、若い労働者を増やす方法はあります。
政府の力で全体の給与を見直す必要があると思います。
私の会社でも営業マンが荷主に運賃の引き上げを要求していますが、立場上、仕事をもらっているという意識から、強くうったえることができないのです。
荷主側も、そんなことは把握しているからマウントはこちら側にあるという意識です。
こうなると、第3者の政府の力にたよる以外にありません。お上の力は絶対的な拘束力があるのですから。
はっきり言って、運送業に従事している人は『貧乏暇なし』です。
求人情報誌などを見ると、『月収60万以上可能』という見出しを見かけます。
これは嘘ではありませんが、毎月という話ではありません。年に2、3回くらいではないでしょうか。
私の会社の協力会社の運転手には、毎月60~70はあるという人も確かにいます。しかし、そんな人は月の休日が1日しかありません。
一般労働者が好ましい労働環境を考えた時に大事にしているのは、『お金と時間』です。
いくら給料が高くても、上記のような休日だと誰もしたくありません。
公務員人気が高いのは、『お金と時間』をある程度満たしているからです。
みんなが考えていることは同じです。いっぱい給料をもらって、いっぱい楽しみたいのです。
しかし、残念ながら理想をかなえられているのは、わずかな人です。幸福の観念はnoterさんが数多く書いていますので、ここでは言いません。
ただ、今年は2024年問題の元年です。労働環境が少しずつよくはなってはいるものの、数字としてはなかなか可視化されません。
このまま流されて老人クラブの一員になることを恐れている今日この頃です。