音楽は記憶の扉を開く鍵
先日、朝の情報番組で酒井美妃さんを久しぶりに見ました。年をとっても10代の頃の可愛らしい雰囲気が漂っていました。
酒井美妃さんと言えば、思い出されるのは『白線流し』ですね。長瀬智也と恋人役で出演していました。
10代の大人の入り口にさしかかった若者たちが紆余曲折をへておりなす青春ラブストーリーに、当時同年代だった私はかなり共感しました。
その『白線流し』のテーマソングが『空も飛べるはず』です。スピッツの歌ですね。
当時1990年代にスピッツは大ブレークしました。
その中でも、『チェリー』という曲の歌詞が、当時つきあっていた彼女とのラブストーリーに見事にはまっていたのです。
だから、『チェリー』は私の物語の主題歌になりました。
『君をわすれない、曲がりくねった道をいく~』
『想像した以上に騒がしい未来が僕を待ってる~』
『愛してる、の響きだけで強くなれる気がしたよ~』
これらのフレーズがピタリと自分自身にはまりました。
このような感覚を味わったことのある人は多数いると思います。
だから、そのような音楽を聞くと、頭の中に過去の物語が鮮明に再生されますね。
感情が入った記憶は、記憶の部屋にしっかりとおさめられていますね。
そして、音楽がその扉を開く鍵的作用をはたしています。
バッハは次のような言葉を残しています。
『音楽だけが世界語であり、翻訳される必要がない。そこにおいては魂が魂に話しかける』
私たちが共感したり、共同作業をするにあたり、言語なくしては社会活動はできませんね。
しかし、音楽にやどる魂の叫びには、言葉は不要だと、バッハは言っているのでしょう。
人間の喜怒哀楽の感情は誰しも備わっています。
1つのメロディーから受けとる感情も似通っています。楽しいテンポ、寂しい曲、など音楽でイメージされる場面は、共通しますね。
その要因に今まで経験した楽しい記憶、つらい体験の記憶が、音楽という記憶の扉を開く鍵によって、解き放たれるからだと思います。
楽しいこと、つらいことは誰もが感じることです。
文学では登場人物のあらゆる言動によって、ことこまかな情景がイメージされますが、音楽では言語の力よりも、そのメロディーによって、鮮やかな記憶と共に、自分だけの情景が映し出されます。
音楽という芸術の分野なくして、心の安らぎはありえない、と思うこの頃です。