運送会社の今後
現在私は大手運送会社の路線乗務員をしています。すでに23年同じ会社に勤めていますが、特に今の会社が天職という場所ではありません。どこの運送会社もにたりよったりで、転職しても今より良い条件の会社は見込めないだろう、という見解です。かと言って50歳で他業種に転職する勇気とスキルもありません。
まぁ、トラックの運転手のほとんどがそうではないでしょうか。
しかし、運転手のメリットとしてはサラリーマンと違って、同業他社への転職がすんなりとできることです。それも、今働いている会社の待遇と差ほど変わらない会社への転職も十分可能です。サラリーマンだと、同業他社に行く場合は今より確実に年収が下がります。この前者と後者の違いは、仕事の容易さが大きく関係しています。運転手の仕事は荷主から依頼された配達先へ物を届けるという単純な事です。誰にでもできます。必要なスキルは体力と根性のみです。
しかし、近年トラックやバス、タクシーの運転手が減り続けている原因の一つは明らかに年収の低さでしょう。
勤務時間、労働日数が他業種より圧倒的に多いにも関わらず、平均年収は430万円程度です。バスの運転手に至っては380万円と言われています。
この現状を打開すべく、政府の策として2024年問題です。
一人あたりの労働時間が制限され、一人が運ぶ量が圧倒的に減るのです。物流難民が増加するのは必至です。そうすると、荷主は運賃を従来通りでは運送会社から運んでもらえないという現象が起こります。世間の慣わしとして、数がすくなく必要な物は値段が上がるのです。
トラックの台数が減れば運賃をしぶしぶでも上げざるを得ないのです。
この業界に生きる私としては、かなり期待しています。
しかし、そうやすやすとはいかないでしょう。日本人というのは固定観念をくつがえせないのです。保育士や介護士は給料が安いと一般労働者の常識です。私のような一介の運転手から見れば大変さがよくわかります。人を相手にする仕事は大変です。サービス業界は常に人を相手にしますが不特定多数です。特定の人と向き合う看護師、介護士、保育士は高収入であるべきだと思うのです。
ただ、世の中の給料の仕組みは、その仕事に就くための難易度と、就業してからの大変さに起因しています。まずは前者の就職試験、資格試験の難易度が給料に直結しているのはスキルの高さということは言うまでもありませんが、どれだけ社会に役にたっているか。もしくはどれだけ社会に影響力をもっているかで給料が算出されているということです。
そう考えると、『運送業は社会の底辺の仕事』とよく言われるのは理解に難しくありません。
産業の構図は封建的なピラミッド型になっています。製造業を筆頭に小売業、そして運送業が底辺に位置しています。やはり、この構図から見てもわかるように、三角形の底辺に位置する運送業が圧倒的に数が多いのです。多い物には価値が減るという現象はここでも生きています。
しかし、その多かったトラック運転手が減り出したということは、ここで逆転現象が引き起こるのです。減るという事は価値を上げなければ物として成り立ちません。
物を作ったはいいが、消費者の元に届かないとなれば本末転倒する。だから、絶対になくならない仕事だし、価値ある仕事なのです。
私は誇りをもって日々お客様の荷物を運んでいます。