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映画『さらば、わが愛/覇王別姫』感想  at 深谷シネマ

ずっと、見たかった映画。昔、見ようと思って見逃してしまった映画。
レスリー・チャン没後20年記念でリバイバル上映があるのを知る。
最初、シネテーク高崎で見ようと思ったが、予定が合わず断念。
Amazon Primeにも上がってこない。
諦めかけていたところ、深谷シネマで上映するのを知り、見にっ行ってきた。

深谷シネマは、初めて行く映画館。
元々は酒蔵だったところをリノベーションした、わずか60席のミニシアター。
ミニシアターに行くのは独身の時以来。
昔、大阪の扇町ミュージアムスクエアで『チェブラーシカ』見に行ったな、なんて思い出す。

映画は、ほぼ3時間と長丁場だが、それを感じさせないほど飽きることなく、画面に釘ずけとなり集中した。
レスリー・チャン演じる、京劇女型の姫が美しい。
文化大革命のシーンは、止めることの出来ない大きな渦に巻き込まれて行く様子が、狂気そのもので、見ていて苦しくなってしまう。
この空気の只中にあって、正気でいられる人などいない。
渦中に引き摺り込まれて、狂ってしまうしかない。
小樓も自分の命を守るために、愛する人を簡単に売ってしまう。
その時の菊仙の見開いた目、自害してしまうシーンに胸が詰まった。

また文革の中、簡単に思想が影響されてしまう小四。
しかし、京劇の女型として、「美しい物への憧れ」を消すことができず、蝶衣から没収したであろう京劇の飾りを愛でている姿が見つかってしまい、次に続く不幸が想像出来てやるせない。

レスリー・チャンの蝶衣は、ため息が漏れてしまう程、美しかった。
芸事に一途で、他のことに全く興味がない不器用さも、それを際立たせている。
大きな画面でこの映画を見れて良かったなと思いました。
“ブエノス・アイレス“も見たいなあ。

レスリー・チャンは、46歳で自死している。
先日、櫻井敦司さんが57歳で亡くなり、KANが61歳で亡くなってしまう。
高校生の時に好きで聞いていた、オーストラリアのロックバンド・INXSのマイケル・ハッチェンスは36歳で自死した。
ニルヴァーナのカート・コバーンは27歳で死去している。
早すぎる死は伝説になって、“死“というものに魅惑されそうになる。

それでも、生きていかなくてはと思う。

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