ロボット演劇
ロボット開発者である石黒浩氏と演劇界の重要人物の平田オリザ氏が共同で製作した?演劇。
単なる興味本位的な、物珍しさ的なところから発現したものかと思えば、現代に至るまでのロボットの開発論、そこに対するアプローチであるということも内容から伺えた。ロボットの可能性と共に、ロボットと共に生きるということはこういうことなんだと演劇を通して提示してもいるのだろう。北米の観客が感激したのはきっと「Detroit:Become human」に似たものがあるんだと思う。
外も中も人間に極めて似ている存在に対してどう向き合っていくのか。近い将来確実に訪れる未来に対しての演劇からの示唆。これぞ興味と社会的意義を両立させているのではないか。
先述の内容も踏まえて私がこの演劇を見たら、間違いなくロボットに感情移入するだろう。それはロボットには感情というプログラムはないだとか、マニュアル通りに動いているだけだとかいう意見によって翻されるものではない。日本人のアミニズム的な思想がもしかしたらそこには関わっているのかもしれないが、やはり人間、生き物に近しいものに対して多くの人は愛着を持ってしまうし、無碍にはできないのだと思う。家畜はどうなんだという話だが、彼ら彼女らにもし感情を言葉にする力があったら、間違いなく人間は今のような扱いはできないだろう(もしくは徹底した暗部にしまいこまれる)。英国では動物福祉法で節足動物、甲殻類を生きたまま茹でることを禁止したそう。生物だが感情を表せないものと非生物だが人間的なもの。相反するようで近しいのかもしれない。
近いうちに生物とは何か、命とは何か、感情とは何かという問いがアンドロイド領域から人間の方へ投げ返されて、受け止めざるおえないフェーズがやってきそう。時代も柔軟に変わっていったら良いと思う。