若手が1人、休んでいる
頑固な利用者でも、彼女には笑顔で答えるような
素朴で柔らかい空気を持つ、みんなの孫娘的存在である
介護技能実習生にあったのは、彼女が初めてで
名前の発音が難しくて、呼び方すら、わからなかった
素朴な空気を持つ美少女にみんなと一緒にすっかり魅了され
今ではすっかりニックネームで呼ばれている
素直で仕事は的確なうえに、
日本語力の高さと(彼女はトリリンガル)接遇能力の高さに驚く
日本人の介護スタッフと一緒に行う職場研修でも
漢字混じりの文章を詰まる事なく読み上げ
他の職員と遜色なく、申し送りもこなす
そんな彼女が、体調を崩してしまった
日本に来たばかりの時には、一緒にクリスマスを楽しみ、
あちこちに出かけたと聞く
しかし、コロナ禍で行動制限が始まり
慣れない生活と相まって、ストレスと疲労は蓄積したのかもしれない
コロナで不安なだけでなく、国の情勢も悪化して
やがて、眠れなくなったという
「あれ、○ちゃん、どこにいるの?」
「○は、今日は休みか?」
「○ちゃんおらんと、寂しいなあ」
何人もの利用者さんに尋ねられる度に、答える職員の表情も暗い
マスク越しでも笑顔が伝わってくるような彼女の雰囲気と
利用者さんへの丁寧な接遇を思うにつけ
彼女にのしかかる試練を思うと切なくなる
医療機関にかかり、薬を飲んで、しっかり休むことくらいしか
できることはないかもしれないけれど
抱える辛さを思うと、一緒に祈りたくなる
テレビやネットの報道では、ますます情勢は厳しいようだ
もうすぐ、母国に帰るはずだった彼女の思いは
どうしてあげたら良いのだろう
コロナのことも、国の情勢のことも
何一つ、力になることはできないけれど
一緒に祈りたいと思う
心から
願いが叶う事を、祈る