間違いなく、笑顔は武器
朝、出勤した途端にスマホが鳴った
現場からのコールは緊迫していて
「Aさんが離設(建物から外へ出ること)した!」とのこと
Aさんは帰宅願望で2回無断外出がある認知症の男性である
出勤途中の居宅管理者にも応援を頼み、自宅と弟宅にそれぞれ向かう
しばらく落ち着いていたのに、何があったのか
朝食担当のBヘルパーが、いつもの調子でAさんの行き手を阻んで
逆ギレでもされたのか、などなど想像しながら車を走らせる
しばらくすると、再度スマホが鳴った
「ごめん、いました!ガセでした!」
何?
まあ、良かったけど
朝から肝を冷やしたやん
小規模多機能に戻り、事情を聞くと
朝食の声をかけに行った BヘルパーにCさん(割とクセモノ)が
「Aさんがそっから(そちらから)でていったぞ!」と言い
真に受けたBヘルパーが確認をせずに応援を呼んだのが真相らしい
当のAさんは、自室で朝食の声かけを静かに待っていた
早合点したBさんに、早朝から外に出ていたヘルパー管理者はじめ
多くの職員が振り回された
いざという時の機動力が証明されたし、トレーニングになったけど
これはちょっと叱らないとなぁと考えていると
当のBヘルパーが破顔満面で「ごめーん!やってもた〜!」と
大声でみんなに謝り回る
「だから、いつも先に確認しなさいと言ってるでしょ!」と
厳しく叱る管理者も呆れ顔だが、目が笑っている
「ごめん、ごめん!もう正月ぼけやわ!」と言うBヘルパーに
これ以上、誰も叱るわけにはいかなかった
振り回された各管理者は
「まあ、良かったやん。何にもなくて」
「あんなおばちゃん、割と好きよ」
と、笑っている
あの笑顔満面、破顔しながらの派手な謝罪は
誰にも何も言わせぬ最強の武器であることを知った
職員の中で、おそらく最年長のBヘルパーの武器には
今のところ、誰も太刀打ちできない
これが若いスタッフなら、おそらくもっと違う展開になる
70超えのおばちゃんヘルパーは
その存在自体に重みと価値があり
良きにつけ悪しきにつけ、影響力があるのである
注意も必要だし、繰り返さないように指導しないといけないけれど
明るい笑顔は、厳しく叱る力を削いでしまう
厳しい叱責にも勝るのが、笑顔
笑顔は最強の武器
実感した出来事だった