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育つこと、育てること



娘が小さかった頃、遊びに来た親戚が

「大きくなったら面倒みてよ」と言った軽口に憤ったことがある

この子の人生はアンタのためでも私のためでもなく

この子自身のものなんだから!と



職員が育たない、とよく周りから相談される


介護業界は職員が定着しにくい

転職率は高く、同じ地域で職場を転々としている人もよく見かける

一定のスキルとライセンスさえあれば、転職は簡単である


転職されると新たな職員を入れて、不慣れな職員が増える

ようやく慣れてきたかと思うと、また条件の良い職場へ転職され

結果、人は定着せず、育っていないと言う悪循環が繰り返される


人材確保の面で言えば、報酬を上げるとか福利厚生を充実させる、

複数事業所が登録制で人材を確保するなどの方法が考えられるが


一番の問題は、

「人材の育成」である



欲しい人材は、勝手に育つわけではない

職員が育っていないのは、「育て方が間違っている」からであり

「育つ環境になかった」事を忘れてはならない



職員の対応に腹を立てる上司を見るたびに

仕事は出来ても、人を育てられない上司は多いと感じる


本人は利用者さんからの信頼も厚く、スキルも高いけれど、

部下や後輩モチベーションを下げがちな指導方法しか出来ないとか

そもそも、自分が「出来る」から、出来ない人の気持ちも

指導方法もわからない人が多い



そんな人に限って

「私は出来るのに、何で出来ないの」とか

「何でそうなるの?理解できない」と言ったりする


そして、そう口にした時点で

「私は、育てることをやめました」と宣言しているのである


育つはずの種が目を出さないのは、

そもそも種の選定が間違っていることもある


陸生植物を水の中に入れると、根を張る前に流されるし

水生植物は、乾燥した土地では育たない


「育たない」のではなく、「育てるためのアセスメント」が

はじめから間違っていることに気付かなければならない



今まで、たくさんの育ちに関わり、巣立たれ、飛び立たれ

何度もがっかりしたこともある


けれど、ここに留まらなくても

同じ仕事を続けてくれているのであれば、

半分は成功しているのではないかと思い直すことにした



育ちのための環境設定や条件を整えるためのアセスメントをして

考えながら、問いかけ続けて、自分の頭と心で考えられるように

ひとり立ちできる支援を行う



もしも次のステージに行く時には

決して執着しないこと



育てることは、育つことをサポートすること



育ちは自分のためのもので

誰かのために育つのではない

心したいと思う









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