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夫婦の自立



サービス付き高齢者住宅に関わり始めた頃
ご夫婦で入居される方は、大抵、同じ部屋を希望された

最近、ご夫婦で入居を希望される方は
ほとんどが1人部屋を希望される

あまり距離の離れない2部屋を希望するが
同室はいや、と、いうケースが多い

それは、特に奥様側が希望する

ようやく楽になるために入居するのに
自分だけ夫の世話をするなんてこりごり、と
はっきり言う方もある

一般的に、連れ合いのどちらかが先になくなった場合
残された妻は長生きをし、
残された夫は早逝することが多い

まれに、残された夫が急に生き生きと輝き出し
今まで以上にお元気になる場合もあるが
統計的に見ると、妻をなくして気力もなくす夫が多いように見える

この違いは、自立心と依存心が関係している

妻に全て依存していた夫は
妻に先立たれると生きがいも、生活の基盤も、自信も失いがちである

夫に先立たれた妻は、
大仕事を片付けたかのように解放され、その後の人生を
自分のために使おうとする

妻に先立たれた夫は、妻に変わる誰かを求め
夫に先立たれた妻は、1人での自由を楽しんでいるように見える

やがて来るであろうこの状況を前に
ご夫婦がしておくことは、何なんだろう

一緒にいる時間を、残り少ない時間を共に楽しみつつ
いつか必ずやってくる時のために、
1人で生きる力をつけておくこと

誰かがいないと輝けない人生なんて
自分の人生ではない

1人であっても、楽しめる
けれど今は2人でいる

そんな関係が、望ましいのかもしれない

必要だから共にいるのではなく
一緒にいたいから一緒にいる

1人でも生きていける

そんな力をつけておくことが
1番深い愛情の形なのかもしれない

かいがいしくお世話をすることが愛ではない
世話をされることに慣れると、それがないと生きていけなくなる

誰かにお世話をされることで幸せを感じるのではなく
自分でできることに喜びを感じる

そんな自立を

目指していきたいと思う


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