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甘くて柔らかくて、すぐ溶けるもの

編む、という動作はとても繊細だ。

すこしの力の入れ具合で、別ものに仕上がる。

いつも同じ力で、一定のスピードで、同じくらいの糸を引き、編み進める。


とても小さなアクセサリーなので、2ミリもずれると作り直しだ。



コツはとにかく脱力すること。
手首以下はほぼ手指の重さで編むような、そんな感覚。

まるでここだけ重力がないような、浮遊した糸たちを集合させてかたちづくる。


グッと奥歯を噛み締めるような日には糸もグッと窮屈になり、

迷いのある日は糸があっちへ行ったりこっちに来たりと散らかる。


目に見えないはずの感情が机上に並ぶ。



お披露目の陽の目を見ないものは、だいたいいつも何かに迷いながら作っているもの。

というよりも、そういうときは手が動かない。

つくらなきゃいけない、と感じていても全然いいアイディアが浮かばずに、編んではほどいて

最後に糸はぐちゃぐちゃになる。


糸を引っ張っては攣って、緩めては歪んで

このバランスを知ったつもりも、まだまだひよっこ。


結局わたしにできることは丁寧にやるということ。


優しく、柔らかく編むこと。そうすると、甘くなる。


実際に触れることなく柔らかさを感じさせたり、味覚を使わず甘いことに気付くということ。


別の感覚器官で別のものを感じ取るようなものがつくりたいんですよね。


わたし自身もわたしの作品も、そうでありたいんだなと感じているところです。エッセイに向き合って気付きました。


この、感覚を言葉にするっていうのが果てしなくむずかしい。


3ヶ月は、おそらくエッセイに向き合っているようで、わたし自身と向き合う羽目になるのだろうと危惧しています。

ではでは〜

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