【感想】ジュンハ / 主流持込禁止「'カチッ'という音が出たら、私たちは何かやってみようかと思いますが、まだ何もしていません。」
'カチッ'という音が出たら、私たちは何かやってみようかと思いますが、まだ何もしていません。
ジュンハ / 主流持込禁止
長者スタジオ
韓国語上演/日本語・英語字幕
めっちゃくちゃ面白かった!劇団主流持込禁止の作品、YPAMにいくつかあるので検討している方は足を運んでほしい!
あらすじ
食雨が降ってくる狭い空間の中で、甘いものが好きな女、足が白い男、空間を隔てる壁の向こうの異世界に興味を持つ女が暮らしている。最近までもう一人の住人がいたために、その喪失の中で生きている。
平穏に暮らしていた彼らだったが、上空に突然、「エビ」の形をした巨大なものが現れる。自分たちと同じ「エビ」の形をしたそれと自分たちを呼び分けるために、甘いものが好きな女は「アマイモノスキエビ」、足が白い男は「シロアシエビ」、異世界に興味を持つ女は「イセカイエビ」と呼ばれることになる。
外の世界では「伊勢海老祭り」と言って、エビに感謝する祭りが行われているようだった。自分たちが神様のような存在と感じた三人は嬉しくなり、外の世界の人々を喜ばせるために、壁を越えようとする。しかし、「やめろー!」という絶叫と共に突然ボロボロの男が現れた。
彼が知らせる、この世界の真実とは…….。
感想
最後の伊勢海老の台詞がとても印象的で、今正確に思い出せないのがとても悔しい。
「忘れないように被害を叫び続ける」ということは、「国家の罪はいつまで背負うものなのか」ということに重なるように思って、この作品が日本の国際舞台芸術ミーティングで、韓国語で上演されることの緊張感を勝手に感じた。
日本は東アジア諸国に対して加害を行っていたことを正面から扱わないで(特に芸術分野で)アジアとの協働に挑んでいることが多いように感じる。東京芸術祭ファームでもそうだったけれど、日本側からの反省という形ではなく、東南アジアの参加者からの指摘という形で話題に出るに留まっていることが多いのではないか。
特にこのような政治状況の中で、「政治」そのものを扱っているわけではないのに極めて政治的だと感じられる作品を見ることができたのは貴重な体験だった。
あらすじ(ネタバレ)
食雨が降ってくる狭い空間の中で、甘いものが好きな女、足が白い男、空間を隔てる壁の向こうの異世界に興味を持つ女が暮らしている。最近までもう一人の住人がいたために、その喪失の中で生きている。
平穏に暮らしていた彼らだったが、上空に突然、「エビ」の形をした巨大なものが現れる。自分たちと同じ「エビ」の形をしたそれと自分たちを呼び分けるために、甘いものが好きな女は「アマイモノスキエビ」、足が白い男は「シロアシエビ」、異世界に興味を持つ女は「イセカイエビ」と呼ばれることになる。
外の世界では「伊勢海老祭り」と言って、エビに感謝する祭りが行われているようだった。自分たちが神様のような存在と感じた三人は嬉しくなり、外の世界の人々を喜ばせるために、壁を越えようとする。しかし、「やめろー!」という絶叫と共に突然ボロボロの男が現れた。彼はアマイモノスキエビは「甘エビ」、シロアシエビは「白エビ」、イセカイエビは「伊勢海老」という「種類」で、同じような仲間が世界中に一億匹以上いると告げる。そして、外の世界に出ることに反対する。人間は「エビ」を煮たり、油であげたり、挙げ句の果てには生きたまま頭と尻尾を取って食べるという残虐非道な目に遭わせるのだと。
半信半疑だった三人だが、「桜エビ」と名乗る男の最期の訴えを信じ、外に行かずに暮らすことにする。再び平穏な日々が訪れるが、伊勢海老は世界中にいるというエビの仲間たちの名前と人間の残虐非道な行いを叫び続ける。忘れてしまえば、「桜エビ」の存在がなかったことになってしまうような気がして。