14年目の咆哮~三上ちさこ、復活の時。
皆さんは、三上ちさこ(旧・ちさ子)という
歌手をご存知だろうか。
fra-foaという、オルタナティブバンドで
デビューし、自身の結婚、出産なども
経験したが、あまり、メジャーシーンでは
長続きしなかった。
インディーズで何枚かアルバムを、
ソロで出したものの、そこから、
音楽とは、まるで違う世界で活動する。
しかし、14年の時を経て、
やはり、自分には音楽しかない、と、
ソロで再デビューを飾った。
その2枚目のアルバム『Emergence』が、
傑作なのだ。
14年振りの活動としては、ラジオ番組を
持ったり、ラジオ局のパワープレイに
曲が選ばれたり、BSのスポーツ番組のエンディングに起用されたり、と、
正直、恵まれたスタートだった。
それ故に、心無い言葉を浴びることも
多かったことを『Emergence』の
1曲目で歌っている。
正直なところ、fra-foaが商業的に
成功したかと言えば、否だ。
ライブをやった、1番大きな場所は、
赤坂BLITZ。
知名度も、決してあるとは言えない。
そんな彼女が、復活した途端、
ラジオやテレビのタイアップを取った、
それを快く思わない業界関係者がいたのだろう。
しかし『Emergence』に収録された、
スポーツ番組のエンディングも、
野球の独立リーグ、福島レッドホープスの
公式応援歌も、縁あって出会った、プロ野球選手の秋山翔吾選手への応援歌も、
お世辞抜き、ファンの贔屓目を差し引いても、かなり良い曲なのだ。
特に、秋山選手への応援歌は、
力強い言葉と歌唱で、胸が熱くなる。
かと思うと、美しく、儚いバラードを
歌ったりするのだから、元々のポテンシャルが高いのだろう。
今、三上さんは、sayurasというバンドで
活動している。
自らメンバーへ交渉し、様々な壁を乗り越えて、ようやく、結成となった。
これからの彼女には、期待しかない。
sayurasのデビューシングル『ナイン』を
聞く度に思う。
手作りお菓子や、雑貨を売っていた、
1人の女性が、ある日、決意して、
元いた音楽業界へ、再び飛び込んだ。
そして、ライブハウスで、生き生きと
歌っている。
人生、何があるか分からない。
だから、楽しい。
14年目の咆哮、それは、三上ちさこさんが
復活の狼煙をあげた日に、自ら放った、
音楽の炎だ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?