あなたという独自のフィルターで世界を掬ってみる。
朝方に偶然見たnoteが、衝撃的によかった。
『あらゆることは今起こる』で自身のADHDについて書いておられる柴崎友香さんと、文学研究者の横道誠さんが当事者研究をめぐって本音の対話をされています。
柴崎氏は、本がなかなか読めない、という。小説家なのに本が読めない。それに応えて文学の専門家である横道氏も、そうだと。「無理やり力づくで読んでる」のだけども、なかなかカミングアウトできなかったと。
わかる。無理やりで力づくだよな。
柴崎氏は「家の中で立ち読みしてる風」に読むやり方がうまくいくらしい。
それもわかるな。なんかこう、本来本を読む場所じゃない所で、何かを待ってたりする時とかに、ちょこっと読むと、妙に集中できたりする。
お二人が「人間にちょっと足りてない」妖怪人間ベムへの共感を語るくだりもおもしろい。
それから、横道氏は「複数の時空に存在している感覚」を持っているという。PTDS的なフラッシュバックが頻繁にあったり、自助グループで大量の自分の分身と会ったような感覚が影響しているらしい。
横道氏は相貌失認の傾向があって、なかなか新垣結衣と綾瀬はるかと長澤まさみの区別がつかなかった。わかります、それ!
柴崎氏「まだまだ、小説を書きながら考えていくことやなと思っています」
えらいなぁ!
横道氏「書き手のスイッチって、それぞれバラバラだと思うんですけど、私の場合には、スタイルのオリジナリティがトリガーなんですよね。できれば世界で初めてというタイプの本を書きたい・・・・・・そういうのが書けそうと感じたら、執筆作業に入ります」
僕にとっては、文学的な小ネタ(ネタと言っちゃうのも下世話な言い方ですが)に満ちた、興味深いディスコースだった。
というか、やはり、これでいいのか、と赦されるというか、解放されるというか、そんな気持ちになった。
お二人のタフさ、まっとうな矜持に触れることができてよかった。
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