【マンガ業界Newsまとめ】ソニー・KADOKAWA買収関連記事多数IMART2024基調講演冒頭20分動画 など|12/1-178
マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTを主催するMANGA総研代表の筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。
来週は筆者が、マンガバルセロナという海外イベントに出かけるため、1週お休みします。ご了承ください。
しかし、初日から3日間滞在予定なのに1日目のチケットしかまだ手に入っておりません。誰か助けてくださいませ。現地でなんとかせねば。
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ソニー・KADOKAWA買収関連記事多数
ソニーがKADOKAWAを買収するという一報があってから1週間以上過ぎ、多くの記事が出ています。
まず4つの記事は業界向けでも読める深度のものです。
アニメジャーナリストの数土直志さん、アニメ・ITジャーナリストのまつもとあつしさん、東洋経済でアニメ特集にも関わった、森田宗一郎さん、梅垣勇さんの記事となります。
この層の、業界を良く知る方々の記事では、現在、長年の浮動株買い増しの結果、韓国カカオが最大の株主となっていることに対しての対策であることと、KADKAWAやがこれまで行ってきた海外展開や、両社の事業買収の履歴などを踏まえ、良い形の可能性も示唆しつつ、IP創出、アニメ、ゲームのそれぞれの局面ともに、そんなに簡単な買収話ではないことを示しています。
個人的にも、おおむね首肯できます。大手4出版社のうち、3社が非上場、その中で1社KADOKAWAのみが上場であり、その意味や位置付ということについては、私も自著で触れています。
強みとも言える部分も多いですし、かといって、そんなに簡単な経緯で出来上がってきたものではありませんので、買収以後に簡単に馴染んでシナジーを出しますとも言えない部分もあるでしょう。
他にも、様々なメディアで記事になりました。
ここに上げているものは、少し抽象度を高くして、IP創出カンパニーたるKADOKAWAとのソニーの連携に触れたり、やたらとゲームに特化した見方など、当然色々な観測が見えています。市場規模やソニーの売上を見るとゲームは大きいですし、業界というより投資家に向けにもこうした観測は今後も増えて行くでしょう。
浮動株もありますし、機関投資家も多数関わってる事案ですから、様々な角度の見方が各所でなされると思います。特に10%以上の株主であるカカオの動向や、直近めちゃコミック(インフォコム)買収で当のソニーと競合したブラックストーンの存在など、様々な要素が絡み合うと思います。
その頃、当のKADOKAWAは
今回のニュースの中では、CrunchRollなどソニーの海外展開力が取りざたされますが、KADOKAWA自体も多くの海外展開を行ってきました。
この記事は、グループ内の海外展開電子書籍ストアの「BOOK☆WALKER Global」が、集英社・小学館の作品の英語版等を多く扱う、VizMedia社から、『ONEPIECE』や『らんま1/2』などの英語版を仕入れ、販売していくことをリリースしています。
国内のBOOK☆WALKERは、当然集英社や小学館の作品を販売していますが、英語圏においてはVizMediaから作品を仕入れる必要があります。英語版の配信権(出版権)は、翻訳などを担うVizが持つためです。
国際展開は、今回の両者の肝になりますが、現場では粛々と進んでいます。
こちらはKADOKAWA夏野社長が、買収に触れずに、今年のサイバー攻撃の件についてアベプラで謝罪したという記事です。このお話を番組でするにあたり、夏野さんはKADOKAWAの社長ではなく、近畿大学の特別正平教授として参加したと言います。その必要があったのでしょう。
番組でも買収には触れず、ご本人も言えないとコメントしてますし、正に今色んな事を話し合っているところなのでしょうね。
IMART2024基調講演冒頭20分動画公開
*:筆者が運営するイベントについての内容です。
11月13日に行ったIMART2024基調講演の中で、IMARTを運営し、リサーチ事業も行う一般社団法人MANGA総合研究所が行った「IP市場調査」の10分紹介を、総研研究員の中山淳雄さんに話してもらいました。その際の動画を公開しています。
IP市場調査の販売開始は12月中旬予定です。
新しい情報としましては、購入者の皆様にはその報告会を来年1/16の19時から、池袋サンシャインで実施する予定です。
第0回IP市場調査、ご購入の件については、こちらの記事をご覧ください。
販売は12月中旬から開始予定です。(IMART2024で、IP調査事業支援をくださった会社様は購入済みとなります。追ってご案内いたします。)
IMARTセッションの記事
IMART2024のセッションに関する記事も、先週に続き多数出ています。
セッションのアーカイブ配信は12/3頃開始・ご案内予定です。
アーカイブチケットご購入はこちらから。
ご協賛済み、個人チケット購入済みの方へは、別途ご案内いたします。
国内News
ぶんか社「本当にあった笑える話」が、11月29日発売1月号で、23年の歴史に幕。連載は、コンビニコミックの増刊号に引継ぎ、投稿受付なども継続するとのこと。
近いタイプの作品が、Kindleインディーズで無料で読める作品に多く掲載されるようになり、移り変わりが感じられるところです。
同じくこちら、11月末で「マンガ図書館Z」もサービス停止です。紙の雑誌が時代の流れで休刊することが続いていますが、デジタルサービスでさえもその役割を終えるというタイミングに来ていると言えそうです。
一方で、徳間書店では、異世界系WEB小説のコミカライズレーベルリュウコミックスユニコーン」を刊行。マンガBANGより移籍した『勇者の母ですが、魔王軍の幹部になりました。』など、新創刊です。勇者の母は、Amazia版を3巻まで持っているのですが、徳間版で1巻から出し直すようですね、表紙も大分変えてますしね。とりあえず1巻買いました。
マンガワンは10周年でリニューアルですね。マンガアプリとしての10年でしたが、Webも強化して、アプリ・Web併設の形へ移行していくようですね。サービス形態も移ろいます。
太田出版は、このタイミングでWebにて過去作品のアーカイブ作品など発信とのことで、「マンガ・エロティクス・エフ」を始動。成人向けはオリジナル同人デジタル作品が大きく市場を取り、商業出版には難しい局面ですが、新しい打ち手となるようです。
KOMODO社は、マンガやコミックを新たな高みへと引き上げることを目指し、世界中のファンやクリエイターがインディーズ作品や大ヒット作品を発見、購入、販売、そして翻訳ができるデジタルコミュニティー「NIUHI」を発表。とのこと。ゲーム系企業の新規事業のようですね。
集英社ジャンプ関連でいくつかリリースです。
1つ目が、ジャンプ+のアプリ内で、一部を除く作品の画像を切り抜き、デコレートしてSNSに投稿できるというもののようです。先行したWeb版では2万件以上の投稿があったとのことでアプリへの展開とのこと。
2つ目は、ジャンプ+の定期購読をドコモ経由の決済で可能になるというもの。クレジットカードの無い未成年者でも保護者同意で読めるようになるというところでしょうか。
3つ目は年末のジャンフェスの告知ですね。グッズなどのストアでも特設サイトが立ち、チケット登録、ステージ情報など各種情報も公開しているようです。
「ちるちる」などを運営するサンディアス社から、BLアワード2025の詳細情報と、アワードの解説無料セミナーの案内です。事前対策セミナーということのようですね。
SHIBUYA TSUTAYAに続き、大阪戎橋の店舗でもIP書店が始まるようです。
店まで作る勢いの、リアルの「委託」なのですかねー。
様々なvtuber関連のマンガが出ていますが、なかなか難しさがあったと思うのですが、このカバー(ホロライブ運営)の『ヤマト神想怪異譚』は10万部超えとのこと。v本人たちが異世界転生をしている作品のようで、面白い作りのマンガでした。なるほど、その手がありましたね。
これはなかなか興味深くて、コロコロ読者によるアンケートをリサーチデータとして出しているものです。この形でデータを売りにしていくという意味では、コロコロは若年男子の調査ツールとしては興味深いですし、小学館がこうした仕掛けをするのも面白いですね。個人的には、小林さんらしくてユニークだなと思いました。
ネットやスマホ、PC利用リテラシーの層が少しずつ上に上がってる感がありますね。
こちらはebookjapanの読者データですね。古くから電子書籍を読む古参ユーザーのデータということのようで、漫画読みのデータが沢山入ってそうです。
こちらはOriconのデータです。以前、LINEマンガの調査でも、LINEマンガで無料で読んだ作品の続きを紙で買う人が多いという傾向がでていましたが、若年層は漫画を紙で読む傾向は続いていますね。先のジャンプ+定期購読でドコモ決済が始まったところも繋がりそうです。
10/30に開催された講談社メディアカンファレンスの記事です。MANGA総研のリサーチとしては連携したいなと思いました。
先日40周年を迎えたコミティアの記事。プロ漫画家の揺りかごという記事ですね。ホントにそうです。先週に、阿佐ヶ谷ロフトで40周年記念イベントが行われたのですが、物凄く面白かったです。「コミティアストロングスタイル」という言葉を覚えましたw
中南米や東アジアで様々なオタク系イベントのプロデュースをしている加藤さんの記事です。続きが読みたい。。。
Webtoon・ショート動画関連
待望のナタリー主催縦読み漫画賞ですね。有識者3人のトークになっています。もともとのナタリーの思惑はわからないですが、ここで語られているような賞になったら良いですねぇ。
国内のショートドラマトップアプリBUMPに、CLLENN作品が出るとのこと。
ちょうど今回のIMARTでも、BUMP・CLLENN両社から登壇いただくセッションをしまして、大変興味深ったです。
コミックシーモアでも、Webtoon先行配信です。既存レーベルからの展開のようですね。めちゃコミではWebtoonがかなり売れてきている中で、シーモアもというところでしょうか。
こちらは、Webtoon、ショートアニメで実績のあるPlottが、ドズル社とのカジュアルゲーム展開コラボとのこと。強そうです。
こちらは、Webtoonスタジオ向けの制作セミナーのようです。通常の漫画だと、漫画家個人に向けて発信されるものが、スタジオ制作のWebtoonだとB2Bになるのが面白いですね。
タイトル訳:ウェブトゥーン動画を通じてコンテンツ産業の革新をリードするIdeaConcert
ちょうど、韓国でも制作サポートツールの記事がありました。
こちらは、Webtoonユーザーの公開ヒアリングということのようです。これもまたtoB向けの趣ですね。
海外News
*: 外国語の記事も紹介します。自動翻訳などご利用ください。
バンナムのフェス、上海で開催で5万人来場とのこと。ガンダムもあれば、仮面ライダーもあってということで、色々できそうですね。
タイトル訳:WEBTOON Entertainment (WBTN): デジタルコミックから小売業の成功まで - 成長ストーリー
業績悪化、株主訴訟の声があったWBTNですが、今度は割安で買い時という記事が。ただ、AI銘柄とみられてるところもあるみたいですね。なるほど。
タイトル訳:ネイバーウェブトゥーンが世界的な著作権侵害を阻止、70サイトを閉鎖
NAVERは変わらず海賊版撲滅を進めている模様ですね。
タイトル訳:WEBTOONが「ウェブコミックレジェンド」コンテストを開始
2025年3月に開始するWebtoon賞、40作品に合計100万ドルを超える賞金とWEBTOON Originalsプログラムに参加するチャンスが贈られるとのこと。
タイトル訳:インスタトゥーンは一口サイズのユーモアでウェブトゥーン文化を再構築する
ナタリーの縦読み漫画賞の記事でも触れられていましたが、韓国ではインスタ上のWebtoonが増えているようですね。ナタリーの座談会の中で飯田さんが話していることのほうが、この記事の内容よりよりわかりやすいです。
ドイツでの推し活の様子です。不自由ではありつつも、楽しそうです。オタクの昔話みたいですw
Jetroのレポートです。アルジェリアの漫画・アニメ市場規模は300万ドルほどということで、五億円弱というところですか。コミコンも来てるんですね。2万人規模とか。
libroさんの北米ニュースまとめです。
ハリウッドはハリウッドでしんどいのですね。アニメブームの反対側で、その不調も原因のひとつとか。なるほど。
タイトル訳:最新のマンガ学校禁止令が少年漫画の古典に打撃を与える
焚書ネタですが、同時にこれ、学校図書だからというのもあるんですよね。
AI・画像生成関連
どれくらいできるのか、記事以上に出来上がったマンガをしっかり見てみたいところですね。あと、プロンプトそのものをChatGPTに聞きながら進めるというのが、そんな方法もできるわけかと思いました。
1枚絵からの3Dモデリング、Webtoonや漫画をベースにした、アニメ制作の工程省力化など、SNS上での大騒ぎみたいな観点とは違う所で、少しずつAI技術が進んできていますね。
今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等
11月まで、50%オフの大型キャンペーンを続けていた集英社ですが、今度は商品が出るキャンペーンを年末にかけて実施。
バンチコミックス10周年 ほぼ30年分をプレゼント
10年分の作品3本で、ほぼ30年とのこと
タイトル訳:ロマンティックなギフトを贈ろう。このLore Olympusボックスセットは、Amazonでブラックフライデーに57%オフで販売中。
記事のみ紹介
タイトル訳:マーベルがファンタスティック・フォー、X-メンなどが出演する2025年の無料コミックブックデーのタイトルを発表
タイトル訳:池袋が東京のアニメの中心地として秋葉原に取って代わった経緯
告知関連
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