【マンガ業界Newsまとめ】MANGA Plus by SHUEISHAがAIでマンガコミュニティ、メディアドゥ大型人事 など|4/14-149
マンガ業界ニュースの週1まとめです。マンガ・アニメ業界向けイベントIMART(https://imart.tokyo/) を運営するMANGA総研代表の筆者が、動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、マンガ業界の方が短時間で1週間分の情報をチェックできることを目指しています。
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AI翻訳で世界中の読者と「少年ジャンプ+」作品を語れるグローバル漫画コミュニティ「MANGA Plus Universe」を集英社とアルが公開
株式会社集英社とアル株式会社は漫画配信サービス「少年ジャンプ+」掲載作品について、AI翻訳を通じて世界中の読者同士が語り合えるグローバル漫画コミュニティ「MANGA Plus Universe by SHUEISHA(以下、MPU)」を、2024年4月12日(金)にリリースとのこと。運用は「MANGA Plus by SHUEISHA」5周年を記念する企画として、期間限定での公開。
また、そのその翻訳は「MANGA Plus by SHUEISHA」が提供されている9言語を対象とし、そのAI翻訳エンジンにはWIPジャパンが提供するWebサイト多言語化サービス『AIシュリーマン』が実装されているようです。
この「MANGA Plus by SHUEISHA」は、基本的に日本国内からは閲覧できないサービスなのですが、国内向けには最新話のコメントだけを見ることができるページが公開されています。
それぞれの作品に様々なスレッドが立ち、そこで9か国語のコメントが応酬されてる様子が見て取れます。
1か月の期間限定の取組ということのようですが、掲示板運用はなかなか大変というのは、システム管理をする側から悩み種ですので、まず一度試験運用して、今後の本格実装へのテストを行っているとみて良いのではないでしょうか。
また、この作品に対するコメント数というのも、作品に対するビュー数同様、作品を映像化していくにあたり指標となると思われ、ジャンプ作品の国際展開やファンづくりに貢献していくと思われます。ユニークでクリーンなAIの使い方と言えると思います。
【人事】メディアドゥ、苅田明史氏の代表取締役副社長CFO就任が内定 藤田恭嗣氏と2名代表に 退任の溝口 敦氏はMyAnimeListに注力
メディアドゥ社は、現在国内の電子書籍取次において最大の企業です。
近年の電子コミック主流となっていったマンガ業界の中で、その電子コミックを中心とした電子書籍の流通を取次と言う形で担い、近年の売上は約1000億円ほどで推移しています。
そんなメディアドゥ社の中で大きな人事がありました。
新役職(旧役職)で表記します。(敬称略)
藤田 恭嗣: 代表取締役社長 CEO (同左)
苅田 明史: 代表取締役副社長 CFO (取締役 CSO 兼 CFO)
新名 新: 顧問(取締役)
溝口 敦: [MyAnimeListCEO専任](取締役)
リリース文などから、藤田さんが中長期的な企業価値向上、苅田さんが事業やグループ会社の経営管理の掌握を担うとあります。
藤田さんは、メディアドゥ社の創業者で、このメディアドゥを作り上げた人です。溝口さんは2000年代後半の、同社が電子書籍事業を開始した時からのナンバー2でした。2人が中心になってこの会社を作り上げてきたと言えるでしょう。
KADOKAWA出身の新名さんは、2017年にメディアドゥ社が実質的にグループ傘下に収めた株式会社出版デジタル機構の代表でもありました。2017年のメディドゥと出版デジタル機構の合従により、電子書籍流通のトップ企業が確定し、そのポジションと、現在の大きな流通額に繋がっていると言えると思います。
その新名さんは今回、実質的に経営からは退く形ですね。確か70歳くらいのお年では無かったかと記憶しています。本当にお疲れ様でした。
新たな役割にフォーカスすると、溝口さんはメディアドゥグループの中でも、その事業的な成長や海外展開において期待されるMyAnimeList(MAL)に専任ということですね。多くの企業との連携を求められるMALの事業を考えると、営業に強い溝口さんは事業的な意味での攻撃的ポジションに専念するということなのでしょう。
MALの事業と溝口さんについては、IMART2021の基調講演に詳しいです。
藤田さんは「中長期的な動き」に専念とのことで、新規事業をのぞくと現場からは離れる形でしょうか。新代表取締役の苅田さんが「経営管理の掌握」ということで、実質的に現場を率いて行く形と文章からは読み取れます。
苅田さんは、2016年にメディアドゥグループに買収されたフライヤー社の創業者の一人で、後にメディアドゥの経営企画にもなり、以降のメディアドゥの売上向上や株価向上などの企業価値に、経営面で大きく貢献しました。まだ30代後半という新進気鋭の経営者です。
同じタイミングで発表されているメディアドゥの決算によると、同社は主要取引先の一つである「LINEマンガ」の取引変更で減収減益となっています。
好調な電子書籍事業の全体感がある中で課題もあり、メディアドゥ社の迎える新しい局面に向けて、新たな体制で臨むという表れと読み取れました。
国内News
「Netflix × ワールドメーカーアニメコンテスト」の結果が発表され、大賞作品他が選ばれました。
実は、こうした漫画賞で「アニメ化」が賞品になるケースは過去何例かあったのですが、多くの賞が「大賞の該当作品無し」となり、実際にアニメ化する作品が出ないケースが多いのですよね。
集英社はこの前に、同じくNetFlixと組んだ「MILLION TAG」という企画でも大賞を出し、実際に作品も映像化に向けて動いています。
今回は、ネームを作るコンテストと言うことで、前回よりも前工程の状態ですが、これまたしっかり映像化に向かうようで凄いなと思いました。
ヤンマガの新レーベルは「新増刊」のかたちをとるようですね。記事だけでは、紙の媒体が出るのかKindleやComicDaysのみなのかわからないのですが、Web化、アプリ化全盛の時代に「増刊」というのは面白いですね。
映像PFとして国内で健闘しているU-NEXTですが、漫画にも地kらを入れており、このタイミングで「毎日無料」枠が5万話になるとのこと。
全4回の連載で、各回後半有料なのですが各回の前半を読むだけでも面白いです。2023年3月期(決算は6月?)の着地が575億円と過去最高を見込まれているとのこと。広告費が月間10億を超えているともありますね。
Dポイントがアマゾンで使えるという提携です。amazonが世界で5140億$(77兆円-国内で3.6兆円)で、ドコモが6兆円ですから、とにかくでかいですね。会見がまた堅いw
amazonはドコモなどの携帯キャリア決済も出来るので、大同団結しつつある他のポイント決済と対抗する狙いがあるのでしょうね。
記事にもありますけど、ジャンプへ他誌から移籍する作家増えましたねー。その辺りの作家名が列記されていて、なるほどなとなります。
「コミックを電子書籍で読むのが苦手で、かといって紙で読むのも本棚はもういっぱい。」という一文から、そういう需要は確実にあるだろうなと改めて思いました。
という、開始のきっかけの当たりのお話が面白かったです。そうなのか。
不健全図書の指定媒体別推移。2010年代までは、週刊誌や大衆娯楽誌が入っていたのが、以降はほとんどマンガとか。
今週のWebtoon新規参入・新たな動き
「まんが王国」のビーグリーと、芸能系Amuseの取組。
実際のTikTokは以下です。
作りとしては、いわゆるマンガ動画だと思うのですが、これがTikTokだと、色々やっぱり変わってくるのでしょうね。
一部界隈で話題となっていた、韓国でのWebtoon研修。今年もあったのですね。来年はホントに是非行きたいです。去年は、写真で顔を隠さない竹村さんがいたのですが、今年はそういうキャラがいないみたいですね。私の顔は実写版も著作権フリーです。
アニメイトグループのロケットスタッフ代表高さんによる動画です。面白いです。個人的に、NetFlixに原作を提供した際の原作使用料の話が面白かったです。なるほどー。
インボイスのルール緩和についてのポストです。
実務を知る人としては、かなりインパクトのある情報なんですが、このポスト以外にまだ同じ情報がしっかり確認できてないんですよね。うちの税理士さんも間違いはないと言ってはいましたが。
特に、インボイス以上に凶悪な電子帳簿保存法のルールと同時に緩和したみたいで、良かったなと。当初ルールは狂気の沙汰でしたからね。まったく。
海外News
これは盛り上がっていただきたいですが、どうかなー。内容次第ですね。130平米って、40坪弱ですよね。場所はリトルトーキョーあたりですかねぇ。日系人コミュニティとかと連携出来れば良い気もしますが、常設の前にちょっとテストしたほうが良かったんじゃないかなぁ。
SF、ロス、サンディエゴあたりで。ロスはトーランスのあたりか、コンベンションセンターのそばか。サンディエゴはいくつかある日系企業のそばあたり。こういうのは連携が超大切ですからね。新たな戦場に入るにも慎重を期さないと。
*:ここから、外国語記事も紹介します。自動翻訳など活用ください
タイトル訳:日本の2兆円規模の漫画・アニメ海賊版戦争にハリウッドが新たな支援
内外の海賊版対策などを行うCODAが、米国で同様の対策を行う映画協会(MPA)と連携するとのこと。MPAの対象範囲が2兆円規模らしく、そことの連携に効果があるとありますね。
タイトル訳:スーパーマンの初版コミックが600万ドルで販売され世界記録を樹立
600万部かと思ったら、1冊600万$(約9億円)!!
アメコミは正にコレクションですねぇ。
タイトル:イェン・プレスが『三体』の原作小説を漫画化
とのことで、KADOKAWA系YEN PRESSの米国での仕事ですが、作家の名前を見ると、アメコミ調でアメリカ版のコミカライズになるようですね。なるほど。
タイトル訳:東南アジアで再解釈された韓国のウェブトゥーンが地元民を魅了
NAVERは各国に展開する際に、現地ローカルの作家が成長することを布石しますが、この記事では韓国作品を現地で再解釈して映像化などするということを説明しています。これはこれで大事ですね。
経済規模などの問題で、日本だとライセンスした際のこちら側の費用が合わなくて難しいんですよね。韓国でも、コスト面はそう違わないと思うのですが、それでも作品認知が各ローカルで定着化することを優先して、合わなくても先行投資しているのではないかなと推察します。
タイトル訳:ウェブトゥーンが「略奪的、搾取的」な契約の主張に対して反論、自らの事実を提示
米国のWEBTOONで作品を作るクリエイターが、最近のWEBTOON側の規約の変更で、権利的にクリエイターが不利になっていると言っています。一方WEBTOON側はそんなことはないと主張。さて。
タイトル訳:ネイバーウェブトゥーン作家、年間の休暇延長を認められる
日本で言う所の週刊誌作家の4週稼働1休載みたいなことだと思うんですが、これって有給休暇なんでしょうか。もしくは拘束手当的な?
タイトル訳:ジェイソン・ゴールドバーグがワットパッド ウェブトゥーン スタジオのグローバル映画部門責任者に任命される
Wattpadの作品映像化にあたって、映画界から人材を迎えるとのこと。出版社も最近、アニメ製作会社からの登用を行うなど、日本の出版でも起きてることですが、このあたりは洋の東西を問いませんね。
libroさんの北米エンタメニュースまとめです。今週もいくつか紹介させていただきました。ワンパンマンのゲーム、海外だけで配信って面白いですね。
米テキサス・サンアントニオと、英国イングランド・ハローのコミコンの様子です。イギリスにもデロリアン。
AI・画像生成関連
うめ・小沢高広さんの「漫画制作における生成AI活用の現状:2024春」という資料が公開されています。記事内リンク先のマンガの工程別の説明資料なので、非常に面白かったです。
これまた、すごいですよね。
画像盗用的にはクリーンと言われていたAdobeのFireflyですが、どうも基礎データにMidjourneyのイメージを使っていらしく、ダメだったんじゃないの?というお話になってるようです。
今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等
BLアワードが発表されました。↓各社受賞作についてリリースしています。
記事のみ紹介
告知関連
講演タイトル:BLアワード2024 徹底解説ユーザー投票傾向
実施日時:2024年4月25日(木)14:00~15:00 ウェビナー形式で視聴無料
まだ寄生獣も見れて無いのですが、鈴木亮平シティーハンターとんでもなく楽しみですねー。はよアスファルトタイヤを傷つけたいです。
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主に週末に週1更新ペースで書いています。原則日曜、月曜以降が休日の場合は、週初めの平日の全日公開にて。たまに番外編も書きます。
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今年2023年11月24日~26日に、第4回IMARTというマンガ・アニメの国際カンファレンスを開催しました。
基調講演に鳥嶋和彦さんを迎え、マンガ・アニメの現場から22のセッションやピッチが行われました。
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インプレス社『電子書籍ビジネス調査報告書2023』のWebtoonパートの執筆を担当させていただきました。
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