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【マンガ業界Newsまとめ】アニメ・マンガの国立ミュージアムついになるか?オンライン持込が好評! など|9/24-120

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ業界向けイベントIMARTを運営する筆者が、動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、多くの方が短時間で1週間分の情報をチェックできることを目指しています。

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アニメ・マンガの国立ミュージアムは実現するのか、しないのか?

古くは「国立漫画図書館構想」として、国が推進しようとするも、なかなか進まなかったこのお話。2006年に京都市と京都精華大学がスタートした「京都国際マンガミュージアム」が出来たころから、ずっと話題になり続けています。

政府は今年6月「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の中で、『メディア芸術ナショナルセンター構想の推進を図る』ということで23年度中の基本方針策定を目指しているとのこと。

大きな旗印として、産官学的にはアーカイブ拠点としての意義も浮上、京都国際マンガミュージアムに多く訪れる内外の観光客の状況を考えると、東京にそうしたインバウンドの象徴的拠点があっても良いようには思います。

しかしながら、記事にもあるように当初構想が稚拙で十分な支持が得られないまま時が過ぎていきました。

そうこうしているうちに、京都を筆頭に、石巻、横手、川崎、熊本、東京豊島区など多くのマンガ関連施設が立ち上がり、今週は群馬県太田市で新図書館構想が発表されました。

自治体としても、京都や熊本、高知や東京豊島区などはミュージアムに限らず様々な取組をはかっています。

一連の時間軸の中で大きな変化は、国政にもマンガに理解度が高い。と申しますか、漫画家自身が議員となってこうした取組を進めています。

漫画家協会理事で、自身も漫画家である赤松健氏の言説は、国会の中でも大きな推進力となるでしょう。

長くこのことを追ってきた私からしても、
機が熟して来た
気がします。


モチコミonline 70編集部/漫画編集者が参加のオンライン出張編集部が終了

*:紹介するサイトは、立上げに筆者が関わっております。

マンガ賞/持ち込みポータルサイトの「マンナビ」は、7月に「モチコミonline」を実施。70編集部・団体と、137名の漫画編集者が参加。持ち込みは234名(持込希望者の登録数:610名)とのこと。

出張編集部で国内最大規模と言えばコミティアで、2番手が京まふだと思いますが、筆者が京まふマンガ出張編集部に携わっていた頃、持込数は多くて300名~400名ほどですから、このマンナビの取組はかなり大きいものだと思います。

開催後の満足度は、編集者からも持込希望者からも満足度が高かったようです。

リアル開催の出張編集部の場合、持ち込む側の作家は自分の作品を出展している編集部に持込、その場で作品を読み、講評やその後の話などをします。

オンラインの場合、事前に作品を見てから打合せにのぞめたり、実際に持込を受け付けるか決めたりなども出来るようで、時短であったり、作品性の案マッチングなども起こりにくいようです。

九州・沖縄や北海道、外国など、気軽に出版社に持ち込みに行けない距離感の作家も持込が出来たようで、このあたり良い時代になったなと思います。


国内News

毎度お馴染み、四半期に一度の不破雷蔵さんの紙雑誌印刷証明付き部数のコラムです。

青年誌では、ヤンジャン、ビッグコミックオリジナルが27万部前後で1‐2位拮抗と変わらず。この期間にモーニング2、イブニングなどは休刊しています。
ヤンジャンや3位のヤンマガ、2位のビッグコミックオリジナルに4位のビッグコミックなど、いずれもWebやアプリ媒体で作品を発信。ヤンジャンについては『推しの子』など集英社の決算に影響を与えるレベルで好調のようです。

少女誌はちゃおが14.3万部でトップ変わらずも微減。
Vジャンプは17万部と部数を若干伸ばしているようです。


集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」のブラウザー版の新機能「切り抜きジャンプ+」がサービスを開始した。切り取った画像をSNSで共有できるとのことで、早速ユーザーや作家自身などが投稿をしているようです。私もやってみました。ひねりがなくてすいませんが、本音ですw


二見書房系で企業群で運営するBL専門サイト「ラ・ロズレ」ですが、オリジナルコミック2つを配信開始とのこと。


30近い店舗を秋葉原本店を含め閉店したとらのあなですが、2023年度の売上が107%成長で331億円とのこと。様々な取組をリリースしながら、もともと千葉県市川市に構えていた物流拠点を千葉県八千代市に移転し、通販システムの高速化も目指すとのこと。

また、物理店舗を閉店しながらも並行して進めていた、協業モデルのインショップ店舗(他書店などに同人誌を提供)する形態は20店舗まで増加したとのこと。

もともと、メロンブックスなどとリアル店舗で競合していた同社ですが、成長著しいD2C分野のfantiaの急成長など、大きくデジタルに振った領域でのビジネス展開になっていますね。ECでは大きな設備投資なども行うようです。


セルフパブリッシングの分野で、紙やデジタルで様々な展開が紹介されており、その実情などの情報もあります。

【抜粋】Amazonの読み放題サービス(Kindle Unlimited)が国内でも始まった恩恵を受けたこともあるが、昨今の生成AIによって大量につくられるアダルト系写真集が読み放題サービスに入ってきたことで、これまで一定の収入を得ていた書き手への分配が相対的に少なくなった可能性を指摘した。

記事より


紹介されてる作品が、スピンオフや本編継続など、現役作品ばかりなのですが、そうじゃなくても古典のスピンオフは増えてますね。


課金して購入する電子コミックとは違う、情報サイトなどに掲載されるコミックエッセイの話題ですね。作品数も総体で増えており、次のマネタイズ手段なども出て来そうな気がします。


SNSでのマンガ広告は、TwitterからYoutubeに移っていますね。マンガそのものと言うより商品購入の場合は、動画のほうが強そうな印象はあります。


ひとつ上のマンガ広告の話題からの流れで、現場では気をつけねばいけないところですね。


インボイス無為なるかなという記事です。

私も対象業者なので個人的所感としては、納税そのものより、手間や手続きの煩雑さ、商機を逸するようなことがそこここで起きる制度設計の甘さと、実際の税収よりやった感の演出のほうが強い無理筋な動きが透けて見えるところが、非常によろしくないと思います。


今週SNSで多方面に話題になっていた読切です。どの立場で読んでも様々な感想が生まれる作品ですね。(*:媒体は筆者の関わるサービスです)

一言で言ってとても良いです。
長くも出来るでしょうが、読切の面目躍如なエモい作品。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

東村アキコさん新作、、ではなくて推薦とのことですが、おもしろそうですね。ピッコマで期待の国産作品スタート。


x(旧Twitter)で画像を縦に並べて表示可能になったとのこと。

これまでxでは、Webtoonの宣伝が難しいと言われてきましたが、この画像表示方法だと、画像を縦に並べて隠さず表示できるため、隙間は発生すれど、理論上Webtoonの広告がしやすくなります。ただ、ポスト(ツイート)として見やすいかの検証は、これから実装実験が必要とは思いますが。


海外News

*:ここから、英語・韓国語などの海外ニュース記事が混ざります。自動翻訳などご利用ください。

タイトル訳:WEBTOON、ニューヨークコミコンのラインナップを発表

10月のNYCコミコンに向けて、NAVER WEBTOONからのリリースが色々あるようです。

タイトル訳:KOCCA、ニューヨークコミコンで韓国のウェブ漫画やグラフィックノベルを紹介

同じニューヨークのコミコンで、韓国コンテンツ振興院が米国ローカル企業と韓国企業のマッチング機会を作るようです。現在、韓国Webtoonの紙書籍化を米国出版社が行うスキームが増えており、そうした狙いがあると思います。こういう地道な産業支援は、韓国勢は手堅いですね。実際に伸びつつある分野ですので、結果も出そうです。


タイトル訳:NIME NYC に韓国のウェブ漫画アーティストのゲスト Sleepy-C が追加

11月のアニメNYCというイベントでもREDICE作品クリエイターさんのイベントがあるようです。


韓国Webtoon原作『ムービング』の映像が好調のようです。こうしたことも、米国イベントでの韓国勢の前がかりな攻勢を後押ししてそうです。


タイトル訳:K-POP ステージからデジタル コミックまで: HYBE の音楽とウェブトゥーンの革新的なブレンド

BTSをWebtoon化するなどしたHYBEの複合的戦術を「ブレンド」と称している記事です。Webtoonランキングと音楽チャートなどを同時に攻めるビジョンとのこと。


韓国内の動きですね。Webtoonポップアップストアは好調。テーマパーク「ロッテワールド」のステージでは、WebtoonIPを起点としたコラボとのこと。


タイトル訳:DCは、クリエイターの主張にもかかわらず、コミックシリーズ「寓話」はパブリックドメインではないと主張

DCの著作権問題、依然くすぶってますね。いわゆる職務著作物問題ですが、米国でもそう簡単には割り切れないようです。


タイトル訳:DCクリエイターのマーク・ウェイドとハワード・チェイキンがコミックセミナーを主催

米国のコミックでも、こうしたセミナーによるクリエイター掘り起こしは行われているのですね。


タイトル訳:携帯電話でウェブトゥーンを作成する方法

一時期、「スマホ使って指で描いたマンガで新人賞を取った新人がいる」と日本でも話題になりましたが、Webtoonでもそうした流れはありますねと。


タイトル訳:ウェブ漫画「Get Schooled」が人種差別的な内容を理由に北米で打ち切りに

今週も、打ち切りとなった『Get Schooled』が沢山記事になっていました。


タイトル訳:韓国政府、出版・漫画業界の不公正契約を規制へ

タイトル訳:公正委、ウェブ小説公募展「甲質」カカオエンターに5億ウォン課徴金

韓国で、作家と企業の関係性でいくつか火種があるようです。


AI・画像生成関連

このマンガ、AI制作とのこと。ちょっとびっくりしますね。
ツリーに詳しく書いてあります。


この記事にあるAbemaTVの番組でも、マンガのAI制作に触れています。アシスタントの失業と言うのは、派生的話題なのですが、さて。


作家自身がAIは作家足り得るという記事です。ただ、プロンプトを書く本人に作家の素養が無いと上手くいかないだろうとも書かれていて、興味深いです。ChatGPTがつくったという小説の書き出しは、何か骨太な作家像がうかがえそうな重厚な文章でした。


AI関連企業に大きな投資を続けるマイクロソフト社ですが、AI関連で数々のアップデートをしているようです。

BingAIにはいくつか新機能があるようで、中でも有料画像生成AIのDALL・E3を無料で使えるというのが大きそうです。

また、誰もが一度は使ったことがある、Windws11標準装備の「ペイント」に、生成AI機能Cocreatorを実装。背景除去やレイヤー機能も追加されるとのこと。これちょっと凄いですね。私はずっとWindows10を11に更新することを拒み続けて来たのですが、こんな機能が使えるなら、仕事用ではなくゲーミングPCのほうはWin11にしてみようかなと思いました。


Adobeで行われた生成AI系イベントです。
最近、この手のイベントに引っ張りだこの、うめ・小沢高広さんによる
「生成AIは人々の仕事のサポーターとして機能する」
「マンガは最高に面白い嘘をついた人が勝ち」
「嘘をつきがちなAIは、創作のアシスタントに向いている」
といった喝破が印象的です。


今週のセール・キャンペーン・新人賞等


記事のみ紹介


告知関連

インプレス社が『電子書籍ビジネス調査報告書2023』のWebtoonパートの執筆を担当させていただきました。

本書発刊にあたり、私からの紹介で本書を著者割引10%で販売できます。本noteご覧の皆様にはコードをお送りいたしますので、私の連絡先をご存じの方はご連絡ください。または、こちらの私の個人会社問合せフォームか、Twitter(X)のDMも解放しましたので、ご都合の良い方法でご連絡ください。

購入時に送付先など入力していただくことになりますので、私へのお問合せの際は匿名でも構いません。クローズでメッセージさえいただければOKです。主に法人向けの高価な本とはなりますが、よろしくお願いいたします。

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現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。

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