【マンガ業界Newsまとめ】『僕ヤバ』『OUT』『片田舎』などの「ヤンチャンWeb」船出へ!、コミチが小学館&秋田書店から資金調達 など|4/2-96
マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。
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『僕ヤバ』『OUT』『片田舎』激熱ヤンチャン作品がすぐ読める。Web雑誌「ヤンチャンWeb」始動!システムに「コミチ+」導入
<筆者所属のコミチ社関連ニュースが2つ続きます。>
3/28に秋田書店の「ヤンチャンWeb」がオープンしました。システムにコミチ社のWebマンガ雑誌システム「コミチ+」を導入しています。
「ヤンチャンWeb」は、秋田書店の青年誌向け作品のうち、ヤングチャンピオン編集部が制作する以下の媒体のマンガ・グラビアを読めるものです。
スタートと同時に『僕の心のヤバイやつ』『OUT』『片田舎のおっさん、剣聖になる』などの人気作品のキャンペーンが始まっています。
同社のWeb「マンガクロス」で連載し、4月にはアニメ化する『僕ヤバ』ですが、実はヤングチャンピオン編集部の作品です。また、先月開始したWebtoon「J-TOON」も同編集部の制作です。
ヤンチャンWebは、多くの作品が無料で読める状態でスタートしています。待つと無料で読める機能、話売り課金機能、積極的な外部電子書店への単行本購入誘導など、総合的に雑誌編集部の運営をサポートする機能が実装されています。
早速、連載作家による新作紹介などでSNSがにぎわっており、1万いいね超えのツイートから、単行本1巻発売前の新連載作品の認知向上や、サイト上でのPVに繋がっています。こうした連載間もない作品の認知向上には、Webマンガ雑誌の形態が有効です。
コミチ、小学館と秋田書店から資金調達
先日、3/10オープンとご紹介した「ヤングアアニマルWeb」と、直前記事の「ヤンチャンWeb」と、ともにコミチ社によるマンガSaaS「コミチ+」を導入しています。
そのコミチ社が、3/31付で、小学館、秋田書店の2社から資金調達をしました。なんだか、先の導入先の企業2社とは、惜しくも少し座標がずれている気もしますが、そういうことなのでしょう。
資金の調達目的は、システム開発の加速化と、人材採用です。
急拡大につき、エンジニア、Webディレクター、アナリストはじめ採用募集強化中です。
「コミチ+」は、同じくコミチでゼロからシステム開発や運用のお手伝いをした「ヤンマガWeb」の経験をもと新たに開発した、短期間でWebマンガ雑誌を立ち上げることが出来るWebマンガ雑誌のシステムです。両社とも、システム規模の割には、導入開始からかなりの短期間で立ち上がっています。
アプリで新しいユーザー・読者を獲得するためには、高額なWeb広告費を毎月かけることが前提になってしまいました。販売面におけるアプリの役割は、「広く作品を広める雑誌」の役割から「読者を囲い込む書店」の役割にシフトしているとも言えます。
一方で、読者も作家もSNSを常用する現在、Webは新しい作品を認知してもらうためのインフラになっています。新作を広め、ブランド認知を向上し、新しい作家に来てもらうための起点は、Web上の雑誌の役割となっています。
但し、しっかりとしたデータ分析と、それに即応できる運用体制が前提となります。それなくして、ただWebページを作るだけでは、新たな読者とは出会えません。このデータ分析と運用が、コミチの強みです。
日本のほとんどのマンガ読者は、既にお気に入りのマンガアプリ・電子書店のアカウントを持っており、それをこれから大きく変えることは無さそうなところまで、電子書籍は普及しました。新作認知さえ進めれば、あとはみんな、お気に入りのアプリ・電子書店で単行本を買ってくれます。
自力で作品認知を上げる方法を、編集部が持つことこそ大切な時代となりました。つまり、ネット上における「マンガ雑誌の復権」です。
作品を作り続け、同時にこれを広める力も兼ね備えた編集部の姿が、作家と、勿論読者の求めるものになりつつあります。
この春以降、紙の雑誌は一層厳しい市場環境の変化を迎えます。
どの会社の提供するシステムが、紙の雑誌の仕組みに代わる、Web雑誌の仕組みを提供するうえで優れているのか?
「一番大きなノアの箱舟」の見極めが、必要なタイミングもそろそろかと。
Webマンガ雑誌「コミチ+」にご興味をお持ちの方はこちらまで。
国内News
ナンバーナイン社の主たる事業の一つは、漫画家の電子出版周りの販売業務代行です。多くの電子書店に配信し、その販売を促進プロモーションをしています。
また、今回同社に子会社化されて連携する「マンガ図書館Z」は、旧絶版マンガ図書館と呼ばれていた時代もあり、絶版するなどしてこれ以上収益が見込みにくい作品をサイトに集め、広告収入などが得て、これを作家に還元するビジネスモデルが起源になります。
つまり、Zに沢山ある電子化済み作品を、ナンバーナインが広く販売するという展開が考えられるわけですね。もともと提携はしていましたが、更に一歩踏み込んだというところですね。
日本文芸社の新レーベル「urakoi」は、オトナ女子向けの恋愛マンガとのこと。シーモア向けに独占配信開始とのこと。
クリークアンドリバー社と同じ住所のNextrek社はアプリ「モブコミ」の提供を開始、モーションコミックをやっていくようで、初期作品には『終末のシンデレラ』『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』や『野生のラスボスが現れた』など、コアミック社、コミック・アース・スター社作品などが出ているようです。
アプリを入れて作品を見ようとすると、そのままYoutubeに飛ぶ形でした。
不破雷蔵さんの、紙マンガ雑誌部数の見える化記事。今週はまず、少女誌と女性誌ですね。女性誌ではBe/LOVEがトップで3.8万部、少女誌ではちゃおが15.5万部となっております。
こちらは、学年誌にあたるところですが、もう「小学一年生」1誌のみとなると「学年誌」ってジャンルの意味が消滅してしまいますね。そして、何がこれに変わるんですかね。チャネルとしてはYoutubeなんでしょうけども。
紙の雑誌は、やはり厳しいですね。そして、この春以降、また大きな環境の変化が起こりそうです。今年は、もう単純に不調と言うレベルでは済まない、マンガ雑誌の大きな形態変化が求められる年になるのかもしれません。
「マンガを深く読むための新雑誌」という新創刊、凄いチャレンジだと思います。
これは良い記事。AnimeJapnの様々な記事やSNSシーンをまとめて見れます。個人的にはサイコパスの続き楽しみです。
今日の他の記事にもあるように、最近様々な媒体に引っ張りだこのジャンプ+編集長細野さんの記事です。
ちょっと変わってるのは、書いているまつもとあつしさんが新潟県新発田市にある敬和学園大学の准教授をされてるのですが、そこでの授業が記事になってるしつらえですね。全3編の2本目までが本日現在公開されてるようです。
内容的にも授業と言うことで平易で判り易く、ジャンプ+の様々な具体的数字を資料で一つ一つ見せてくれているので、良い資料になる記事と思いました。
日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表の鴨原氏による、国によるマンガ・アニメ・ゲームの国際拠点づくりの掘り下げ記事です。かなりしっかり色々調べられていて力作です。これは意義のある活動ですし、ぜひやって欲しいところですが、始まるなら始まるなりに、やっぱり条件が付くなと考えてもいます。
私見を少し。
私は、2012年開始の京都市の京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)の初期立上げ事務局と、2019年開始の豊島区が第1回を主催した、国際マンガ・アニメ祭Reaiwa Toshima(IMART)の、立上げと現運営委員をしています。
両方、現在まで続いている事業ですので、実績のあるものと思いますが、こうした行政主催の取組が上手く行くために必要な要素は大きく2つだと考えています。
ひとつは、責任者を含めた実行部隊に、しっかりとエンタメのことをわかってる実務者を差配することです。
当たり前のように聞こえますが、これが出来てなくてそもそも何も始まらない行政イベントは数多ありました。
良くわからないおじさんを据えたプロジェクトでは、本当に何も、何一つ始まりません。しかも彼らは、良し悪しもわからないので、終わらせ方もわからないのです。間違った人の差配は、良いことが何一つありません。
もう一つは、行政側の体制です。わざわざ書きませんが、私も失敗した行政プロジェクトに関わったこともあります。この際に、クリティカルにまずかったのは、伴奏する行政側担当者の姿勢です。
エンタメに限らず行政プロジェクトでは、行政側担当者が「行政の都合をプロジェクトに押し付ける」か「プロジェクトのやりやすい形を、行政側で調整してくれる」という2つのパターンに大別されると思います。
前者の場合、まず上手くいきません。でも、それを当然と思う人が、普通に沢山いて怖いです。後者の場合、その担当者が長くプロジェクトに関わり、その後もしっかりマインドが引き継がれていけば、成功可能性は飛躍的に向上します。
私が経験上思うのはそのあたりです。国のプロジェクトの場合、地方行政に比べ、何かと制約があってこうした内実をしっかりさせるのが難しいのだろうなという印象はあります。
特に、国のPJだとリーダーに著名人を据えないといけないんですよね。これがプロジェクトにフィットしないと。。。と、これくらいにしておきます。
今週のWebtoon新規参入・新たな動き
昨年末、dブックにて配信を開始したMUGENUPのWebtoonですが、更に2タイトル増ですね。同社はdブックを厚くしていく方針のようですね。
先週リリースされた、日本テレビ製WebtoonのLINEマンガ向け展開ですが、制作はMinto社だったようです。
海外News
既報ですが、BOOK☆WALKERのタイ向けサービスの自社プレスリリースです。今週末に開催しているバンコクのブックフェアでもオフィシャルスポンサーをしているそうです。
こちらもタイの話題ですが、韓国のWebtoon原作「私のIDはカンナム美人」がタイでドラマ化されるとのこと。タイは動きが多いですね。これの英語記事も沢山出てました。
なるほど、聖地化への布石というところでしょうか。韓国だと、割と素直にみんな使ってくれそうですね。良い取組。
作家事務所が直接海外企業と何か提携という形は、ちょっと珍しいですね。
MyAnimeListは、究極のマンガリスト「You Should Read This Manga 2023(2023年に読むべきマンガリスト)」を発表した。とのこと。
これちょっと面白い展開ですね。孤独のグルメみたいなものとは、また違う形でコンテンツ化していく感じでしょうか。
アジア料理は、比較的健康に良いものも多いので、既に北米でメジャーな中華以外にも、日韓料理が新たにコンテンツを通して受け入れられていくみたいな流れでしょうか。正しいクールジャパンですね。
今度は、西オーストラリアのパースでもコミコン開催とのこと。記事中のレイヤーさんのクオリティが異常に高いです。オーストラリアも熱いですね。
ポケモンの記事で「ムサシとコジロウがなぜ海外のLGBTQコミュニティで支持されたのか」というのは、確かに興味深いものでした。
AIイラスト・画像生成関連
今週話題になったのはこれですね。イーロン・マスク氏の他が、AIの開発を止めよと声明したものですが、ホントどうなるんでしょうね。
少し頭が混乱したのですが、AIイラストを作って欲しいというリクエストをする先のようです。そういう需要もあるのかー。
1枚のイラストを出して、アニメを作って欲しいと依頼すると、完成したらメールが来るというサービスとのこと。
実際、マンガにAIをどう使うのかと言うお話を2つほど。
一つ目はこちらで、いわゆるAIに支持を出すプロンプトの中で「どうやってアイディアを出すか?」という点に良い例だなと思いました。
もともと、ChatGPTを擬人化するというnoteが面白くて読んだ中で見つけたので、今週の話題ではないですが、勉強になりましたのでひとつ
Twitterが「おすすめ」タイムラインの投稿選択アルゴリズムをオープンソース化して公開、誰でもダウンロード可能に
最後ちょっとAIから離れますが、Twitterの話題です。
上記、このオープンソース化がどうTwitterと関わってるマンガの現場と関係するのかと言う意味では、以下のけんすうさんのまとめがわかりやすいです。
ここから読み取れることとしては、「シンプルなテキストを添えて、マンガを1ツイート当たり4ページ分ツイートしてツリー化、最後に作品の続きを読んだり買ったりできるリンクを貼る」という、今業界の方々や作家さんたちが良くやっているあの方式は、とても良かった。ということですね。
記事のみ紹介
告知関連
「これも学習マンガだ!展」第4期の特集作品は『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』です。
第4期特集の展示期間は2023年4月21日(金)~5月28日(日)
トキワ荘通り昭和レトロ館で開催します。
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個人的に、今回のエイプリルフールネタの中では、これが一番面白かったですw
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主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンかTwitterのフォロー、よろしくお願いします!
現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。
コミチ+は、来年に向けて大手出版社やWebtoonSTUDIOなどの大型受注を複数控えておりまして、絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当・データアナリスト等)などを募集中です。サービスがどんどん大きく広がっていく、これから滅茶苦茶楽しくなっていくタイミングです。一緒にやりませんか!私も力を出し切るつもりですし、一緒に働く方には私の持ってる知識や人とのつながりを最大限提供したいと考えています。詳細は以下より。
コミチに関するお問い合わせは、こちらまで。
著者個人へのお問い合わせなど、以下まで。
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