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【マンガ業界Newsまとめ】マンガ図書館Z復活へのクラファン1日で目標達成、オタク市場調査16分野で約1兆円 など|2/9-186

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTの主催やIP市場調査を行うMANGA総研運営する筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。

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「マンガ図書館Z」復活に向けクラファン開始 目標は4月末のサイト再開

絶版漫画を中心とする電子書籍配信サービス「マンガ図書館Z」の4月末の再開に向けクラウドファンディングを実施、1日で目標額を達成しました。

クレジットカード決済に絡む諸問題で2024年10月にサイト停止を余儀なくされた同サービスですが、仕切り直しでサービス再開に向けクラファンをしたわけですが、目標額達成とのことで再開は確定したようです。まずは良かったですね。

もともと、絶版マンガの公開を維持し、そのうえで広告収入などでマネタイズすることを目的に開始したサービスでした。電子コミックが好況になる中で旧作の一部は電子コミックとして販売してもそれほど大きな売上が見込みにくく、電子化するコストも回収しにくいという、新しい環境変化がありました。

広告収入も目減りする中、ベテラン作家などが作品を預け、KindleUnlimitedなどで少額なりともしっかり利益を還元する仕組みなどを提供するという意味では、漫画家さんたちを支えるという意味で数少ない希少なサービスです。このまま、多くの漫画ファンや作家も含めた当事者たちの力で継続していくことは、大きく業界に資すると思います。続いて欲しいです。
個人的にも出させていただきました。


「オタク」市場に関する調査を実施(2024年)16分野を調査、概算約1兆円。

矢野経済研究所による「オタク」市場調査が発表されました。
オタク主要分野16の市場規模を推計してまして、縦計を手元で計算したところちょうど約1兆円でした。

16分野のうち、14が成長したとのこと。
2.5次元ミュージカルなどが注目とのことで。
BLがちょっと下がっているのが気になりました。


KADOKAWA純利益17%増 4〜12月、ゲームがけん引

KADOKAWAが第3四半期の決算を発表し、好調さを見せています。
この期の中には、昨年6月のサイバー攻撃が入っているのですが、ゲームではエルデンリングが、アニメでは『推しの子』がと好調で、売上で10.5%、営業利益で18.8%と、増収増益とのことで、ネガティブな影響を見せていません。すごいですね。


国内News

一昨年から昨年にかけて、セプテーニグループから独立し、社名もコミックスマートからコミスマに改めた同社が、イマジカインフォス社からアニメ制作部門を事業譲受して、アニメ事業を強化した形です。

もともとGANMAというプラットフォームと、オリジナル作品のコミック編集部を持つ同社ですが、並行してアニメ部門も強化。いわゆる版元というよりは、マンガもアニメも進めるCP(コンテンツプロバイダー)としての動きを強めていました。ここに来て、更にアニメ周りも強化していくことで、新しい形で作品を作り、提供していく体制を強化しています。

一から始めて、ヒット作品も作って約10年でここまで来ており、戦略的だなぁと思います。


ヒーローズのBLレーベルよりWebマガジン・Re;zz創刊とのこと。
4月からコミックシーモアで先行配信開始。


CLLENNレーベルのプレスリリースですが、2つのプラットフォームでそれぞれ先行配信というリリースですね。なるほど。


viviONのオリジナル新作2本


Z世代のマンガ意識調査です。
マンガ好きが約50%とのこと。


この本凄かったです。なかなか言い切るのも難しい所を、大場さんが立上げ、森薫さん、入江亜季さんという2人の作家さんとともに、ハルタという特別な雑誌の土壌からビシッと言いきっていて、良い本かと。


トキワ荘時代のマンガ100選が年表になっているのですが、『マカロニほうれん荘』の翌年に『うる星やつら』が始まってる等、見てると色々唸るところがあります。


来ちゃいましたねー。



これ面白いですね。ネットで無料で読める幅を広げて作品を知らしめ、そこから売上に繋げる形がリアルでですね。なかなか奥が深い施策なので、じっくり取り組んで欲しい所。


「マンガ産業論」の中野晴行さんの記事です。
マンガ産業について古く遡るとからなず「貸本・赤本」という文脈にたどり着くのですが、この点日本で一番良く知る方ですので、原典として読む価値のある記事かと思います。手塚治虫さんはじめ、マンガ出版の盛り上がりは大阪起源と言っても間違いないかと思うのです。


マンガに強い出版社の動きが、マンガのみならずIP重視になって久しいですが、出版文脈でこれを見ると「超出版社」という表現が確かにしっくりくるかもしれませんね。

エンタメ色の強い小説(≒ラノベ)などを扱う出版社は、多くがマンガにも進出してますが、そこに地盤の無い企業だとなかなかそちらに行きにくいところで、こうした考え方になるのかなぁと。


サイン会の多くは紙の書店で行われますが、マンガの多くは電子書店で買われるようになりました。そうした影響もあるのやもしれませんねぇ。


来週2/18火曜に、JEPAさんのセミナーに登壇します!何卒ご覧ください!
表題の通り、この本は内容と同時に、なんでこの時期にこうした本を書いたかという辺りが重要なのかなと思っていますので、その辺りを話そうかなと。後半は、昨年MANGA総研で行ったIP調査の話をします。


Webtoon・ショート動画関連

韓国の人気Webtoonがリブレより。BLに定評のある同社ですが、ファンタジーBLのWebtoonの日本語化を実施したようです。監修に上手さがありそうですね。


Amuse×テレ東のWebtoonがピッコマ独占配信とのこと。


FODでは、韓国BLドラマの実写化とのこと。TV局関連の動き多いですね。


ジャンプがWebtoonをやるということで、物珍しさに傾注した記事が多い中で、この記事の聞き手さんは「ジャンプがWebtoonをやる意味」について、落ち着いてしっかり聞いている感じがします。良い記事ですね。


FLASHで6作品ショートアニメ化とあり、Flash形式のショートアニメが出来るのかと最初は誤読してしまったのですが、社名がFLASHなんですね。自らの老いを感じます。。

『ドラゴン桜』『インベスターZ』と、こうした時に動きの早いコルク系の動きなのですが、ネットウケするキメ台詞も多い作品ですので、相性良いかもなと思いました。


昨年11月に開催されたIMART2024のセッション「漫画/webtoonの二次展開先としてのショートドラマの可能性」に関する記事です。

ショートドラマの草分け的存在「BUMP」の澤村氏など、現在の日本ショートドラマ界のトップランナー達が語っております。マンガやWebtoonからのショートドラマ展開については、初動期の集大成みたいな内容になっているかなと思います。

セッションの動画は以下です。


海外News

第13回台北国際コミック・アニメフェスティバル(台北国際動漫節)開催


現代ビジネスの飯田一史さんの記事で、ブラジルの書籍市場の実態です。

2億人超の人口を擁するポルトガル語圏で、日系ルーツの方も多いブラジルですが、日本マンガの展開先としても注目されてきています。ただ、統計ではコミックの読書率が減ってきているようです。記事のよると、物価高騰、書店不足、電子書籍の普及がそれほどでもない。など、色々ありそうですね。


中国のBL市場規模は、約500億元(1兆円ほど)と推定されるそうです。
記事にもありますが、中国ではBLへの規制が厳しく、耽改禁令」と呼ばれるブロマンス禁止措置です。などにも触れられています。なかなか日本ではわからないことが詳しく書かれています。そんな中で、様々な文脈を読んでの進出が必要ということなのでしょうね。


海外の漫画賞の情報についてのnoteです。貴重な良き情報です。
スペインの漫画賞の記事を拝見すると、スペインにもしっかり漫画文化があるのがわかりますね。12月のマンガバルセロナの際に私もNORMAというお店に行って驚きました。


スペイン最大の日本コミック翻訳会社「DARUMA」代表のマルク・ベルナベ氏の講演会です。貴重な話が聞けそうなのですが、残念ながらチケットはソールドアウトです。私も行きたかったのですが、買いそびれてしまいました。

スペイン語圏は、欧州の他中南米を合わせると8億人と言われ、現在多くの作品がスペイン語訳に向かっています。そのあたり面白いお話が聞けそうで、レポートが出ればなぁと思っています。


libroさんによる北米エンタメ事情です。

アメリカに様々なニュースも面白いのですが、フランスで『カグラバチ』1巻販売がすごいことになってますね。これ、現地版元が販売時にどんなプロモーションをコミットしたのか興味深いですね。獲得競争も凄かったんじゃないかしら。


これは、出来れば日本のコミック海賊版系も乗っていきたいところかと。


タイトル訳:ダンジョンズ&ドラゴンズはウェブトゥーンの次の大作シリーズのおかげでさらに大きくなっている

D&DもWebtoonに。 絵柄古いけど、縦カラーになるのが逆に新鮮ですね。


確かに、15年程前に行ったときは、量販書店っぽい感じでしたが、去年行ったときは、雰囲気がとても良い書店でした。マンガコーナーもしっかりありましたし、日本マンガが好調になった近年、かなり売ってくれたというのも聞いています。

ロサンゼルス・トーランスのMacy'sに併設されていたB&Nのマンガコーナー(筆者撮影)
POPも頑張ってました。ラノベのコーナーもありますね。(筆者撮影) 2024/7 

米国の書店関係だと、こうした記事もありました。

オンラインに負けじとする米国書店系の動きもあるようです。


タイトル訳:AllskreenウェブトゥーンプラットフォームがLe Lombardと提携

フランスのニュースで、ともに仏企業、Le Lombard(ル・ロンバール)出版社が発行する作品を、Allskreenプラットフォーム上でWebtoon形式で配信とのこと。

具体的には、Le Lombardの既存の漫画作品を、AllskreenのWebtoon化して出すようです。フランスでもこういう動きがあるんですね。


タイトル訳:WEBTOON Entertainment Inc. が 2024 年第 4 四半期および通期の暫定予想業績を発表し、2024 年第 4 四半期および通期の業績発表およびウェブキャストを発表

という流れで、WEBTOON Entertainmentが、第4四半期の決算を発表したのですが、上場1年目の目標未達ということで、株価に影響が出ているようです。


タイトル訳:北米最大のストリーミングプラットフォームCrunchyrollが情報開示計画を発表。オリジナルのウェブトゥーンは累計64億回の視聴を記録した。

一方で、『女神降臨』のアニメは好調のようですね。


韓国内では引き続き、Webtoon周りに投資が続いています。


NAVER本体は、売上1兆ウォン突破を発表。


NAVER創業者は、経営の第1線に戻るとのこと。米中のAI路線に対する対抗をはかるとのこと。


タイトル訳:ウェブトゥーンアーティスト協会がピーナッツーンの突然の閉鎖を非難

1/16にサービスを終了すると発表した「PeanuToon」に対して、韓国漫画家協会と韓国ウェブトゥーン作家協会は、クリエイターに対して作品の変換ななをせよと求めたようです。


AI・画像生成関連

これは、背景作画などでは影響ありますかね。


今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等

これ、めちゃめちゃ面白かったです。マンガを動画でPRというのはもう珍しくないですが、企画の良さと中身の面白さで言うと、これくらい良く出来ている動画はなかなか無いかなと。LOCKER ROOMの親会社の1LDKの企画プロデュースの動画とのこと。
確かに横井さんに板垣先生の話を聞くと、だいたい面白いんですけども、ケンコバさんがそこを上手く回すという作りが良いですね。


ラインナップが豪華


日経新聞のコラムで話題の一条先生企画

KADOKAWAの「台詞無し漫画賞」日本発信で海外に告知されてるようです。


記事のみ紹介

タイトル訳:K-コミック入門 - WEBTOON(Anime News Network)


告知関連

MANGA総研は、マンガ・アニメIP市場調査を行いました。

調査の概要を、以下動画にて研究員の中山淳雄さんに紹介いただいています。

筆者単著「漫画ビジネス」クロスメディアパブリッシングより発売中です!

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菊池健
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