【マンガ業界Newsまとめ】SORAJIMAインドネシア「Kisai」に1億円出資/経団連「コンテンツ省」の設置提言 など|10/14-172
マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTを主催するMANGA総研代表の筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。
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ソラジマがインドネシアの漫画制作スタジオへ1億円出資
株式会社ソラジマは、インドネシアの漫画制作スタジオKisai Entertainment社に総額1億円を出資し、資本業務提携契約を締結とのこと。
背景には、WebtoonSTUDIOがアジア各国の制作スタジオに対して、Webtoon制作の線画や着色、もっと踏み込むと制作のかなり深いところまで発注してきたという経緯があると思います。
というといころで、提携内容として、
(1)制作面
(2)出資インセンティブ
(3)ファーストルック契約
と、3つの内容があげられています。この3つ目のファーストルック契約は、SORAJIMAが指定するクリエイターを選べる権利とあります。
これを理解するには、インドネシアのエンタメ事情を知る必要があるかなと思います。
たまたま私は8月にインドネシアの商談会に行きまして、このKisaiさんにも企業訪問させてもらい、現場を見せていただき、話も聞きました。
まず、このKisaiという名前ですが、文字通り「鬼才」から取られています。
日本のマンガ・アニメが好きな集団というか経営者ということが、なんとなくわかります。
代表のTessaさんは、言葉を選ばず言うと「激オタ」で、かつ情熱的に事業に取り組む起業家さんでもありました。そして非言語化領域の話になりますが、エンタメの業界に長くいると、目の前にいる人が「一緒にエンタメを語って大丈夫な人かそうでないか?」直観的にわかる感覚が身につくんですが、Tessaさんは完全に大丈夫なほうの人でした。
日本のこの業界の奥深くには、コンテンツに対する愛情と仕事の出来具合が相まって、圧倒的な存在感を放つ女傑的な人が何人かいるのですが、まさかインドネシアに来てそういったエンタメ女傑的起業家に会えるとは思っていませんでした。それくらいの強い印象を受けました。
彼女に会えたのはインドネシア出張の大きな収穫だったなと思っていたのですが、こんなに早く日本に大きく知れるとは、個人的には驚きです。でも、時間の問題だったんではないかなとも思います。
次に、インドネシアにおけるエンタメ業界の環境について。
彼らは日本以上に「IP」という言葉を使います。伝統的な出版社然とした会社もありはするようですが、少なくとも私が見てきた企業は、アニメ・ゲーム・マンガ・Webtoonなどを横断的に触れながら、自社IPを育てることを目指す会社が多かったです。Kisaiは特化型でした。
日本のように、当たり前に漫画の巨大市場があるような安定的な環境では無い中で、IPを軸になんでもやるという構えの会社が多かった印象です。ここはホントにもっと詳しく書きたいのですが、IPについてはこれくらいで。
さて、そんな中でKisaiは、日米韓3か国のWebtoon制作を、プロデューサー以下様々な制作スタッフを組織化して教育し、堂々たる制作スタジオとして作品を作れる会社となっていました。見学者一同、感心するくらいの組織とマネジメントでした。
ちゃんと作品を作れる人を採るために、採用段階で1/20くらいで絞ってるとか、入った後の教育課程が入念であることや、人によっては毎年採用試験を受ける人がいるとか、目が見開くような話が沢山ありました。
Kisaiに限らず、インドネシアからエンタメ産業を見た場合、Webtoon制作の受注先は、日米韓の3つが主です。以下の萩原さんのnoteにもありますが、Kisaiは日韓の他にも、ピッコマでヒットしている米国の『最強の王様二度目の人生は何をする』を高いクオリティで作っています。
彼らからすると客筋は日・米・韓というまず大きな括りがあり、そのどこから制作をうけるか、もっというと、組織の中にいる良いプロデューサーをどこの仕事にあてるかは経営者の差配次第でした。
これでやっと戻ってこれますが「ファーストルック契約」というのは、単純に良いクリエイターを指名できるということなのでしょうが、その際に競っているのは日米韓と様々な客筋がある中で、SORAJIMAが優先的に指定できるということなのでしょう。そこは「日本への憧れ、日本贔屓」だけに胡坐をかけるところではないでしょうからね。
それだけ優秀なスタジオだと思うのですが、実際に見て来て、Tessaさんはじめ中の人たちと話してきた私としては、この出資には納得するところが多いです。日本で言うと、地力のある編プロのあの会社に近い印象だなーというのがあるんですけど、さすがに問題ありそうなので、ここでは実名は控えさせていただきます。
と、ここまでSORAJIMAさんに一切取材せずに勝手に思う所を書いてしまいました。文責は勿論担いますが、実際にSORAJIMAさんの考えと合致しているかどうかはわからず、的外れでしたら申し訳ありません。自分なりのインドネシア感で今回のことを書いてみました。
最後に、これは恐らくアニメやゲームの現場では珍しくなかった話なのかなと思うのですが、マンガがWebtoonに接ぎ穂・拡張して、こうした話もこれから増えて行くのだろうなと思った次第で、象徴的な出資ではないかなぁと思いました。
経団連「コンテンツ省」の設置提言 予算2000億円に
大きなニュースですし、大事なことだと思いますが、これはなんとなくこの後また詳報がありそうですね。とにかく言えることとしては、「人」をどうするかだと思います。
タイトル:600億円規模、民間主導K-コンテンツ戦略ファンド新設へ…韓国文化体育観光相が意向
韓国でも国が600億円規模の投資とのこと。
国内News
「いない」ことにされがちな存在や関係を描く、KADOKAWAの新マンガブランド始動とのことで『作りたい女と食べたい女』など、マイノリティ的な考え方を扱う作品をレーベル化とのこと。現代の世界観にビビットだなぁと思いました。
『DLsite comipo』や『DLsite』など、ユーザー層別に複数のサービスを提供するviviONですが、それらを統合して楽しめるビュアーアプリを提供とのこと。ただ、ASMRなど音声にも強い同社らしく、ボイスコミックの機能があるなど、ユニークな点もあります、よって最早ビュアーアプリというものを超えた存在なのかなと思いました。
「日本現代マンガ美術館」という枠組みの中で、デジタル原画のミュージアム「マンガ・アート・ミュージアム」ということをスタート。「1980~2000年・日本マンガの黄金時代を彩った12人の作家たち」の原画を見ることが出来るとのこと。元小学館の編集者で、京都精華大学マンガ学部の設立にも貢献された、熊田正史が館長をされるとのこと。
実業之日本社でもNFTの取組とのこと。
個人的に好きな企画なのですが、通常新人漫画家に対して行う「持込会」を、プロ作家向けに開催するわけですね。ビッグコミック系の媒体は、作家も読者も比較的上の年齢ですし、納得感の高い取組ですね。作家さん含め、双方にとって上手く行って欲しいです。
メディアドゥの半期決算ですね。電子コミックが伸びて前年同期比2%増で好調とのこと。
クリスタ月商的なものが40億円超えとのこと(年払いとかもあるので、恐らく概算だと思いますが)
最近、シーモア関連記事増えましたね。
FY24-1Qの女性向け作品ランキングが出ていて興味深かったのですが、大手の狭間で、上位にシーモアオリジナル作品、スターツ出版、コミックルームと行った新興勢力が食い込んでおりますね。
この記事はマッピングや分析も素晴らしいですが、海外BL事情にも触れていて、とても良いです。
凄く良い体当たり記事ですね。
h1タイトルがエヴァフォントなのに目を奪われ、しばらく文章が頭に入って来ませんでしたw
そして、続く文章は庵野さんが変わらず強固なオタクであることを余すところなく示していてとても良いですね。SF大会的な意味で無駄な論争を起こさないというよりは、自分の中での整理・宣言みたいなことなんでしょうねこれは。さすがだなぁと。
おおー、映像になりましたねー。ガチですねー。
個人的には、問題を解決するのは良いのですが、政府介入は「角を矯めて牛を殺す」ことになりますよと、強く言いたいです。介入以外にも色々手があるとは思います。あと、近年のアニメ業界の賃金問題は好転していると聞くことが増えていて、データが数年遅れてないかなーという印象もあります。
とのこと。インボイスやAIの相談もできるそうです。
Webtoon・ショート動画関連
今週から、Webtoonコーナーを「Webtoon・ショート動画関連」としてみようかなと思います。
comico11周年とのこと。日本のWebtoonも11年ですね。
各種セールがあるようです。
これちょっと凄いなぁと。一番下の、ぐりぐり動かしてる動画ご覧ください。ちょっと「すずや」の「とんかつ茶漬け」を食べたくなりました。
各社、ショートドラマ・ショートアニメへの進出ニュースが続きますね。
米国でも同様な動きがあるようです。
海外News
*:ここから海外記事も入ります。自動翻訳ツールなどご利用ください。
タイトル訳:Webtoon Entertainment Inc (WBTN) 2024年第2四半期決算発表ハイライト: 厳しい状況下での堅調な収益成長...
様々な報道があります同社ですが、2Q 決算は堅調とのことです。
東証の支援事業に、めちゃコミックで『オークの樹の下で』のヒットさせたRIDIが選ばれたとのこと。こういうのもあるんですね。
Webtoon作家の上位1%は、年間所得が1億円超とのこと。
libroさんの北米エンタメニュースまとめです。
今週は、ドイツの漫画・グッズが好調というのところが気になりました。実際の市場規模が知りたいところです。
タイトル訳:ハロウィーンに欠かせない神秘的で魔法のようなマーベルグッズを購入しましょう
マーベルのハロウィングッズ、モデルさんも含めてガチだなぁと。
AI・画像生成関連
AIとうたってるわけではありませんが、これはすごいですね。
尾田栄一郎さんの強いメッセージを感じます。
政府としては、AIを推進する施策が目立ってきましたね。
炎上リスクもある中で、問題無いようにいかに進めるかかと。
すがや先生については、AI使用について提示しているポリシーと非難してる人たちがかみ合ってないのが本当にしんどいですね。文句言うならAdobeに言ってというのが、ままならないですね。先生が心配です。中国もかなり過熱しているようです。冤罪的なことが増えていく傾向ですかねぇ。
ただ、個人的にはこういう物理的に動いてくれるAIが、家事とか確定申告とかをクリエイターの代わりにやってくれたら良いんではないかなとも思ったりもします。
今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等
ポイ活アプリ×マンガアプリ
ちょっと珍しい座組ですね。シーモア&Renta同時先行配信 by CLLENN
記事のみ紹介
告知関連
11/23のイベントなんですが、チケット販売開始が10/19の21時~になってました。密かに狙っております。ロフトのイベントは、告知を見逃したり販売開始を見逃したりで、気が付いたら終わってたりするんですよね。
筆者単著「漫画ビジネス」クロスメディアパブリッシングより発売中です!
今週は、ITMediaさん、東洋経済さんに本の一部を紹介していただきました。
フーモア芝辻さんにnoteで紹介というか、続きを書いていただくくらいの記事をいただいたり、まんがたり前田さんには「まんがたり荘ラジオ」で紹介していただきました。ありがとうございます!
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