【マンガ業界Newsまとめ】出版市場1.57兆円・電子コミック5112億円、「マンガ大賞2025」ノミネート10作品発表 など|1/26-184
マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTを主催するMANGA総研代表の筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。
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2024年出版市場(紙+電子)は1兆5716億円で前年比1.5%減、コロナ前の2019年比では1.8%増 ~ 出版科学研究所調べ
出版科学研究所の前年2024年出版市場全般調べ。
・出版市場(紙+電子)1兆5716億円(前年比1.5%減)
・電子出版市場5660億円(前年比5.8%増)
┗うち電子コミックは5112億円(前年比6%増)
とのこと。コミック全体の指標発表は例年同様2月以降かと。
電子コミックの推移にフォーカスすると、前年同期比6%ということで、2010年代後半の20%前後の成長から、4年連続10%未満成長ということで落ち着いた動きになっています。
「マンガ大賞2025」ノミネート10作品を発表
マンガ大賞2025のノミネート作品が10作品発表されました。
和山やま「女の園の星」、田村隆平「COSMOS」、まるよのかもめ「ドカ食いダイスキ! もちづきさん」、鍋倉夫「路傍のフジイ」などのエントリーがあります。
国内News
シーモアが主催する一般読者投票の「電子コミック大賞2025」が授賞式を開催。大賞は『拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます』(KADOKAWA)とのこと。
受賞各社からもリリースや記事が出ています。
そのシーモアですが、2024年JEPA電子書籍アワードで「エクセレント・サービス賞」を受賞しています。
動画は前半授賞式の様子、後半では、私もお話をさせていただいております。授賞式も放談会も、業界の中の取組という感じが色濃くて楽しいです。
近年増えてきている、ボンデジ電子コミックの売上リリースですが、アムタス/めちゃコミックのオリジナルコミック『大正身代わり婚~金平糖は甘くほどけて~』の売上が5億円達成とのこと。単行本1冊500円換算で、ついに100万部級ですね。
書店の中でも、イベントや催事を取り分け多く行う「蔦屋書店」とイベントチケット販売をリアル・オンラインともに行うPeatixが協業とのこと。
出し先として、企業・自治体向けのコミュニティマーケティング販売ということで、IPも関わって来そうな気がします。
ことの経緯は記事の通りだろうなと。株価のチャートが、凸の上半分みたいな動きになっていて、市場は正直なだなと思います。急騰前後の株価があまり変わらないのも面白いです。
双葉社の「Webアクション」による調査。単体の媒体で調査しているのがユニークですね。
データを読み解くと、設問の設定そのものが、青年誌系のWebコミック媒体としてユーザーを見極めようとしていることが感じられて面白いです。
このあたり、IMART2024の以下セッションでも詳しいです。
2つ目の「親の生原稿」セッションは、終活というよりは、著名作家さんのご子息・ご令息さまたちの苦労話が興味深いです。簡単では無いですね。
UNIQUE TRAVEL JAPAN社によるインバウンド観光客向けの日本マンガ制作体験プログラム「漫画描きワークショップ」にがサービス開始1年で参加者が1000人を超えたとのこと。
マンガ編集部の、編集部にフォーカスした動画が10万人に登録されるというのは、やはりコンテンツの形が変わっていっているなぁと思いますね。
そもそもの編集部の実利としては、才能を集めたい編集部として、漫画家に編集部を知ってもらうための差別化として動画を作り始めたという背景があると思います。
ただ、はじめてみれば、そもそもの視聴する漫画家の数が多く多岐にわたることや、漫画ファンが「編集部」に対する認知が高く、編集者をもコンテンツとして見始めたなんてことがあるのかなと思います。
【告知】
JEPAの定例会で、ZOOMウェビナーをさせていただきます。
タイトルはラノベ調に、
『本当はビジネス扱いしたくなかったけど必要に迫られ書いた本「漫画ビジネス」と、 データを探す長い旅路になりそうな「IPビジネス」調査の件』
と、させていただきました。
前半は、業界導入本的な立ち位置的な本書について、内容というよりは、こうした指南書的なものが必要になる近年のマンガ業の背景について。
後半は、MANGA総研で行っている国内外のIP市場調査について話す予定です。
2/18の16時より。視聴無料ですので、登録くださいませ。
Webtoon・ショート動画関連
ともに韓国の株式会社Contents Lab. Blue と株式会社Story Soopが、共同制作した作品が国内ピッコマで成果を出したというリリースです。
Contents Lab. Blue Japanという日本法人もありますが、これは韓国のほうのような書き方ですね。また、この韓国両社は、ともにメディアドゥの出資を受けるなどの共通点があります。
KADOKAWAタテスクコミック編集部の主要メンバーの方のインタビュー記事です。KADOKAWAはとにかく作品数が多いですので、様々な取組・展開が出来そうですよね。
先週、四谷の韓国文化院で行われたフォーラムについての記事や企画をした李ヒョンソクさんのツイートです。
私もお話をさせていただきました。日本と、韓国からもかなりの数の来場があったようです。このnoteを読んできてくださった方もいらして、誠にありがとうございました。
個人的に、大学や専門学校でのマンガ教育には長く関わってきていまして、ここ数年は毎年春に、京都精華大学と東京工芸大学で一コマ持たせてもらっています。そのため個人的には、現役の先生による青江大学のWebtoon/マンガ教育カリキュラムが大変興味深かったです。良い教育をしているなと思いました。
現在韓国では、毎年4000人のWebtoon教育を受けた卒業生が生まれるそうで、そうした人材が日本を含めて色々なところで活躍できる、産業側の受け入れが課題と思いました。
海外News
*: 外国語の記事をご紹介します。自動翻訳などご利用ください。
タイトル訳:「これは大変なことになるかもしれない」:ダイヤモンド社の破産はコミック業界の将来に何を意味するのか?
先週出ていた、米国コミック流通大手「ダイヤモンドコミック」の破産申請に当たって、その実情や今後の展望を詳述した記事です。状況が良くわかりますので、必読です。
タイトル訳:2024 年の(スペイン)マンガ統計
スペインの個人の方の調査で、スペインにおける日本マンガの冊数ベースの推移です。
【スペインの日本マンガ出版数 2001-2024】
日本マンガ出版数は、2023年1508冊→2024年1460冊発刊。
近年で見ると大きく伸びてて、北米の動きに似てますね。
色々なデータが沢山あって面白いのですが、スペインの出版社はNORMA,Planetaなど、日本マンガを100冊以上出している出版社が6社、10冊以上だと17社、1冊以上で42社とのことで、私も実際に見て来て思ったのですが、思った以上に沢山ありますよね。
1位のNORMAは中心街に大きな書店を持っていたりもしますが、スペインの中でも、スペイン語、カタロニア語、バスク語、またはガリシア語と4つの言語があったり、中南米スペイン語圏の本も流れてきたり、ビジネスもそんなに簡単ではないようです。
どこも日本から遠いですが、世界のスペイン語話者8億人が背景にある市場の欧州側の窓口ですので、これから注目が必要だと思います。
昨年12月で30周年を迎えたスペイン最大のマンガイベント「マンガバルセロナ」のレポートです。浦沢先生は本当に開催期間の毎日なにかしら登壇していて、確か音楽ライブも2回くらいしていました。イベントキーピクチャーも浦沢先生画という気合の入れようでした。
タイトル訳:ロシアのWebtoon市場、アジアを超えて独創的に進化する
ロシアでもプラットフォーマーのMTSストローキーやブックメイトと言ったプラットフォームサービスがあり、そうしたところが現地のクリエイター支援を含めて本腰を入れ始めている状況とのこと。一方で海賊版も活発とのこと。
これは面白いですね。日本でやるとどうなるのかしら。Uberの画面上でリコメンドのマンガを表示するみたいなですね。利益率的には少し厳しいかもしれないかしら。
NAVERがタイのクリエイターに向けてトレーニングキャンプを開催とのこと。この辺りは地道ですね。
libroさんの北米ニュースまとめです。
パニーニというイタリアの出版社は、今日紹介したスペインでも強いのですが、同じくフランスや中南米でも強くて、様々なところで影響力があります。良く出て来る名前です。
あと、リンクが貼れないのですが、米国出版市場が2024年で若干上向きというのは、そうなのかーと思いました。
今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等
記事のみ紹介
ゲーム業界のレポート
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