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【マンガ業界Newsまとめ】NTTドコモが「MUGENUP」買収・IMART2024の登壇者/国際商談会等新企画発表 など|10/20-173

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTを主催するMANGA総研代表の筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。
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NTTドコモ、縦読み漫画制作スタジオ買収 「MUGENUP」を完全子会社に

イラスト制作事業から、近年はWebtoon制作事業に取り組んでいた「MUGENUP」をNTTドコモが完全子会社化しました。

2010年代序盤から、クリエイターを多数抱え、ゲームを中心としたイラスト制作などをしていた企業群として、フーモア社、サーチフィールド社(*)などとともにその一角を担っていたMUGENUP社ですが、この3社はともに資金調達などを行いながらWebtoon事業に進出していました。(*: サーチ社は別に創業者が立ち上げたNo9社としてWebtoon事業等に取組中)

近年、NTTドコモのdブックへの作品提供などを行っていた関係性から、今回の事業売却に繋がったのかと推察されます。制作サイドの見方としては、CPとして強い資金力を手に入れたと見ることができます。

一方、近年のNTTドコモは、アカツキ、メディアドゥ等と電子コミック事業に参画するなど、割と強火でこの方面への事業を進めて行く中で、プレスリリースにもあるようにオリジナルIPを作っていく流れの一環と思われます。

amazon、NAVER、カカオなどの外資PF各社に対し、コミックシーモアのNTTソルマーレ(NTT西日本グループ)、めちゃコミのアムタス/インフォコム(BlackStone傘下へ)など、国産プラットフォーム勢の一角として、今回の買収は橋頭保になるかなと思います。


<マンガ&アニメ業界横断カンファレンス IMART2024> 豪華登壇者約70名による約25のトークセッション開催!!

ライセンス商談会 & 学生ビジコン決勝大会の詳細も発表 

*: 筆者の関わるイベントの告知です。

11月に開催するIMARTのセッションや取組を発表しました。
今春に運営法人「一般社団法人MANGA総合研究所」を登記して、新法人が運営を行う新たな枠組みとして、今年のIMART2024から開始する、国際商談会、国内商談会、ビジネスコンテストなどの周辺事業も発表です。

基調講演には、ジャンププラスの林士平氏、CloverWorksの福島祐一氏が登壇。福島氏は『SPY×FAMILY』のアニメ制作プロデューサーでSPYコンビの基調講演となります。

セッションですが、今回は23~24ほど予定中で、7割ほど発表しました。

詳しくは記事や公式サイトをご覧いただければと思いますが……

最早常連となったジャンプラ編集部からは、今年MANGA Plus編集長となった細野さんと、話題のオレンジ宇垣さんインスタやfbのMeta社からは、中山淳雄さんの解説付きで、ここ1ー2年激増した北米マンガ出稿のお話同じく北米進出を早めるシーモア/MANGA Plazaからは、ヒット作品を連発するコミックルーム石橋さんとともに、海賊版の実害の話題等。

今年大きく動いた「不健全図書改称問題には」森川ジョージ先生など親が大物作家の3人が語る、生原稿保存する苦労のリアルなお話近年成長しいショートドラマ数年の試行錯誤の末、大きな売上をあげつつあるviviONのファン翻訳正規展開の取組

などなどなど、まだ仕込み中のものもあるのですが、今年も色んな話題に取り組んでおります。

新たな取組「マンガのIMART国際商談会」

現在、アニメ、ゲーム、文字出版などでは、海外から出版社などをお招きしての国際商談会が継続的に行われています。近年、日本のマンガ輸出が増えていますが、色々あってこの「マンガに強い国際商談会」が国内で行われなくなって久しいです。これを再開します。

国内の参加企業はご協賛企業(サイトフッター参照)、海外企業は現在18社ほど予定中で、まだ増えそうです。今後、毎年開催する意気込みです。

他、今年から行う「国内商談会」「学生ビジネスコンテスト」など、盛り沢山です。お問い合わせはWebからお願いいたします。

最後に、IMARTは毎年、多くの出版社、プラットフォームなどの業界の皆様に支えられて運営しております。この場を借りて皆様に多大なる感謝をお伝えしたいです。誠にありがとうございます。

IMART公式Webより 2024/10/20時点協賛企業
一番下の段は「特別協力」枠です。文字追加依頼中。

また、今後とも業界の皆様に色々とお返しできるように、精一杯頑張ります。

ご協賛企業、メディアスポンサーなど、10月中目途(シルバー&ブロンズは11/10まで)でまだ募集中です。ご希望の方はお問合せ下さい。

なお、一般社団法人MANGA総合研究所のリサーチ部隊が行っている「IPマーケット調査」は、鋭意仕上げ中です。11月にIMART開催と絡めて諸々発表予定です。


国内News

ジャンプ+が読切のポータルサイト開始とのこと。その数2000本以上!

その数もすごいのですが、こうして新人の登竜門や中堅作家の試験飛行的な「読切」が、読者も作家も楽しめる取組に再構成されるのは、程よいDXな感じがして良いですね。Alu社のサービスとのこと、さすが。


実業之日本社が「COMICリュエル&COMICジャルダン」のリニューアルに伴い、コミチ+を導入。コミチ共通IDでログインできる連携サイトも大分増えました。


CLLENNが、女性向けの新レーベル・シェノンコミックス創刊、第1弾作品はコミックシーモアに3作先行配信とのこと。


パルプライド社がコミック新レーベル「パルコミ」を創刊とのこと。


少年画報社のマンガアプリ「マンガDX+」が12月をもってサービス終了とのこと。引継ぎサービスの発表はまだこれからのようですが、ポイントの引継ぎをBOOK☆WALKER上で利用できるクーポンとしていて、その方向で引き継がれる感じですかね。


メディアドゥの第2四半期は増収増益とのこと。新商流のピッコマ分が影響を与えて好転しているようです。なるほど。


一二三書房を抱えるエディアですが、第2四半期の好調が伝えられ、その要因が『オルクセン王国史』1作品の好調に支えられているとのこと。私も小説3巻を昨日読み終わったばかりですが、盛り上がりどころのポイントが底知れず、なんともすごい作品であります。
「屑鉄戦隊に御用はなきなりや!」


「漫画のリーチを紙と電子を横断して計測する」とありまして、今までの所、作品を出版社を横断して計測する場合、紙は紙、電子は電子となりがちだったのですが、これはそれを横断できるということで、ユニークですね。

見てみたいなと。


これはですねぇ。本音ベースで言うと、「何をするかを行政サイドが考えない」ことが一番重要ですね。昭和の頃ならいざ知らず、エンタメ分野に限らず現在のビジネスは、グローバルまで目線を広げると大変に複雑ですからね。複雑な世界観やコンテキストを把握している人間が戦略を練ることが大前提です。

私個人としては、まずもってリサーチを行って現状を可視化、定量・定性において十分な情報を把握することがまず第1だと思っています。情報が無いのに戦略を考えるというのは、地図なく旅に出るようなもんですからね。目的地には着くどころか、確実に迷子になります。何をしても再現性も検証もなんにもないですからね。まずは現状把握からです。はい。


ボンデジのPOD本が書店に潤沢に並ぶ流通が、2000円以下で成立するくらいのバランスが必要かなと思います。書店が自由を獲得する世界観が成立すればですね。


先日、孤独のグルメで紹介された焼肉屋さん、神保町の「京城園」は、小学館・集英社本社の向かいに渡って、ちょっと入ったところですね。「神保町で昼から焼き肉焼きたいな~、高く無くて混んでないところで(重要)」となると、ここなんですよね。ただ、もうこれで混んじゃいそうですけどもね。デジカルビをサンチェで巻いて食べるの美味しそうでしたね。いいなぁ。

個人的には、この近くの「川国志」の「黒酢酢豚定食」がおすすめです。お店的には、しびしび辛い麻婆豆腐が名物なんですが、密かにここの黒酢酢豚ファンも一定数が業界内で確認されております。


Webtoon・ショート動画関連

ソラジマが、漫画家&クリエイターを応援するために新しいWebメディア「タテラボ」をリリースとのこと。現在は以下が公開中とのこと。

  1. 縦読み漫画(Webtoon)の描き方を解説した「タテ読みの教科書」

  2. 腕試しにピッタリな縦読み漫画(Webtoon)の「コンテスト」

MUGENUPが提供しているクリエイター向けサービス「いちあっぷ」のWebtoon特化型というイメージでしょうか。


読み手は少しずつ少しずつ増えていく感じですね。


シンプルにNAVER系とカカオ系の数字を並べていて、なるほどなと。

最近、Webtoonに限らず、広告、海外、紙、様々な関係事業者の方と話す機会が個人的に増えております。

基本的にWebtoonにせよエンタメにせよ時間がかかる事業なので、10年単位で戦える準備をした人たちは、目先に一喜一憂せず作品作りやプラットフォームの強化を続けていますし、そうした備えの無かった人たちがバタバタしてる感じですね。

ただ、そのバタバタが、大きく見えてくると周辺が騒がしくなるのですが、結局泰然自若と続けることが王道なのですね。


海外News

*: 以下より海外ニュースを紹介します。自動翻訳など活用ください。

タイトル訳:ネイバーウェブトゥーンが月間ユーザー数1億人を超える北米学習プラットフォームと手を結び、現地コンテンツの拡大と北米市場へのターゲティングを強化する。

最近の北米WEBTOONの不調の報の文脈からすると、こうした取組は手堅くもあり、試行錯誤の一環であろうと見て取れます。どれが当たるかは神のみぞ知るですが、とにかく色々やって長期的な事業の体制を整えていくところなんでしょうね。


タイトル訳:クラシックDCコミックスがウェブトゥーン風にアレンジした新しいデジタルプラットフォームに登場

自社PFでWebtoonを積極的に進めるマーベルに対して、DCはPF各社協業路線ですね。


タイトル訳:NYCC 2024: ニューヨーク コミコンで新しい「スター ウォーズ: ジェダイ ナイト」コミック シリーズが発表

こちらはDCよりも強く自社サイト上でWebtoonによる自社IP展開を振り切るマーベルの新作発表です。キーピクチャーを見るとこれはかなり、従来のアメコミテイストがWebtoonテイストに寄っているのが見て取れないでしょうか。ある種の文化融合みたいな、大きな変化を感じます。当のアメリカの人はどう思ってるんでしょうね。

とりあえず、詳しい人に質問してみました。

【追記】
と、思っていたのですが、これは私の勝手な思い込みで、全くそんなことないよとお返事で教えてもらいました。(↑続きのツイートにて)全く謙虚さにかける決めつけでした。もう皆様に申し訳ないです。全く修練が足りませんね。不愉快に感じられた方いらしたら、ごめんなさい。


タイトル訳:WEBTOON がストリーミング時代のストーリーテリングの原動力となった経緯

アメリカで元々、Webtoonより前からデジタルコミックに取り組んでいた方が、サービス終了で困っていたので新しく始まったWebtoonに乗ったら、成功できたというお話です。

「私たちにとって、これは単なるビジネスではありません。コンテンツビジネスなのです。そのため、金儲けの方法だけを考えていてはうまくいきません。そのIPをうまく活用する必要があります」

記事中より翻訳の上引用

ほんとです。


私もはじめて京都精華大学で講義をさせてもらった時、100人以上の方が聞いてくれてびっくりしたんですが、こういうのは本当にタイミングなんですよね。


タイトル訳:2024 年 9 月 CIRCANA BOOKSCAN - 作家、マンガ、スーパーヒーロー グラフィック ノベル トップ 20

ジャンプ新刊の中に、トライガンとベルセルクの豪華装丁版が上位に食い込む形。


AI・画像生成関連

生成AIの技術的なほうの話に振って考えると、このツールのエンジンが何かというところでしょうか。


今週はこの発表をうけて、SNS移動の話題がかなり出ていました。


AdobeのAIに対して提示したアプローチは以下。

・許諾を得ない限りコンテンツをAIの学習に使わない
・(学習などに使われる)Adobe Stockへの登録クリエイターには対価を支払う
・顧客のデータからAIの学習をしない
・ネットを探し回ってコンテンツを集めない

記事中より

なるほど。


今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等

これは良い施策ですよねー。

サムネがかわいいです。

学習マンガ×アニメのリアル書店CP

吉本のきっちょむさん、最近この手の取組では定着化してきましたね。

『ウィングマン』映像化に伴っての読切掲載!

最近売り出し中の、作画補助ツールのプロモーションなんですが、なんとアニメです。売れてるということなのかなー。


記事のみ紹介


告知関連

中野師匠と一緒に配信に出ます。

筆者単著「漫画ビジネス」クロスメディアパブリッシングより発売中です!

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菊池健
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