【マンガ業界Newsまとめ】クランチロールの日本マンガ新展開、韓国2023年Webtoon市場2300億円 など|1/13-182
マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTを主催するMANGA総研代表の筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。
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クランチロール、北米向けに漫画アプリ 日本作品を展開
*: 以下は、KADOKAWA系のAnimeNewsNetworkによる英語記事です。
日本アニメの海外配信大手のCrunchRollが日本のマンガ配信を開始します。
CES(ソニーのイベント)で「クランチロールマンガ」というサービスを開始を発表。iOS/Androidのアプリで英語からスタートして、対応言語も増やすとのこと。
開始しますと書きましたが、もともとクランチロールは日本マンガのサービスを行ってはいました。最後のANNの記事によると、KodanshaUSから講談社作品の提供を受けるなど、ある程度の規模にはなっていたようですが2023年末にクローズしています。クローズしたサービスがリニューアルされるというもののようです。
海外での電子コミック出版は、例えばKADOKAWAが海外向けに運営するBOOK☆WALKER Internationalであったとしても、KADOKAWAが現地でライセンスした作品を、現地企業から再度電子コミックのライセンスを受けることで初めて現地でデジタル販売可能となります。
そのため、日本のA社作品であるから、A社のプラットフォーム上で自由に電子コミックを販売できるとは限りません。
また、海賊版の影響もあいまって、巨大なマンガユーザーを抱える、日本のようなマンガアプリ・電子コミック書店のような存在が「日本漫画」にとっては今のところ海外に存在していないという問題があります。
また、これまでの経緯から、電子コミックがサブスクで読まれる土壌となっている英語圏において、話課金モデルが成功している例もまだ少ないです。
そうしたわけで、1000万人を超えるのサブスク有料課金ユーザーを抱え、資本や作品の観点から日本寄りのプラットフォームとなるCrunchRollが、前のサービスを閉じて1年後に新たな電子コミックサービスを開始するということは、期待したいところです。
北米の電子コミックの現状は、昨年開催したIMART2024にて、コミックシーモアの英語圏向けサービスによる展開と海賊版対策のセッションで詳しく説明されています(有料視聴です)
MANGAPlaza(コミックシーモア)米国展開の海賊版実例と対策2024年版
韓国Webtoon市場23年売上高2300億円 6年連続成長
*: 英語記事です。
韓国文化体育観光部と韓国コンテンツ振興院(KOCCA)は、2023年の韓国のWebtoon産業が2兆ウォン、日本円にして2300億円(前年比19.7%)増加しに達したと発表しています。
なおこの数値は、これまでと同じ算出方法だとすると、日本のマンガ市場数値のように純粋な国内のマンガの売上のみではなく、映像展開やグッズなどのIP展開、および海外の売上も含まれた数値と想定されます。
また、輸出シェアのうち、40.3%が日本で、次いで北米が約20%とのこと。ソースの調査報告書が今日現在探しきれず、今週は一先ず記事に書いてあった内容までです。報告書自体が手に入れば、もう少し深掘りできるかなと。
国内News
1つ目の記事が、マンガ図書館Zの決済停止についての経緯で、単純な停止だけでは無く、一方的な決済停止通知のあとに、2か月分の売上支払い差し止めなどがあったということなども書かれています。きついですね。
2つ目の記事では、サービス再開に向けてのクラウドファンディングが開始とのこと。過去、かなりの数の漫画家クラファンをしかけてきた同社ですので、大きな花火を上げて欲しいですね。
ライトノベル誌の老舗かつ最後の牙城であった「ドラゴンマガジン」が休刊です。小説の投稿先、作家の揺り籠として、ネットの小説投稿サービスが大きく、かつ一般化しました。紙の媒体が移ろうひとつの大きな区切りとなりますね。
年末年始の書店店頭売り上げは、コミック好調とのこと。
有料立ち読み専門店とのこと。ユニークですね。
ちなみに、「豊島」とありますが、豊島園は練馬区にありまして、豊島区では無く練馬区の話ではあります。お隣同士の沿線ですけども。
なぜ日本のマンガがこれほど発展したかという点について、海外の研究者の説明を骨格とし、アフリカやインドネシア、ウクライナなどでマンガを愛する人たちが、どのようにマンガと向き合っているかつまびらかにしてくれました。良い番組でした。
私自身、マンガは「人の世の救い」だと思っておりまして、3人の彼ら1人1人にとって、違う形でマンガを人生の拠り所とする点、すっかり共感してしまいました。
これは、正月からちょっときつかったですね。ピシっと意見を説明してくださって良かったです。
アニメ関連で不思議な記事が色々出てますけども、構造上日本のアニメ・マンガ・ゲームはある種の一体化というか、大きな工程の構成要素みたいなところがあるので、発展も衰退も三位一体みたいな理解が必要な気もしますね。
この画像使用は、どうなのでしょう。オークションだとしょうがないというような文化・慣習があるのかしら。
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年末には冬コミに出てまいりました。過去に色んな仕事やお手伝いでコミケに関わってきたんですけども、初めて個人で出しました。
50部くらい頒布させていただき、様々な方とご挨拶させていただきました。いらっしゃってくださったのにお話が出来なかった皆様、申し訳ありません。やっぱり冬は楽なので、来年も当選すれば出たいと思います。あと。30日に開催するのもとても良かったです。大晦日にゆっくりできました。
記事にもある通り、女性のジャンルが赤ブー系に流れていたり、来年は会場都合でコミケと赤ブーの大きめのイベントが同時開催するなど、今までに無いことが起きていますけども、移ろっていくのでしょうねぇと。私は、今のコミケも好きです。
Webtoon・ショート動画関連
海外ではありますけども、これは面白いですねー。さて実際どうでしょう。
会員番号8番、国生さゆりさんがなろうで書いているというのが一時期話題になりましたが、なんとコミカライズです!すごい!わが青春です!
やっぱりバレンタインデーにプロモーションするんでしょうか。必殺技に「星屑のスナイパー」とか出てきたら、もう課金せざるを得ません。
ショート動画というよりは、オリジナルモーションコミックということですが、Rentaの新しい取組です。
Webtoonと並行してショート動画にも取り組むMintoの記事です。
このショート動画とショート(インディ)アニメも、似て非なるものなのかなと思いますが、事例がまとまっていて勉強になります。
作品としての動きだけでは無く、宣伝案件も多いですし、より複雑になっていきますね。
海外News
タイトル訳:ネイバーの第2位株主である世界的な資産運用会社ブラックロックがネイバーの株式を追加購入したため、ブラックロックの保有株は6.05%に上昇した。
上場後の始まり値からの株価下落で色々と言われてきたWEBTOON Entertainmentですが、機関投資家からの評価も落ち着いたようですね。他にも銘柄として期待という記事をちらほら見ました。
年金系の手堅い機関投資家が、事業的な参画を前提にせずに保有率を上げて筆頭株主になったということなので、底を打ってここから伸びると判断されたのだと思います。
韓国でも、小説サイトは引き続き強いようです。
https://www.capsulecomputers.com.au/2025/01/rf-online-next-ip-based-webtoon-launches-in-the-u-s/
タイトル訳:RF ONLINE NEXT IPベースのウェブトゥーンが米国で発売
韓国のゲーム大手ネットマーブルが、人気小説原作のWebtoonをRED ICEからリリースとのこと。
タイトル訳:ウェブトゥーンIP、今はショートドラマで……OTTも雪毒
韓国もショートドラマは引き続き熱そうです。
タイトル訳:漫画出版社集英社、Xに『ワンピース』海賊の暴露を依頼
引き続き、集英社に寄る直接的な海賊版対策施策ですね。今回はxです。少しずつ詰めている感があります。
AI・画像生成関連
タイトル訳:漫画業界はこれまでにも死にかけたことがある。一部のアーティストはAIが業界を滅ぼすのではないかと懸念している。
米国のコミック関係者のAI感です。法人は積極的、個人としては「小さな仕事が奪われ、その小さな仕事のすべてが若いアーティストの補助輪、つまりスキル構築を奪ってしまう」というコメントがあります。
劇作の翻訳ということもあってか、趣と重みのある文章で、お正月に話題になりました。言語が英語に寄っていくのは、表現が汎用化していくと読み取ったのですが、個人的に自分には無い視点でした。
今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等
年々大きくなってきますね。先日ラジオに呼んでいただいた伊織もえさんは、本当にマンガとチャーシューエッグが好きです。
記事のみ紹介
江戸紫なですね。
告知関連
データ提供開始は1/14から、報告会は、1/16となります。
筆者単著「漫画ビジネス」クロスメディアパブリッシングより発売中です!
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