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【マンガ業界Newsまとめ】MANGA議連総会で原画保存や人材育成訴え、新たに「Komiflo」でVisa決済停止 など|2/2-185

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTを主催するMANGA総研代表の筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。

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MANGA議連総会にちばてつや、庵野秀明が出席 “先輩”の原画保存や人材育成訴える

1/30に衆議院演第1議員会館にて、MANGA議連の総会が行われました。
MANGA議連は「マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟」で、100人超の議員が参加しています。

海賊版サイト対策や、大英博物館での展示、マンガやアニメの原画や中間成果物などをアーカイブする収蔵施設、メディア芸術ナショナルセンター(仮称)の設立構想を提起しています。

参加者の顔ぶれには、多くの議員のほか、アニメ特撮アーカイブ機構から庵野秀明さん、日本漫画家協会からは、ちばてつや先生、里中満智子先生、森川ジョージ先生。出版社からも、長く海賊版対策に尽力している集英社の伊藤敦さん、ABJの代表も務める、講談社の森田浩章専務。知財実務に精通する弁護士の桶田大介さんなど、界隈の重鎮や中心選手が参加されています。

かつて「国立漫画喫茶」とも揶揄された、現在のメディア芸術ナショナルセンター構想ですが、原画保存や人材育成への貢献に機能を収斂し、設立に向かっています。

また、クリエイター向け税制優遇、海賊版対策、示唆されている表現規制と決済の問題など、議論する内容は多岐に渡り、今回の総会はそうした実務的課題に向けて改めてキックオフを行うような位置付だったと言えるのではないでしょうか。

文化庁の文部科学大臣政務官を務める赤松健さんの存在が大きいと思います。ちょっとマンガやアニメに興味のある議員が人気取りに著名クリエイターのいる場にむらがっているというフェーズは過ぎたと感じました。

各種予算付けや立法、実益のある事業支援に向けての実務フェーズが開始している印象です。赤松氏に並ぶ形で、アニメやゲームの業界からも与党議員の中に人が送り込めると、エンタメ業界全体に対してより良いなとも思いました。

具体的にどんな議論をしているかという点は、以下の桶田弁護士のポストから、各種資料へアクセスしてください。

個人的には、上記の総括資料の中にある計算資料の、以下のページが大きかったと思います。クリエイティブ産業はもう、国の業界別輸出額の中でも上位グループに位置するということで。

経済産業省 商務・サービスグループ 文化創造産業課「エンタメ・コンテンツ政策について」より

私が代表のMANGA総研としても、グローバルのマンガ・アニメIP市場データ調査や、マンガ・アニメのグローバルカンファレンスであるIMARTとして、貢献していきたいと考えています。


成人向け漫画の読み放題サービス「Komiflo」VISAカードの利用を停止

ワニマガジン、コアマガジン、文苑堂などの、所謂成人向け商業漫画誌のサブスクサービスである「Komiflo」において、Visaの決済が停止。いつものパターンで、通達があったようですね。(明言はなし)ただ、Komifloとしては代替決済手段の拡充をはかっていたようで、様々な別手段を提示できているようです。界隈も備えようが出て来たようです。

また、2つ目の記事では近い所で、成人向けゲームを海外で販売した場合の海外から国内金融機関への送金でストップがかかっている事案が発生とのこと。カード決済では無く銀行の海外送金にも表現規制の影響が出ているということのようです。

前述のMANGA議連の動きが急がれますね。
ちなみにこの「MANGA」には「Manga Anime Novel Game…」といった、エンタメ全般をターゲットにしているという意味も込められております。


国内News

先週界隈がざわっとしましたが、マンガ観点に絞り込むと、BOOK☆WALKERを運営している株式会社ブックウォーカーが、同じKADOKAWAグループのドワンゴと吸収合併ということですね。

サービスそのものは、特に変わらないようで、もう一つのConnected社の業容を見ても、エンジニアが多くいる企業がグループ内で一緒になったというように見えます。対外ビジネス的な影響は軽微と思われます。

昨年、ハッキングで色々あった際には、実はシステム的に独立していたBOOK☆WALKERにはほぼ影響が無く、ニコニコ周りは大変だったというようなことが発表から読み取れましたが、その辺りもなんらか影響あったかもしれませんね。


朝日新聞出版は、総合コミックサイト「アサコミ」を1月30日にリリース。
システムはコミチ+ですね。
個人的には『吸血鬼ハンターD 薔薇姫』が嬉しいですね。菊地秀行原作はもっと読まれて欲しいです。「銀光一閃!!」


Jパブリッシング社、新レーベル『Comic Petale』を創刊、各電子書店で配信とのこと。Jパブリッシング社は、トゥーバージンズ系列のようですね。


BL情報サイト「ちるちる」を運営するサンディアス社によるBLアワード、ノミネート作が発表されました。それに呼応して、いくつかの企業からノミネート作の発表が続いています。

昨年、アワード発表を目黒雅叙園で開催し、業界の関係者を一堂に集める中、大変内容の濃いイベントを開催した同社ですが、今年も盛り上がりそうですね。


知財弁護士として名高い福井健策さんのコラムですが、2時間分の講演のサマリーとのこと。なかなか無いくらい充実した内容です。サイバー犯罪の特質を、

第一に、プラットフォームやSNSなど技術・エコシステムの変化の速さ
第二に、日常的な越境性、警察捜査権の限界で
第三に、データ通信の可視性の低さ・匿名性、証拠の改変・消去容易性
第四に、暗数の多さ、実態把握の困難性

https://www.kottolaw.com/column/250129.html  より

とまとめられているのですが、本当にそうだなと。

これら海賊版の実害が、実際コミックシーモア上でどのように金額的インパクトを持ち、対策されているか?本文中にもある「ドメイン・ホッピング」や、更に進化した手法など、以下の動画にてです。


日本を良く知る外国人の方の記事で、割とオーソドックスなアニメ外交、展開の良さを示した記事なのですが「「クールジャパン」ではなく、「先駆ジャパン」」というのはちょっと良いですね。とりあえず、「クールジャパン」を自称するのは本当にみっともないので辞めたいですね。自分で言うことじゃない。

それと、コスプレやポーズなどもそうなんですけど、軍事的侵攻や植民地的支配の行く末は、支配側の国家の言語をその被支配地域一帯に流通させる「ことばの侵略」があると歴史が物語っています。

アニメやマンガを侵略のために作るのかというと、そんなことは無いと思うんですが、日本語を学んでくれる人を世界の中で増やすことで、日本の味方というか、友達みたいな感覚を持ってくれる人が増えることは良いですよね、平和的で。


Webtoon・ショート動画関連

めちゃコミ上で、韓国産Webtoon「DCCENT」のランキングが上位に来たというニュースです。Webtoonと言えば、ピッコマ・LINEマンガという牙城が実際の売上的にはどうなっているのか、可視化していきたいところです。


なんと『ブラックエンジェルス』のWebtoonです。浜田ブリトニーさんの会社から出るのですね。やっぱり自転車のスポーク使うんでしょうか。


『studio73』は新ジャンル「青年サスペンス」第1弾『猛毒カノジョ~もしも相性最高の女友達と付き合ったら…』とのこと。


日本在住のアラブ人プルヴィアスさんの作品を、COMITIAでの持ち込みをきっかけに、日本語化してシャインパートナーズが国内電子書店で提供開始とのこと。作品は↓のようです。


WebtoonのIP展開としてのミュージカルの話題です。
舞台効果とWebtoonの見せる作品の作り方の相性が良いということでしょうか。個人的に、ダンスの作品である『ナビレラ』のミュージカルは、美しいだろうなと思いました。


サイコミから『すきだから、だよ』がショートドラマ化。


海外News

*: 海外記事を紹介します。自動翻訳などご利用ください。

タイトル訳:ウェブトゥーン『ソロレベリング』が実写ドラマ化へ

Netflix版ワンピみたいなものを想像しましたが、現状はカカオ主体の動きのようです。韓国製実写映像の発信になりそうですね。それもありですね。


2032年までに「マンガ市場」が9兆円を超えるとの指標です。
例によって海外の指標なので、この「マンガ市場」がなにを指しているのか?という問題があるのですが、少し調べてみようかなと思います。


中国外文局のプレスリリースなのですが、「一帯一路」について描いているマンガとのこと。日本語では読めないようです。


2023年のドイツの書籍業界の総売上高は97億1000万ユーロ(1.5兆円ほど)で前年比2.8%増加しました。このうち、電子書籍の割合は6.1%とのこと。マンガの売上はわからないそうです。なるほど。


libroさんの北米エンタメニュースまとめです。

タイトル訳:異世界アニメの現状

昨年のAnimeExpoにて、正に「Isekai」テーマの大きなセッションがあり、来場しているファンが「イッセカーイ」と大盛り上がりをしているのを体験しました。シンプルに作品数が多くて、しっかり作られた作品が増えたゆえの人気とも考えられるかなと。

ただ、その場では『杖と剣のウィストリア』(異世界ものではない)なども紹介されており、基本的に同系統のファンタジーであれば、Isekaiと認識されてるんだなとも感じました。まぁ良いかぁと、当時は思いました。


AI・画像生成関連

2Dデータの3D化は実用化されて久しいですが、これは、3Dデータをレンダリングして絵を作ってる作家さんなら、色々使い方が考えられそうですね。


Webtoon専用の制作補助ツール(特定絵柄の加工を可能とする)やMidjourneyの漫画を作れるプロンプト「Niji」の紹介などです。

韓国のWebtoon制作ツールは、これだけだとちょっと良くわからないですが、2つ目のnijiのほうは、所謂「目線」が合ってきてるなぁと感じました。これは、新人漫画家も苦手にするプロとの違いだと思うのですが、AIはそれを学習していくのですね。


米国の著作権局が「作品にAIが生成した要素が含まれていても、人間の著者が生み出したオリジナルの表現は著作権で保護される」という指針を出しました。

これはちょうど、一つ上の記事で紹介した2つの記事の前者「著者の絵柄を取り込んで、作品作りの制作ツールとする」はOKで、2つ目の「無作為の画像からマンガを作る」はNGということですね。

やはり、だんだん議論が収斂している感じがします。


今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等


記事のみ紹介


告知関連

<開催日時>2025年2月6日(木) 14:00~15:00
<セミナー内容>以前はゆったりしたペースが一気に変化が激しくなったBL業界。トレンドを一刻も早くつかむことがより重要になってきました。昨年の商業BL出版、ドラマ、海外事業をまとめてお話します。60分で現在のトレンドがまるわかりの有料級ウェビナーです!


一般社団法人MANGA総合研究所では、マンガ・アニメIP市場調査を行いました。

調査の概要を、以下動画にて研究員の中山淳雄さんに紹介いただいています。

筆者単著「漫画ビジネス」クロスメディアパブリッシングより発売中です!

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菊池健
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