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【マンガ業界Newsまとめ】アムタスがエブリスタ事業買収&メディアドゥと業務提携、IMART2025国際商談会年2回まず5月に春開催 など|2/16-187

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTの主催やIP市場調査を行うMANGA総研運営する筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。

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株式会社エブリスタの完全子会社化および株式会社メディアドゥとの業務提携について

アムタスが小説投稿サイト「エブリスタ」を、メディアドゥから譲渡(事業売却)を受け、同時に両社が電子書籍取次にまつわる事業提携を行うとのこと。

まずアムタスですが、昨年10月にブラックストーンが親会社のインフォコムの全株を取得。代表も交代して新たな動きがこれからというところで、まず最初の一手がこの事業買収と業務提携となりました。あれから4か月そこそこですので早い動きといえますし、なかなかのド派手な初手です。

2010年に事業を開始したエブリスタはもともとDeNAの一事業として開始した小説投稿サイトで、事業開始早々『王様ゲーム』などパニックホラー原作を開拓。これを連携企業とコミカライズ、映像化するなど、投稿小説のIP展開をしてきました。

同社内で後発だったマンガボックスとも連携し、最近では数ある小説投稿サイトの中でも「女性向け作品に強いサイト」ということで、各社やクリエイターにも認知されてきました。

メディアドゥは、事業多角化の中でエブリスタを買収しましたが、エブリスタ自身は引き続きヒットIPを作り続けたものの、買収後のグループシナジーとなると顕在化には至りませんでした。

めちゃコミは女性向けに強いプラットフォームであり、事実エブリスタ原作から『いつわりの愛~契約婚の旦那さまは甘すぎる~』等のヒット漫画がめちゃコミ内で生まれています。

また、コマ割りして縦読みするブックサーフィン(BSF)形式の作品提供を、ガラケー時代以来唯一の企業として続けていましたが、近年読者や作品の幅を増やすために、通常の版型であるEPUB形式(いわゆる横読み)の作品提供にも力を入れる計画です。

BSFで作品を仕入れ、実績を上げ続けて来たアムタスですが、EPUBに移行するとなると、それまでの取引とは別の契約となり、料率はじめビジネスを新たに構築しなおす必要がありました。

メディアドゥは近年にLINEマンガとの取引を失いましたが、昨年発表されたピッコマとの連携や、元々太客であったシーモアなど、それ以外の取引の強化を行い、業績の復調が進んでいました。その具体策が、今回の提携でも謡われている入稿やキャンペーンに関わるシステムなどの事業協力です。

IP展開を強化したいアムタスとしては、小説という形で多数の原作を手に入れ、各プラットフォームとの取引を強化したいメディアドゥとしては、BSFでは入れなかっためちゃコミのEPUB展開を担うということになりそうで、それはめちゃコミをも利する形です。

双方の事業を推進する買収・業務提携と言えるかと思いました。
(一部、経緯/状況からの筆者推測が入っています。ご了承ください)


IMART2025 春 国際商談会 5/28-30に開催 年2回開催へ

*: 筆者が代表をするMANGA総研の事業です[PR]

昨年のIMART2024で初開催した、内外のマンガ版元・プラットフォームが集まる「国際商談会」を今年は春秋の2回開催、2025年はまず春に開催です。

昨年、国内40社、海外は20社(9の国と地域)から、マンガ版元が集まり第1回の国際商談会の試行としては良い盛り上がりを見せました。近年、海外イベントへの日本のマンガ出版社の参加数が上がっており、逆にこうした国内での定期的な場もニーズが高まっていました。

昨年の開催終了後のアンケートで、開催形式や時期への意見を集めましたが、1年の中では春が一番秋が2番に良いとのことで、まずはこの春の5月開催としました。

昨年秋は協賛企業様だけの参加でしたが、この春は参加者1人ずつのチケット購入参加。前夜にキックオフパーティー、3日間の開催期間中に1日ごとに商談テーブルを購入可能です。これから3か月の開催期間に向けて、商談機会のための連絡などが入っていくことになります。

というところで、公式サイト、チケットサイトともにOpenしています。

[公式サイト]

[チケットサイト:Peatix]

今後何段階かのご案内をさせていただきます。


各社決算情報

変わらず好調ですね。コミックは月間刊行点数が50に届きそう

コミック事業が前年比大幅増で黒字化しています


国内News

総合商社の業界進出ですね。住友商事が集英社のアニメ系関連会社REMOWに出資とのこと。出資額は非公表だが、持分法適用会社になったとのこと。

総合商社系は、これから動きが色々ありそうですね。


http://www.rakuten-booksnetwork.co.jp/survice/

最近のニュースということでも無いのですが、今週仕入れた話です。

大手の紙書店取次で旧大阪屋栗田を前身とするRakutenブックネットワークが、上記のサイトで出版社様向けのサービスということで、サイト上で以下を勧めています。

・取次としての新規口座開設
・EC販路限定(amazon、楽天、ヨドバシなど)の流通請負
・なにより、このメニューがオープンにサイトに載っている!!

私は十数年前、自分たちで作った本が運良く新聞に取り上げてもらったことから、当時の紙の2次取次さんからお声がけいただき、いわゆる取次の口座開設をしてもらいました。

当初、同人誌のように手売りしようと考えていたのですが、偶然の導きで作った本を書店に流通してもらるようになったわけです。とりあえず、ISBNを自分で取りなさいと言われました。

後で知りますが、小さな出版社にとって取次に口座を作ってもらえることは、とにかく僥倖としかいえなかった時代でした。

その点このサイトによると、EC限定とはいえ、今は申し込めば取次に口座をつくってもらえるんだなと。ボンデジの小規模CPでも、自分たちで刷った本を、一先ずECに流通することはここで出来るかなと思いました。たしかにこれなら倉庫もひとつですし、物理流通網も比較的軽く、双方現実的ですね。他にも色々背景があるようですが。

今はこうした、小規模少額取引の書店開業支援も増えました。


電子コミックがここまで隆盛となったことに、Web広告は大きく寄与したと思います。そしてポイントは感情を動かすことなんでしょうね。大事な観点です。


これは、ターゲットと内容と告知が噛み合ったら、凄い集客になりそうですね。どれだけ盛り上がるか。


Z世代の3割が興味なしというか、5割がマンガ好きなんかと驚きました。


白泉社新社長の高木氏のインタビューです。
少女漫画はこれからあり方から変わっていきそうですね。


書店で、本を絡めず純粋のゲームのキャンペーン


なんかモブ雑魚ムーブが加速化してるのですが、ヒロユキ氏みたいに民事海外逃亡みたいな流れでしょうか。償ってほしいものですが。


*:また宣伝です。すいません。

2/18(火)16時~、JEPAのウェビナーで話します。アーカイブもあるはずです。今回は、
前半:漫画ビジネスという本を書いた経緯というか、背景
後半:IP市場調査について、現状、課題、今後の展望、お願い事

などを話します。
4日前時点で、250人お申し込みとか。ありがとうございます。

今週も、ダイヤモンドさんに「漫画ビジネス」を紹介していただきました。


Webtoon・ショート動画関連

新人発掘から連載、ヒットに至るまでの、LINEマンガ生え抜き作品がついにアニメ化ですね。大きくキャンペーンが張られているようです。そりゃそうでしょう。


これはまた強烈ですね。客層ともあいまって、見られそうです。


韓国BLのショートドラマが、日本はじめ各国でうけていると。
最新型ヨン様みたいな感じでしょうか。


海外News

*: 外国語記事を紹介します。自動翻訳など活用ください。

https://www.accessnewswire.com/newsroom/en/sports-leisure-and-entertainment/toonsutra-indias-1-webtoon-app-closes-32-million-seed-financing-led-984273

タイトル訳:ソニーが支援するToonsutraがHoltzbrinck Publishing Group主導で320万ドルのシード資金を調達

インドのWebtoonプラットフォームが320万ドル資金調達とのこと。ソニーも投資してたんですね。記事は、文字リンクのほうが充実しています。インド国産Webtoonなんかも成長しているみたいですね。まだ見ぬ天才が出て来るかも。


講談社の K MANGA、英語のようですけどもかなりの数の国へ展開しているようです。アプリのレギュレーションやローカライズも大変でしょうけども、各国の現地配信許諾も大変そうですね。


タイトル訳:IDWとダークホースコミックスがレイオフに直面

好調と言われている北米の日本コミック市場で『ベルセルク』などでヒットを出しているはずの、ブラックホース社ですがリストラがあったようです。業績というより、経済要因とありますね。広げすぎちゃいましたかね。


タイトル訳:ダイヤモンド・コミック・ディストリビューターのオークションが3月24日にニューヨークで開催

倉庫のマンガが競売にかけられちゃうんですね。


libroさんの北米エンタメニュースまとめです。

スウェーデンの妖怪展、興味深いですね。ビジネスまで昇華するにはまず作品かな。ハリウッド版ガンダム、ジークアクス見た後だと、肉じゃがとピザみたいな、こう全然違う感じになりそうで、さてどうなりますか。


タイトル訳:WEBTOON、ウェブ小説プラットフォームMantaが新しいサブスクリプション層を発表

これまで倍額の月額 9.99 ドルで、これまでのより多い作品を読める新サービス。課金額が日韓以外で上がらないのが課題ですので、やっぱりサブスクに舵をより切るというかんじですかね。


タイトル訳:「LINEマンガ日本1位、秘訣は自己創作エコシステム」

タイトル訳:"単純に既存の漫画をウェブトゥーン化するのではなく、漫画の未来を作っていくことが私たちのビジョンです"。

LINEマンガの説明会で、いくつか記事が出てるんですが、日系メディアからは出てなくて、韓国のメディアから3つほど出てました。呼ばれたら書きますよー。ないしはかける人寄こします。

さておき、作家を育てることや、漫画を超えて行こうという気概は良いですねよね。そこが大事ですね。


タイトル訳:WEBTOON、賞金20万ドルのビデオコンテストを開始

作品をもとにした、TikTokやYouTubeなどのショート動画を作れるコンテストとのこと。こういう方向性で動画を作りたいクリエイターも増えているのでしょうね。


タイトル訳:「ウェブトゥーンはテクノロジー企業だ」とCOO/CFOのデイビッド・リー氏は語る

株主向けにはこうした表現がよいのでしょうけども、クリエイター向けに同じ姿勢をとると、人は離れて行きますし、ヒットが遠のくわけで難しいですね。わかっていてもこうしないといけないのが大変だなとも思いますが。


AI・画像生成関連

作家許諾のうえLoRAの実験というnote。まぁすごいですね。

キャラの趣はなんとなく出来てますけど、逆にタッチはうめ・妹尾さんの作画の方が現代風みたいなところから、最終的にタッチまで寄せる過程が説明されています。単行本1シリーズ分で、ここまで寄せられるわけですね。

それはそれとして、先日、うめ・小沢さんと同じイベントで、順番に登壇するという機会があった(お互いに当日までそうなることも知らずw)のですが、小沢さんのツールへの理解が更に進化していました。結果、なんか凄いことが色々出来るようになってはったんですが、ホント数か月単位で色々進化してて、これは大変ですねぇ。

連載に技術を使用するとかだと、話を進めてる最中にどんどん世の中の技術は進んじゃうわけですからね。そのタイムマシン的なギャップを埋めるツールも必要ですねぇ。


今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等

Quoカードって、デジタル関連のプレゼントをするには、とても使いやすい構造をしているんですよね。私も先日プレゼントに使ったのですが便利でした。アマゾンギフトポイントとどっちを使うか、担当者としては悩むんですよね。


記事のみ紹介


告知関連

MANGA総研は、マンガ・アニメIP市場調査を行いました。

調査の概要を、以下動画にて研究員の中山淳雄さんに紹介いただいています。

筆者単著「漫画ビジネス」クロスメディアパブリッシングより発売中です!

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菊池健
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