【マンガ業界Newsまとめ】「漫画村」控訴棄却 約17億円賠償で判決確定、各社決算、KADOKAWAサイバー攻撃復旧状況 など|8/4-163
マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTを主催するMANGA総研代表の筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。
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「漫画村」元運営に約17億円の損害賠償金確定 KADOKAWA、集英社、小学館による民事訴訟で
今年4/18に、東京地裁から約17億円の損害賠償金支払いを命じる判決が出た、いわゆる「漫画村」裁判ですが、7/8付で控訴棄却が出ていたようで、判決が確定したとのこと。
海賊版サイト運営への賠償金支払い判例が出来たところから、今度は判決の確定ですね。これで、日本語の海賊版サイトについては、一区切りかなと思います。今後の指標となりましょう。
当の本人は、「賠償金は支払わない」などと嘯く記事も出ています(被告の顔写真がサムネになってて、見たくないのでリンク埋め込みのみ)が、このあたりは司法にゆだねたいところですね。きっちり責任を取っていただければと思います。
各社決算
各社の通期決算、1Q決算などが出てます。
エンタメの好景気でどこも概ね好調ですね。そのためか、将来への投資的な動きもみられます。
KADOKAWA続報
<本営発表>
サイバー攻撃以降の業務復旧状況についてのリリースです。
大きく、経理・出版製造・物流まわりに影響がでているところを最優先で復旧、6月には1/3になっていた出荷部数をこの8月中旬でほぼ平常通りに復旧予定とのこと。
その他事業として、Webサービス事業、この場合はニコニコ関係を指しますが(BOOKWALKER系は今回損害無し)8/5複数の主要サービスが復旧、9月以降は全面的なサービス復旧になるとのこと。
なお、ドワンゴからニコニコ動画系の再開のリリースが出ています。
再開に関する詳細とともに、サービス停止に伴う補償対応が報告されています。いくつかのサービスが終了し、新サービスに切り替わるようですね。マンガ関係だと「ニコニコ静画」はこの8/5で復旧するようです。
その他、MD事業はほぼ8月で復旧、業績影響は調査中であることなど発表されています。
<各種記事>
今回の発表を受けての記事も出ていますが、エンタメ業界の枠組みを超えて、いわゆるサイバー攻撃として国内有数の規模の事案として分析されている記事もちらほら出ています。
エンタメ業界や出版関連業界を見回したときに、KADOKAWAのエンジニア組織はベテランの人員も多く優秀な印象を個人的に持っています。むしろ、同業他社に比べてより大きなシステムを内製で支えており、他社と比べて何かが劣っていて攻撃を受けたということではない印象です。
今回はランサムウェアによる攻撃ということで、より人為的要因が出やすい発端でした。そのあたり踏まえると、単純に何か大きなミスがどうこういうよりは、他のどんな会社であっても相応にはらむリスクへの対処だったことが、なんとなくあるのかなと思います。
国内News
海外の漫画家志望者がジャンプに直接投稿できる「MANGA Plus Creators by SHUEISHA」から、実際に新連載が開始するとのこと。翻訳者もついて、かなりクオリティの高い漫画でした。先日、米国のVizMEDIAが、元ジャンプ編集長の佐々木尚志さんを中心に、米国で漫画連載を開始する記事が出ましたが、ますますジャンプに世界中から、才能が集まりますね。
株式会社ユーツーテックが、comilioというマンガプラットフォームを開始しているのですが、投稿した漫画の自動翻訳機能がつくそうです。現在はクローズドアルファ環境が動いていて、8月下旬に正式リリースとのこと。
記事中ほどに、翻訳事例があるのですが、なるほどなという感じでした。描き文字も上書き翻訳がされてたり、されてなかったりですね。投稿規約の翻訳著作権をどうするかなど、色々知りたいところはありますが、まずは作品集めからですね。そこがね、まず大変ですからね。
とらのあなにて、委託作品の販売停止を決済会社から指摘、その際に児童性的虐待コンテンツ(CSAM)という言葉が使われ物議をかもしています。端的に、言葉の定義が不正確なまま、決済会社の意志で作品販売が落とされるという状況が続きますね。これは、ちょっと1社の対応でどうこうという領域を超えているようにも思います。
「サンデーうぇぶり」DAU87万(DAU=毎日サイト&アプリを訪れる人)はすごいですね。週刊少年サンデーのアプリですから、WAUも知りたいところですが、低迷を指摘される週刊少年サンデーの本誌部数ですが、DXはなっているように見えます。
7/29の定例記者会見で、日本テレビの石沢社長が、「適正なドラマ制作プロセスを構築し、実践していきたい」と話し芦原妃名子さんに改めて謝罪したとのこと。
国内有数のベンチャーキャピタル「ジャフコ」によるコンテンツ産業のレポートです。
マンガ業界に引き付けると、上場しているビーグリー、Amazia、アカツキ、Link-Uなどが事例として紹介されています。マンガを「静止画市場」と呼び、IP/メディアミックスなどの項でも説明しているのですが、どうしても業界の中の人間からすると違和感のあるまとめ方になってしまうところです。とはいえ、VCから見た時に、こう見えるというのは、ひとつの知見かなと思います。
これまで良い記事を沢山ありがとうございました。 私も運営メディアを閉じたことがあり、アーカイブのことなどご心痛と思います。ともかくもお疲れ様でした。
今週のWebtoon新規参入・新たな動き
and factoryがWebtoon制作スタジオ事業立上です。
同社は深い所まで取引的に付き合いのある大手出版なども多いので、そうした意味では制作スタジオとしては色々チャンスがありそうですね。
docomoのWebtoonへの取組ですね。weavinというオリジナル漫画のレーベルは、横読みマンガを含めつつ70作品に及ぶとか、そこまで行ってたんですね。これまでのドコモの動きを見ると、レーベルやPFというよりは、潤沢な資金をもって作品や仕組みへ投資する動きが見て取れますよね。そうした意味では、業界にとって重要なプレイヤーだと思います。
宮原さん2001年にドコモに転籍とありますが、その頃私は、某外資コンサルでドコモの法人営業部隊のサービスを考える仕事をしてまして、某巨大アミューズメントランドの中でimode使ってどうお客さんが楽しむか?みたいなリサーチをしてました。今は昔です。
Webtoon技法書、そろそろ数冊溜まってきましたね。全部並べて検証しても良い時期に来た感じでしょうか。
長きに渡ってる本格連載ですが、そろそろWebtoonの原型が出てきましたね。
海外News
*: 海外ニュースを紹介します。自動翻訳などご活用ください
タイトル訳:ソロ レベリングの続編ウェブトゥーンが24時間で200万回再生され1位に
俺レベ続編、好調のようですね。ゲーム「ラグナロク」との相乗効果にも言及されています。
随分、まとめて一気に契約するんだぁと思いました。ビジネスの単位が韓国では色々変わってるような気がします。
タイトル訳:ネイバーは2日、スタートアップ振興院と共に青少年クリップとウェブトゥーンクリエイターの育成を支援する「2024ネイバー青少年クリエイタースクール」を運営すると発表した。
NAVERの国を巻き込んだ取組ですね。長期戦略を意識していることがわかります。
タイトル訳:ゴールドマンはウェブトゥーン・エンターテインメント株を主導的地位を理由に強気
ゴールドマンサックスのWEBTOON Eに対する株価的評価が高いということですが、もともと上場の時に同社が重要な役割を担っていることもあり、こうなっているようです。ただ、記事では後半、割とシビアに財務的には分析されてますね。
先日のコミコンサンディエゴ2024では、『ロア オリンパス』が 3 年連続でアイズナー賞を受賞したようです。
タイトル訳:ファンとスターがコミコン2024に集結
日本と違う方向性のガチなコスプレと、家族連れの対比が面白いです。
libroさんの北米エンタメニュースまとめです。
タイトル訳:長期戦を戦う - 北米におけるスラムダンクの物語
スラダンが北米でどう評価されるかというのは興味深いところですが、それにしても初の米国進出は、バキとともにコアミックスの米国進出時に出てたんですね。北条・原作品と一緒に。知りませなんだ。長いですが面白い読み物でした。
途中、もう今やエンタメには関わってないジョナサンや、今もバリバリやってるエドの名前が出るあたり、アメリカっぽくて面白いです。
書肆喫茶mori~海外コミックスのブックカフェさんのnoteなのですが、海外マンガについて知らないことが沢山紹介されてました。イタリアの漫画家さんのYoutube配信や、バンドデシネの勉強会など、興味深いです。
AI・画像生成関連
文化庁の資料は、こちら。
今年4月発表の文化庁のAIに対する解釈は、「創作的寄与」つまり、学習データと制作データが似てるかどうかを基準に考え始めますよー。ということを「享受的かどうか?」という表現で区別けていました。
それを受けて、今回のガイドラインが出ているのですが、基本的に学習データについては制限しない方向性のようですね。このあたり、このまま行くと欧州の学習データも無許諾は許すまじという見解とはちょっと変わりそうです。
これは、誰が研究会に関わるかも重要そうだなと。
構成員はこのあたりとのこと。
かなり実務から遠そうな。そういうものでしょうか。
タイトル訳:AI企業は漫画家と収益を分配すべき:日本の国会議員
これちょっと、赤松議員の言いたいことと、記事タイトルが少しずれてるような気も。
小学館が、まずはラノベアプリからAI翻訳使用ですね。翻訳エンジンはマントラのようです。
なんとなく、低評価ではあるけども、実際には売れてる。みたいな現象があるような気がしますね。今は目新しいですしね。編集長の西村さんは、マンガボックスの立上をした方で『ホリデイラブ』の編集さんでもあります。
これは、ストーリー作りにどう使えるか、もう少し知りたいところですね。
学習予防系。
この画像はなかなかですね。
今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等
BOOKWALKERの雑誌読み放題サービス、キャンペーンに「シリウス」追加など
記事のみ紹介
告知関連
お知らせしていた、IMART学生ビジコンのプレイベントですが、金曜に配信しまして、現在アーカイブ配信中です。
ビジコンそのもののご案内はこちら
また、新たな審査員として、DeNAの田中様にご参画いただきました。
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