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【マンガ業界Newsまとめ】ジャンプ+/マンガワン/マガポケ 10周年で各社大型企画やリニューアル揃い踏み など|9/23-169

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTを主催するMANGA総研代表の筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。

9/20に筆者単著「漫画ビジネス」が発売しました。
いくつか感想もいただいたりして大変ありがたく、自分でもnoteをひとつ書いてみました。よろしければご覧くださいませ。

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出版社アプリ10周年で新企画や大型アップデートなど

マンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」は2024年9月22日で創刊10周年! これを記念した10大企画の実施が決定!「少年ジャンプ+展」の開催や、連載作家が審査員の賞金総額1000万円以上の漫画賞も。

マンガアプリ「少年ジャンプ+」10周年ということで、記念サイトをオープンしています。

「少年ジャンプ+展」の開催や、賞金総額1000万円以上の漫画賞など開催予定で、10大企画を実施とのこと。

現在はジャンプ+編集長(デジタル担当)の籾山さんもポストをしていました。


マンガアプリ「マンガワン」10周年を記念した大型アップデート!!

また、同じく10周年の小学館「マンガワン」も大幅リニューアルということで、小学館及び、アプリの運営をしているLink-Uからプレスリリースが出ています。私もアプリのアップデートをインストールしましたが、一気にかなり変わりましたね。

デザインリニューアルや新規の追加の他に、3万冊以上の単行本販売、ミッション機能などが追加されたようです。


講談社 海外向けマンガサービス「K MANGA」日本国内でも利用可能に 英語で読める

こちらは、講談社の「マガポケ」の英語版「K MANGA」が、国内で利用可能になったというニュースです。英語版のサービスが日本国内でも使えるというのは、翻訳や販売の版権の問題があり珍しいのですが、英語で読めるだけではなくて、英語学習機能も実装するなど、面白いですね。

マガポケは下図にもある通り正確には9年なのですが、先行する2つのアプリが大きく動くの合せて来たのかもですね。講談社さんなかなか強かです。

2013~2016年に開始された国内の主なマンガアプリ:「漫画ビジネス」図版より

2013年から14年は、日本の主要なマンガアプリの開始ラッシュでした。特に2014年近辺は、ジャンプラ、マンガワン、マガポケのスタートが集中していて、所謂出版社系マンガアプリも、これで10年の節目を迎えて行くということで様々な施策が出てきましたね。


国内News

「コミックシーモア」が20周年を迎えるにあたり、オリジナル作品をつくってきた「ソルマーレ編集部」を「シーモアコミックス」へ名称変更とのこと。そういわれてみれば、ここのレーベル名ではなく社名が入ってるのはなんでだったんでしょうね。

同編集部は2011年開始ということですが、2012年に初開催した京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)の中で、西日本で初開催される大型出張編集部ということで、当時のオヤジズム編集部の方にお願いをして出ていただきました。懐かしいです。

京まふは今年で13回目ということで今週末に開催、様々な取組が行われています。


彗星社は、女性向けコミックレーベル「Crape comics(クレープコミックス)」を2024年9月18日に創刊とのこと。スタート時から、作品的にも取組的にもかなり力を入れてるようです。


BookLiveは、株式会社AOI Pro.、株式会社アミューズ、オリガミクス株式会社(現 株式会社ミリアゴンスタジオ)の3社がクリエイターと共に多様なメディアに向けてオリジナルIPを開発・プロデュースする"AAO Project"発の新作マンガ『ふとん男子』を、本日9月20日(金)よりCOMICエトワールから独占先行配信とのこと。

座組が面白いですね。


【CLLENN】ドラマとマンガが同時に進む!『デスゲームで待ってる』10月18日よりDMMブックス・LINEマンガ・ebookjapanで先行配信スタートとのこと。

DMMグループの作品は、開始当初から映像展開と絡めて行くものがいくつか出ていますね。そして連載は、自社以外にもLINEマンガ系との連携ですね。


CLIPSTUDIOのセルシスですが、東証のスタンダード市場からプライム市場に上場市場区分を変更(格上げ)です。

プライム市場の上場基準には、株主数800人以上、流通株式数2万単位以上、流通時価総額100億円以上、最近1年間の利益合計が25億円以上等の基準が設けられています。業績好調というところでしょうか。


東京で始まって全国回って、最後東京に戻ってくるのはありですね。
巡業で肩をさらに温めて、力をつけて凱旋で帰ってくるみたいな。


1400万部以上売れたという学習マンガ「科学漫画サバイバル」のアニメ版のPVの話題です。CV見てもガチですよね。期待されています。


ファッションなどの雑誌が中心の出版社は厳しいという記事です。
一方で、マンガ系は雑誌とアプリやWebの連携が、最終的なビジネスに繋がっている現状から来る好景気になっていますね。


これは良い観点だなと思っていまして、実は今回出した私の本でも、特に2010年代から現在に渡っての近年の漫画家志望者や新人漫画家の生態に触れています。

記事に指摘のある通りで漫画家の生態は近年かなり変わっています。
そして『まんが道』を読むと私が目を引かれるのは当時の原稿料の高さです。

作中のA先生F先生コンビは、富山から4コマ漫画を東京の新聞社に送るのですが、当時の初任給を考えると結構な金額がそれだけで現金書留で送られてきたりするんですよね。それだけ、マンガを描く人は希少であったんだろうなと知れるのです。


『ドラえもん』のてんとう虫コミックス50周年とのことで、当時を知る方がコメントされています。70年代で100万部とか売れていたんですね。

個人的には「59年に同社で創刊された「週刊少年サンデー」の連載作品は当初、単行本化の際に別の社から発売されていた。」というくだりが気になります。


セクシー田中さん問題から1年「漫画の世界観を大事に」とありますね。
とにかく、作家さんとの事前のお話をしっかりするということから、今後はうまく進めていただきたいなと思います。


こちら、今週話題になった文化庁のメディア芸術センターの話題です。庵野秀明さんの様々な発言などSNSで話題になりました。議事録はまた後程公開ですね。


ちょっと毛色がかわる記事ですが。
東洋経済田北社長の「会社四季報のIP展開」は面白い考え方ですね。漫画じゃなきゃIP展開できないなんてことは無いという考え方には同意です。

IPとはキャラとコンテキスト(ストーリー)だと思いますので、「会社」を深掘りし続けてきた「会社四季報」は、その会社をキャラにIP展開できそうですね。値付けは株価ですかね。


中国のゲーム「黒神話:悟空」は、西遊記版エルデンリングなんて言われてますが、古来からある作品は原作強度が高いってことなんだろうなと。男の子はみんな如意棒と筋斗雲が大好きですよね。

先日、インドネシアのゲーム企業を訪問した際に、アジア全域の各国の神様を、史実などに忠実に、かつ、かっこよくキャラクター化した、インドネシア(アジア)版リーグオブレジェンド的ゲームの開発現場を見学したんですが、これもまた売れそうだなと思いました。
神様ですからね、各国ローカルで原作強度が超強そうです。難しさもありそうですが。


Webtoon関連

Studio reBornとWEBTOON制作委員会により発足した新レーベル『TeaSpoon』は、第1弾「ある日、しゃべりかけてきたのは私の心臓でした」を「LINEマンガ」にて9/22より先行配信とのこと。

こちらは同じStudio reBornですが、テラーノベル原作のBLでシーモアに配信とのこと。色々同時展開されますね。


「女神降臨」アニメ日本上陸は「U-NEXT」で先行配信とのこと。


フーモアコミックスタジオのnoteです。
Webtoonにおける表現規制の整理なのですが、各国にローカライズするとなると色々と国別の基準や感覚があり大変ですよね。さらにアプリの基準や決済のことも気にしないといけませんし、そのあたりは難しいですね。


海外News

*: ここからは海外記事を紹介します。自動翻訳など活用下さい。

タイトル訳:マーベルスタジオ創設者の新しいコミックユニバースEKOSがKickstarterでローンチされ、すぐに目標額を超過した

マーベルが新たなバース(≒作品の世界観)を出すということで、立上げにKickStarterを使ったようです。こういう形でクラファンをするとなると、資金集め以上、先行予約でユーザーを捕まえるという意味合いが強そうですが、上手く行っているみたいですね。


タイトル訳:マンガアラビア、韓国のキダリスタジオと提携し、ウェブトゥーンとマンファスタイルのコミックを制作・出版

先に日本の大手出版社などと提携をしたマンガアラビアですが、韓国KIDARIともWebtoonで提携とのこと。


フランスのマンガ事情について、良くまとまっていると思います。


これは、iphoneでもアプリから電子コミックが購入出来たり、アンドロイドで購入した様々なものが共有されるということかなと読み取ったのですがどうなのでしょう。


タイトル訳:テレビドラマ化は漫画に忠実である必要はない

海外作品でもこういう翻案の考え方があるのですね。とはいえ、ちゃんと事前に色々当事者間で話されているようでもあり、それであればというところですね。


タイトル訳:今月、聖水洞で世界初のウェブトゥーンフェスティバルが開幕

伊藤潤二さん、韓国でもイベントとのこと。これはアメリカで人気になった映像の影響で、韓国でもというところでしょうか。


タイトル訳:WEBTOON Entertainment、人気クリエイター、パネル、ファン体験を盛り込んだニューヨークコミコン2024のプログラムを発表

こちらは、10月のニューヨークコミコンに向けてのWEBTOON Entertainmentの発表ですね。


AI・画像生成関連

今週話題になったのはこちら。
クリスタの非公式画像生成AIプラグインを公開した人が出てしまって、セルシス公式が声明を出したということですね。

もともクリスタでAIツールを実装しようとしたところ、ユーザーの強い反対にあって実装が中止された経緯がありました。
今度は、とあるユーザーが非公式プラグインを開発、これをGitHubで公開しているということで、非公式のプラグイン(機能)は認めないとセルシスが発表したという経緯です。


AutoDraft社は、インドでローンチしたWebtoon制作AIツールを日本にローカライズとのこと。どう、でしょうねぇ。


こちらは、AmazonによるAI生成サービスですが、漫画風とのこと。


こちらはAkuma.aiというツールのデモです。なるほど。


こちら、韓国では特定の作家の絵柄で、好きなように似顔絵を生成するサービスをNAVERが開始とのこと。色んな考え方の作家がいるのだなと。


これ、施行されたらすごいですけど、技術的立脚点があるかですね。
中国の原文では以下のような記述がありました。

第1条人工知能の健全な発展を促進するため、「サイバーセキュリティ法」に従い、人工知能によって生成される合成コンテンツ識別を標準化し、国民、法人、その他の組織の正当な権利と利益を保護し、社会公共の利益を保護する。

中国サイバースペース局「人工知能による合成コンテンツの表示措置(意見案)」
に関する意見公募のお知らせより


こちらは米国Googleによる、AI生成データの確認検証ですね。


今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等

この企画良いですね!ちなみにわたしは、今住んでる板橋大山のご当地マンガに『上京生活録イチジョウ』を激推しです。第1話のパン屋さんとか、普段使いしております。


記事のみ紹介

漫画家さんと音楽イベントコラボ


告知関連

IMARTからのお知らせです。


以下は筆者の「漫画ビジネス」関係です。

9/20の「漫画ビジネス」発売時にプレスリリースが出ています。

今週は伊織もえさんのラジオにも出させていただきました。
アーカイブ公開期間は終わってしまいましたが、大変楽しかったです。

筆者単著「漫画ビジネス」クロスメディアパブリッシングより発売中です!

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菊池健
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