【マンガ業界Newsまとめ】韓国Webtoon映像化が広く世界展開・マンガ&アニメ業界横断カンファIMART2023今週末開催 など|11/19-128
マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ業界向けイベントIMARTを運営する筆者が、動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、マンガ業界の方が短時間で1週間分の情報をチェックできることを目指しています。
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韓国Webtoon海外映像化の影響
*: 一つ目は英語記事です。自動翻訳などご利用ください。
韓国カカオの『N番目の恋愛』が台湾でドラマ化します。
1つめの記事では、韓国作品が各国でローカライズされているとありますが、当まとめで過去に捕捉しているだけでも、インドネシア、ベトナム、タイ、中国などの他、日本でも、韓国発のWebtoon原作の映像化がなされています。
日本制作のアニメとなると、近々で1月に開始される『俺だけレベルアップな件』『外科医エリーゼ』など、実写化では『六本木クラス』(原題:『梨泰院クラス』)あたりの印象が強いです。
この2つのアニメ辺りは、日本ローカライズというより配信による世界展開が前提となっているとは思いますが、東南アジア諸国の現地ローカルTVドラマ化などは、梨泰院→六本木の改題例同様、ローカライズ色が強そうです。
日本のマンガ原作の場合、強い作品は連載の早い段階で、多くのアニメ製作会社から複数のオファーを受け、座組など検討の上で制作力や、後の影響力を見て映像化が決まっていきます。基本、原作側は映像化に受け身です。
一方、IPとしての作品売上の中で映像化の占める割合というか期待値が大きいWebtoonは、各国で積極的に映像化に向けての営業をかけ、ローカルな映像化を目指していることが推測されます。こうなると一つ一つのインパクトは小さくなりますが、それぞれのローカルで作品のPRとして映像化が多数なされることになりそうです。手間とコストをどう見るかですが、日本はこれを同様にやることは難しそうです。
とはいえ、今の日本のアニメ制作数や原作候補の作品数を考えると、まだ日本アニメのほうが映像化数が多そうですが、韓国2大大手が資本力と海外ネットワークを前面に出してこうした地道なローカル営業をコツコツ続けると、時間が経てば数でも上回り、各国での作品知名度アップがゆくゆく大きなことになるときが来るかもしれません。来ないかもしれません。
そのどちらかはわかりませんが、現在大きく成長が期待されているグローバルのWebtoon市場は、そうして積みあがっていく絵が描かれているように見て取れます。
11/24~26:マンガ&アニメ業界横断カンファレンス「IMART2023」基調講演に漫画編集者・鳥嶋和彦ら登壇! 全登壇者&セッション詳細が決定
*: 筆者の関係するイベントです。
マンガ・アニメのボーダレス・カンファレンス「国際マンガ・アニメ祭 Reiwa Toshima」第4回が、今週末11/24~26の3日間で開催されます。
基調講演のテーマは「AI新時代」です。
話者には、マンガは鳥嶋和彦氏、アニメには、ポスト新海誠とも言われる若手気鋭のアニメクリエイターloundraw氏擁するFLAT STUDIOを迎え、他に約20ほどのセッションが行われます。出版社・WebtoonSTUDIO・プラットフォーム企業など30社を超える協賛のもと、全て配信にて開催です。
セッションとしては、以下抜粋で、
「漫画賞の今」「2.5次元舞台」「漫画家とAI」「「息の長い推し」を生み出す仕掛け」「Webtoon制作/販売」「原画保存」などなど、IMARTらしい業界特化なトピックが盛りだくさんです。
なお、私個人は以下のセッションを企画・担当しています。
・デジタル起点のコミック海外展開(MANGA PULUS,K MANGA,KADOKAWA海外)
・データサイエンスピッチ(1)「カンテラ・and oneのご紹介」
・データサイエンスピッチ(2)「PubteXのご紹介」
当日配信、及び後日のアーカイブ配信視聴チケットはこちら
100名を超える、マンガ・アニメ業界関係者や登壇者も参加する、基調講演・及び業界交流会のチケットは以下です。こちら数量限定です。
なお、協賛企業や日本漫画家協会・日本アニメーター・演出協会に所属する方は無料で配信の視聴が可能です。以下公式サイトのフッターをご確認し、所属企業・団体が入ってる場合は法人内でご確認ください。
なお、開催前日に前夜祭的なxスペースを行います。
こちらもよろしければどうぞ。
11/27: 小学館・秋田書店が選んだWebマンガ誌の泥臭い運用(JEPAセミナー:無料)
*: 筆者の通常業務に関わる内容です。ご了承ください。
2023年11月27日(月) 16:00〜17:30にて、日本電子出版協会(JEPA)のJEPAセミナーに、株式会社コミチ代表の萬田大作が登壇します。
YoutubeLiveの配信で登録無料になります。
「Webマンガ誌の泥臭い運用」というタイトルですが、Web上でマンガ雑誌を運用するとなると、本当に泥臭い日々の努力の積み重ねが重要ですというお話です。
本当に泥臭い話なので、何がどう泥臭いのか、是非聞いてみてください。きっと泥臭いなーと思われると思います。でもそれこそが、紙の雑誌が失ってしまった機能をWeb上で再現し、新作認知や作品の売上に繋がるのです。
国内News
集英社のマンガ投稿プラットフォーム「マンガノ」にて、10社10編集部合同の漫画賞開催とのこと。ジャンプはもちろん、講談社マガジン、小学館サンデーうぇぶり、秋田書店マンガクロスなど、一度にこれだけの編集部に作品を見てもらえる漫画賞というのは希少ですね。
普段の仕事では漫画賞運営に関わることの多い私としては、これを出版社自身が開催するというのは、もうビジネス的にはお手上げだなという感想です。投稿先の魅力づくりとしてはホントに強い取組だなと思います。
ラインナップ的には少年誌寄りではありますが、商業媒体連載を狙う新人漫画家の立場なら、投稿しない手は無いとは思います。これは中堅・ベテラン漫画家さんでも、習作とか実験作の読切なんかがあれば、投稿してみると良いかもですね。レギュレーションを読むと、ネットで既にバズってる作品でも商業誌にさえ出して無ければ、投稿できますね。そういう戦い方もありかもしれません。
先のニュースは新しい「投稿」の形でしたが、こちらは新しい「持込」の形ですね。
先に第1回を開催して好評だったセルシス・マンナビの「モチコミonline」の第2回が開催です。割と早い2回目の開催ですね。どんな場だったかというのは、以下のxスペースでも、実際に参加した編集者・漫画家さんの声がアーカイブで聞けたりします。(これまた筆者関係のIMARTですがご容赦ください)
Webtoon進出も発表している楽天ですが、「Rakuten Content Central」という取組ではIP開発・プロデュースもするということで、シーモアレーベル作品のアニメ化をプロデュースしたとのこと。
こちらは、中東サウジアラビアがアニメに投資をしているというニュースです。
その起点となるとは、サウジアラビアの「マンガプロダクションズ」社で、ここは日本の大手マンガ出版社も関係しています。「アニメが出たらばマンガもね」ということで、中東事情はこれから熱くなりそうです。
こちらは、インド向けのマンガ配信サービスですね。ヒンドゥー教を最大多数として抱えるインドへの難しいローカライズに特化するというところでしょうか。確か『終末のワルキューレ』は発禁でしたよね。人口も多いですし期待したいところですね。『巨人の星』のクリケット版の経験が糧になればとは思います。
Komifloという商業誌アダルトコミックをサブスクで読める専門サービスがあります。
この中で、成人向けマンガ誌「コミックゼロス」が隔月から月刊化されたとのことです。
成人向けマンガ誌は、「コンビニの成人向け棚全廃」「デジタル同人作品の台頭」「氾濫する海賊版、特にアダルト」など、様々な要素から苦境に立たされています。このKomifloもユニークな経緯からスタートして、もう数年経つサービスですが、ここに来て発行ペースを上げるというのは、上向きになってきたのか、攻勢なのかですね。
インバウンド復調ですね。中野の賑わいをイメージしますが、京都など他の街にも出店を進めているとのこと。
なるほどと。しかしxは相変わらず極端ですね。
漫画家協会理事の鈴木みそさんが、同理事の森川ジョージさんのポストに触れてます。東京都の青少年条例による表現規制についての陳情的なものですね。メンバーの中には、美少女コミック研究家の稀見理都さんの姿もあります。地道な働きかけです。
今週のWebtoon新規参入・新たな動き
創作プラットフォーム「Nola」を運営するindent社が、Webtoon進出ですね。LINEマンガでスタートとのこと。
日本テレビ系のWebtoonの動き、アニメイト系のロケットスタッフ社との連携でピッコマからスタートとのこと。
ギークピクチュアズ社が「ハケンアニメ!」のウェブトゥーン化とのこと。所謂コミカライズですが、この場合「Webtoon化」としか言いようがないので、略称は無しですかね。
先週発表のあったpikaloという3社合同のWebtoonの取組ですが、早速noteが出ています。マンガ編集歴22年というKADOKAWAの瀬川氏のストレートな文章で面白かったです。
フーモア公式で、Webtoon事業責任者の井本氏のnoteです。
前置きが凄い長いんですが、良いことが書いてあると思います。
StudioZOONの村松さんのnoteです。これも含め、制作周りのお話で毎回とても読み応えのあること書かれています。なるほどと。
海外News
(タイトル訳):物語に革命を起こす: 世界のウェブトゥーン市場は 2032 年までに 620 億ドルに急上昇
サムネイルが出ないので、タイトルとリンクのみです。
2032年にWebtoon世界市場は620億$(9.27兆円)の市場規模になりますということが書いてあります。これは2022年の市場規模が毎年36.8%ずつ成長した結果そうなるというもので、まぁ数字のゲームです。日本の電子コミックブームも20%超成長は5年くらいでしたからね。そこまで続くかなーと。
トップのニュースにつながりますが、カカオがタイのコンベンションに出てるとありますが、これ「韓流博覧会」とありますね。ともかく、地道にこうして広げるのが重要だと思うのですが、聞けば最近は、日本のマンガ出版社の国際関係の人も、欧米アジアといろんなところのコンベンションに行っている話を聞きますね。
2つ目タイトル訳:韓国を捕まえた日アニメ… 配信は熱いです。
他方、韓国国内ですと、スラダン以降の日本アニメが強く、韓国内の配信やマンガでは日本作品がかなり強くなっているようです。
タイトル訳:「ウェブトゥーン原作コンテンツ、アニメより映画・ドラマ好き…グッズは失望」
Webtoon原作作品は、アニメや映画で人気にはなっているようですが、グッズはなかなか難しいようです。この辺はキャラ重視の日本漫画と、スナックコンテンツのWebtoonの差のひとつということで良く議論されますね。これからのWebtoonの課題なんだと思います。(そもそもそこを目指すのかというのもありますが)
この記事で目を引くのは、GooglePlay上での世界の電子コミックアプリ売上ランキングですが以下。
ピッコマは2016年のサービス開始以来、4000億円程の累積売上とのこと。韓国目線で見ると、「海外売上」が大きいということですね。NAVER WEBTOONなんかは、ユーザー数なら日本より多そうには思えますけどもね。
タイトル訳:ディズニープラスがカン・フル・ユニバースの制作に向けて交渉中
『Moving』のヒットから、Disney+が、その原作者のカン・プル氏の他の作品の映像化も最初に実行できる権利を契約しようと考えているとのこと。
カン・プル氏と言えば、韓国Webtoon黎明期の代表作『純情物語』『タイミング』など、韓国Webtoon界の代表的作家ですが、出版社単位ではなく個人単位でDisneyと契約をするというのは夢がありますね。(実際の契約はスタジオや法人だと思われますが)
タイトル訳:Crunchyroll、独自のマンガアプリを来月で終了へ
日本からだと見えにくいのですが、2013年と言いますから10年前から電子コミックのサービスをしていたのですが、ここ数年は配信作の絞り込みなどもあり終了とのこと。
10年前、インディーズマンガのお話で当時のCrunchrollの原宿のオフィスで打合せをしたことがあります。あのとき、日本のスタッフは2‐3人くらいでしたかね。今やもうね。
タイトル訳:韓国のウェブトゥーンがコミック業界をどう変えるか
良くあるWebtoonを紹介する記事なのですが、この記事はロシア語のものなんです。米国マーベルに関連するものとして書かれていました。ロシアまでにもですかー。
AI・画像生成関連
11/16にAdobeが行ったクリエイター向けイベントでは、同社の画像生成AIモデルFireflyのモデル第2弾の一般提供開始などが表されました。
「多言語におけるテキストプロンプトからの結果の出力の精度が向上し、文化的なコンテクストをより高い精度で理解した上で画像を生成できるようになった。」とあり、つまり日本語でプロンプトを書くと、日本風の画像が出て来るというところでしょうか。ここは記事だけだとまだよくわかりません。
また、同じイベントでマンガの台詞に特化した書体「貂明朝アンチック」もリリースを発表しました。日本にも寄せてきていますね。
noteのトップ画像でAdobeのAI生成が使えるようになったとのこと。
ちなみにこちらが「マンガ業界Newsまとめ」を、noteのこの機能を通してAdobeの生成AIで画像化したものです。なるほどですねー。
イギリスStabilityAIが「日本風」特化モデルを開発、サムネイルでは日本人風の画像が出来ていますね
今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等
記事のみ紹介
告知関連
インプレス社が『電子書籍ビジネス調査報告書2023』のWebtoonパートの執筆を担当させていただきました。
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主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンかTwitterのフォロー、よろしくお願いします!
現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。
コミチ+は、ヤングアニマルWeb、ヤンチャンWeb、ビッコミの他、来年に向けても大手出版社やWebtoonSTUDIOなどの大型受注を複数控えておりまして、絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当・データアナリスト等)などを募集中です。サービスがどんどん大きく広がっていく、これから滅茶苦茶楽しくなっていくタイミングです。詳細以下より。
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筆者個人へのお問い合わせなど、以下まで。