【複素解析】ゼータ正規化でsinが出るやつ
以前単純な場合でのゼータ正規化を求めた。
ここでは
$$
\prod_{n=-\infty}^{\infty} (n+a)=-2i\sin(\pi a)
$$
を求めていく。(参考文献:江口徹, 菅原裕二「共形場理論」)
ゼータ正規化
ゼータ正規化は形式的には「総乗の中にゼータ関数を見出して置き換える」ことで行える。つまり
$$
\zeta(s)=\sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^{s}}
$$
の有名な値$${\zeta(0)=-1/2,\zeta(-1)=-1/12}$$や$${\zeta'(0)=-\ln(2\pi) /2}$$を用いて例えば
$$
\begin{align*}
\prod_{n=1}^{\infty}a&=a^{\sum_{n=1}^{\infty}1}=a^{\zeta(0)}=a^{-1/2}\\
\prod_{n=-\infty}^{\infty}a&=a\times a^{\sum_{n=1}^{\infty}1}\times a^{\sum_{n=1}^{\infty}1}=a^{2\zeta(0)+1}=1\\
\prod_{n=1}^{\infty}n^{\alpha}&=e^{\alpha\sum_{n=1}^{\infty}\ln n}=e^{-\alpha\zeta'(0)}=(2\pi)^{\alpha/2}
\end{align*}
$$
などと発散する級数に値を割り当てることができるものであった。ここで$${\zeta'(s)|_{s=0}=-\sum_{n=1}^{\infty}n^{-s}\ln n|_{s=0}=-\sum_{n=1}^{\infty}\ln n }$$である。(以前の記事もどうせ数学的にはかなり雑だったのでこの方法で計算するのが一番手っ取り早いかも、江口菅原本ありがたや~。数学的にしっかりしたものがほしければ他の人をあたってください)
導出
三角関数の無限積表示
$$
\frac{\sin \pi z}{\pi z}=\prod_{n=1}^{\infty} \left(1-\frac{z^{2}}{n^{2}} \right)
$$
はよく知られた式である。ここを出発点とする。計算しやすいように分解していく。
$$
\begin{align*}
\prod_{n=1}^{\infty}\left( 1-\frac{z^{2}}{n^{2}} \right) &= \prod_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^{2}} (n^{2}-z^{2})\\
&= \prod_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^{2}} (n-z)(n+z)\\
&= \prod_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^{2}} \prod_{n=1}^{\infty} (n-z)\prod_{n=1}^{\infty} (n+z)\\
\end{align*}
$$
最後の式で、第1の積はすでに知っているゼータ正規化で、$${1/2\pi}$$となる。第2の積で$${n\to -n}$$と置き換えると、積の範囲が$${n=-\infty\to -1}$$となる。第3の積と合わせて$${n=-\infty\to \infty}$$の積とするためには$${n=0}$$もいれる必要がある。したがって全体を$${z}$$で割ることにすればよい。
$$
\begin{align*}
\prod_{n=1}^{\infty}\left( 1-\frac{z^{2}}{n^{2}} \right) &=\frac{1}{2\pi}\prod_{n=-\infty}^{-1}(-n-z)\prod_{n=1}^{\infty} (n+z)\\
&=\frac{1}{2\pi}\prod_{n=-\infty}^{-1}(-1)\prod_{n=-\infty}^{-1}(n+z)\prod_{n=1}^{\infty} (n+z)\\
&=\frac{1}{2\pi z}\prod_{n=-\infty}^{-1}(-1)\prod_{n=-\infty}^{-1}(n+z)\prod_{n=0}(n+z)\prod_{n=1}^{\infty} (n+z)\\
&=\frac{1}{2\pi z}\prod_{n=-\infty}^{-1}(-1)\prod_{n=-\infty}^{\infty}(n+z)
\end{align*}
$$
最後の式における第1の積は積の範囲を正に変えれば$${\prod_{n=1}^{n=\infty}(-1)\sqrt{-1}=i}$$である。よって
$$
\prod_{n=1}^{\infty}\left( 1-\frac{z^{2}}{n^{2}} \right)=\frac{i}{2\pi z}\prod_{n=-\infty}^{\infty}(n+z)
$$
と書き直せる。したがって、三角関数の無限積表示と比較して
$$
\frac{\sin(\pi z)}{\pi z}=\frac{i}{2\pi z}\prod_{n=-\infty}^{\infty}(n+z)
$$
なので、はじめに提示した
$$
\prod_{n=-\infty}^{\infty} (n+a)=-2i\sin(\pi a)
$$
が成り立つ。
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