生成消滅演算子と真空期待値

有名な公式

$$
[a^{n},a^{\dagger}]=na^{n-1},\quad [a,(a^{\dagger})^{n}]=n(a^{\dagger})^{n-1} \tag{*}
$$

を用いると次の階乗が出る真空期待値を示せる。

$$
\braket{0|[a^{n},(a^{\dagger})^{n}]|0}=n!
$$

なお、生成消滅演算子の個数が揃っていないときはゼロである。

この式は数学的帰納法を行えば簡単に示されることをメモがてら残しておく。

(1)$${\quad n=1}$$

$$
\braket{0|[a,a^{\dagger}]|0}=\braket{0|0}=1
$$

ここで真空は規格化されている。次に

(2) $${\quad n=k\in \mathbb{N}}$$

$$
\braket{0|[a^{k},(a^{\dagger})^{k}]|0}=k!
$$

を仮定する。

(3)$${\quad n=k+1}$$のとき(*)と(2)を用いて変形する。

$$
\begin{align*}
  \braket{0|\underbrace{[a^{k+1},(a^{\dagger})^{k+1}]}_{\text{Leibniz則}}|0}&=\braket{0|a^{k}\underbrace{[a,(a^{\dagger})^{k+1}]}_{\text{(*)式}}+\underbrace{[a^{k},(a^{\dagger})^{k+1}]a}_{\to 0 \, \because a\ket{0}=0}|0}\\
&=\braket{0|(k+1)a^{k}(a^{\dagger})^{k}|0}\\
&=(k+1)\braket{0|\underbrace{[a^{k},(a^{\dagger})^{k}]}_{\text{(2)式}}+\underbrace{(a^{\dagger})^{k}a^{k}}_{\to 0} |0}\\
&=(k+1)\times k!\\
&=(k+1)!
\end{align*}
$$

以上より任意の$${n\in \mathbb{N}}$$で$${\braket{0|[a^{n},(a^{\dagger})^{n}]|0}=n!}$$が成り立つことが示された。

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