ネコクインテット②【You’d Be So Nice To Come Home To】毎週ショートショートnote
「奴とケリをつける。お前たちは足を出すな」
隻眼のジョニーは4匹の仲間に言った。
「疾風のブルートと本当にやるのか?」
「ああ、奴とやるのは運命だ」ジョニーは答える
「パブの白猫、ミーシャの為だろ?」
ライブパブの裏口でミーシャは待っていた。
「ジョニー、本当に行くのね?」
「ああ、俺達5匹に安住の場所はない」
「ブルートだってこのショバの猫じゃないわ、あんたが戦う必要はないよ」
「運命なんだ、あいつとは」
「あんたたち5匹の歌はこの界隈の猫たちには必要なのよ」
「お前の歌こそが最高なんだミーシャ」
ジョニーは彼女の香りをかぎ頬が少し膨らむ。
彼女はクルリと身体を回し尻尾を高く上げ後ろ足を伸ばし秘めた香りを手向ける。
ジョニーは短く喉を鳴らし彼女の背に乗りかかり首筋を甘く噛んだ。
耳を垂れ彼女は「ニャッ」と短く鳴いた。
「待っているわ、ここで」
「俺が帰りたい場所はこのパブの裏、お前の歌が聴けるここだけだ」
その後彼と彼女を見たものはいない。
このパブ裏で。
Helen Merrill with Clifford Brown / You'd Be So Nice To Come Home To
たらはかにさんの毎週ショートショートの企画、今週のお題「ネコクインテット」の2作目です。今回、作中にリンクしているのはkazeさんの「ネコクインテット②」です。このエピソードにヒントを得て作品を作りました。
kazeさん、ありがとうございました。
今回は2作共にJAZZを絡めてます。私の猫のイメージはJAZZなんですよね。
何処がどう?とか言われると困るのですが。
今回の「You'd Be So Nice To Come Home To」邦題は「帰ってくれたらうれしいわ」故大橋巨泉さんの世紀の誤訳とずっと語られてた有名な曲です。
戦地の男が愛する女性の下へ帰りたい。君が待っている部屋へ帰れたらどんなにいいだろうという内容の歌です。邦題とは逆なんですね、ホントはね。
映画の挿入歌だったこの歌ですけど、ヘレン・メリルやサラ・ヴォーンのカバーが私は好きです。日本でも八代亜紀さんが歌ってるんですが、これがまた渋いんですよ。良ければyoutubeで見れると思いますので検索してみてください。
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