ラーメン部骨伝導 毎週ショートショートnote
5年ぶりに悪友と会って「お前ラーメン好きだったろ?」と誘われたその店は、雑居ビルの2階というおよそらしくない場所。
「ここの豚骨ラーメンは絶品だぜ。マスコミにも名前が出ないし看板すらない。けど、一度味わったらその道のプロたちはみんな虜」
友人は顎をさすりながら生唾を飲み込んだ。
「そんなに旨いのか」
「キレがハンパない!それで後に残る」
「おー、旨そう」
階段を上がり始めると上から男がふらふらと降りてくる。
「やられたな」
あいつはまた、顎をさする。
店の扉を開けた瞬間声が響く。
ら~メーン!! ブッ! こつ! でんど~!
客が店主の鋭いアッパーカットをもろに顎に受けて吹っ飛ぶ!
口からちぢれ麺が別れの紙テープのようにブッと血しぶきとともに円弧を描く。
「なんだ?!」
「血の塩気が旨くする。今のも切れのいいパンチだったな」
「普通にラーメン食わせろよ」
「あごの骨に響く、それがほんとの旨さだよ、俺達みたいなタフな奴にしか味わえない一品だぜ」
完410
ラーメンたべたい 矢野顕子
矢野顕子 Official
あっこちゃんの名曲のうちのひとつです。ご賞味あれ。
たらはかにさんの毎週ショートショートの企画、今週の裏お題「ラーメン部骨伝導」に参加させていただきました。
ちょっと「骨伝導」の意味が違うかもしれませんが……
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