親切な暗殺 毎週ショートショートnote
「ベルナルド、あんたは大事な約束を違えた。それがこの結果を招いたんだ」
妻と10歳になる息子との食事の席にルチアーノは乗り込み、ベルナルドに銃口を向けた。店内にいた彼の手下はすでに血の海に沈んでいた。
「俺とお前は家族だった。それも今日までということだな」
ベルナルドはワインを一口飲み、震える息子に大丈夫だとウィンクをした。
「テレサとアルはどうするつもりだ」
ベルナルドは妻と子の処遇を訊いた。
「家族はいつも一緒よ」
妻のテレサはそう言ってベルナルドと息子の手を握る。
「すまんな俺の為に」
ベルナルドは妻と子を抱き寄せルチアーノに言う。
「お前もいつかはこうなる。忘れるな」
「そうだな、それが俺達の宿命かもしれん」
ルチアーノは銃を撃った。乾いた銃声が三回鳴り響く。
「なぜ、妻子は助けてやってくれと言わなかった」
店を出たルチアーノは拳を車のボンネットに叩きつけた。
その後一度も家族と食事を共にしなかったルチアーノは一人、銃弾に倒れた。
完410
ゴットファーザー 愛のテーマ
ニーノ・ロータ
たらはかにさんの毎週ショートショートの企画、今週のお題「親切な暗殺」に参加させていただきました。毎度SSにはできませんがこういうのもアリかと。
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